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第11話

 山のような贈り物を部屋へ運びパーティーの片付けが済んだ頃、馨は頼政に呼ばれて雪の部屋へ行くことになった。  頼政がいる時に雪の部屋へ行くのは初めてで戸惑ったが、一緒に笹倉も行っている事はわかっていたので、変な用ではないだろうと気軽な気持ちで向かってしまった… 「馨です」  障子の前で廊下に座り中に声をかけると 「入りなさい」  と頼政の声がした。  部屋の様子は、頼政が家にいる時の行燈の光がいくつか灯っているような明るさで、それだけで馨はドキドキする。 「失礼します」  と声をかけ、頭を下げながら障子を開けて顔を上げた瞬間に、ただでさえドキドキしていた心臓が一気に跳ね上がり、くらりとした眩暈が馨を襲った。  部屋の真ん中で、白い体に何も纏っていない雪が両手を前で拘束され天井から伸びている縄に上半身を吊り上げられて膝立ちになっている。  両手首に手拭いを厚く巻かれ、その上から一本のロープの両端を片方づつ結えられてロープの中心が天井の釣り具にかけられていた。  雪の両手は開こうと思えば自由に開ける。 「雪が寒いから…早く入って閉めなさい」  部屋の中には4台もの火鉢が置いてあり、そのどれもから炭が赤く燃え上がるほどになっていた。  悪い空気を出さないように炭はたくさん置かれており、2時間ほどはもつのではないかという量だ。  おかげで部屋は暖かかった。  頼政にそう促されて我に帰り、未だドキドキして震える足と手で部屋へ入りまた座って障子を閉める。  正面を正視できなくて俯きながら正座をしている馨に、その奥で火鉢の淵にグラスを置いて飲んでいる笹倉が 「こっち側においで、そこは寒いから」  と手のひらで呼び寄せてきた。 ーはい…ーと返事はしたものの。体が動かずそのままそこにいると、雪が 「…そっち側から見られるの…恥ずかしい…」  と小さな声でつぶやいて、その声に反応して馨は四つん這いで笹倉の側へと向かう。  雪にばかり気を取られていて気づかなかったが、馨から見た笹倉の向こう側にはそれは綺麗な女性が座っていて、微笑ましそうに笑って馨に頭を下げてきた。 「パーティーにはいなかったけどね、私がよくさせてもらっている女性だよ。浮羽(うきは)と言う。日本橋の芸妓だ」 「成年したら、一度お座敷…呼んでくださいましね」  白い白粉に赤い唇で再び微笑まれると、雪の姿体を見た時と同じ様に胸が高鳴る。  日本橋の芸妓と言ったら、一回の花代いくらだよ…という感じの人だ。  目の前にいるのもすごいことである。  浮羽に返礼の挨拶をしようと頭を下げた瞬間にそれは始まった。  以前聞いたことのあるあの音…とあの声。  ビシッ 「ああ…っ」  音と共に雪の背が反り、反射的に引っ張られた縄が天井に差し込まれている鉄の釣り具でギュッと鳴った。 「馨がのんびりしてる間に、雪がほら…待ちきれない様だったから始めさせてもらったよ」  雪の足の間ですでに立ち上がり、先から液体を流しているものを、鞭の持ち手で撫であげて、頼政はもう一度  ビシッビシッ  と、連続でムチを振るう。  その度雪が身悶え、白い背中に赤い線が引かれてゆくのを目の当たりにし、馨は目が離せなくなった。  屋敷(ここ)に住んでから、幾度となく聞いてきたこの音と雪の声。  何度も見てみたいと思ったことが、今目の前で繰り広げられている。  馨の息は無意識にはぁはぁと上がっていて、それを横で見ていた笹倉はグラスを空けて右手を浮羽の正座した腿を撫でた。 「あら旦那様。まだお早いですよ」  にっこり笑ってそう言いながらも、少し膝を開き襦袢を広げて手が入り易くすると、そこに笹倉の手が入り込んでゆく。  その間にも雪は鞭に打たれ、歓びの舞をするように身を捩り声を上げ懇願していた。 「旦那様…もっと…もっと雪を打ってください…ああっ…いい…」  相変わらずロープが釣り具に擦れてギシギシと鳴り、それすらもが雪を煽る。 「ここはどうなってるかな…」  鞭の持ち手の先端は、丸く収められていて…と思ったがそれは男根の形を成していて、頼政はその持ち手の先を雪が流している液を塗ってから尻に当てがい、挿れるでもなくその先で尻穴を撫で続けた。  雪は短い声を上げながら、来ると思っていたものが来ないもどかしさに身を捩って、自分の腰のあたりを見ながら 「意地悪をなさらないで…あっあっ…」  雪の腰が左右に振られた。  もっとぶって欲しいのと、尻穴をいたずらされているもどかしさが相まって、一緒に揺らされた雪の中心のものからますます糸を引いて液が布団へと垂れてゆく 「なかなかに扇情的だね」  笹倉が差し入れている浮羽の足の間も、皆に聞こえるほどの潤んだ音を立てていた。 「おやおや、浮羽もこんなになってるんだね」  クチュクチュと湿った音が響き、その音に頼政も 「雪も喜んでいるよ、そんなに感じ入ってもらえて」  と満足そうに微笑んだ。  白い白粉の上からも浮羽の上気した頬が見て取れ、手を添えるわけにもいかない馨の中心も、正座の間で起立していた。  そして再び鞭の音が響き、結局挿れてはもらえなかった残念さと、ぶたれた嬉しさがない混ぜになり、雪は膝を立ててのび上がる。 「ああ…あぁ…」  再びキシキシ言わせて縄に体重をかけると、雪は腕の間に顔を埋め下を向いた顔で舌を突き出す。  はぁはぁと息がもれ、舌は唇を舐めながらも違うものを舐めているような動きをしていた。  今の鞭で、雪は気が飛んでいる。 「仕方ない子だな」  頼政は立ち上がって着物の前を開くと、雪の手を広げさせ雪の前に立った。  血管が浮き、赤黒く起立したものが目の前に現れた雪は、即座にしゃぶりつき膝を立てて縄の緩んだ手で頼政の男根を擦りながら舌で舐め上げ亀頭を口に含んでは出したりと思う様吸い付いている。  大人の男性の起立したものを初めてみた馨は、自分が男ながらも息を呑んだ。  頼政は雪の頭を掴みながら、褒めたり髪を撫でたりして雪の行動を全て見尽くすようにそして愛おしそうに見つめていた。

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