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第2話『転校生』
後日、幼なじみ二人にもΩである事を話したけれど何も変わらずクラスの皆も少し驚くぐらいで珍しい性だねぇなんて言葉だけでその後もいつも通りの日々が続いて、いつの間にかヒートが起こらないまま中学を卒業し高校一年の夏、第二の性が分かってから一度目の誕生日を迎えた。
「なんか変に身構えてたけど平和」
「だね〜全然ヒートこないじゃん」
「尚道マジでΩなの?」
「再検査の結果もΩだから間違っては無い」
朝のHR前、ちょっとした隙間時間。
幼なじみの彩歌と亘流と三人でそんな会話をしながらいつもと変わらない朝を過ごしていた
「主治医の先生も個人差があるとは言っても1年は長いね。て不思議がってた」
「なんでだろ体質なのかな。ヒートって確か1ヶ月~3ヶ月くらいの周期が目安なんだよね?」
「うん。一回目のヒートから二回目までの期間がその人の周期になるらしい」
「へぇ。で尚道はその一回目がまだな訳か」
「そゆこと」
俺と彩歌が話していると亘流がさらっと
「じゃあさ。ヒートじたいが自他ともに認識出来ないくらい弱いんじゃないの?」
なんてとんでもねぇ発言しやがった。
これは彩歌と二人で顔がひきつる。
「ぇ、俺変なこと言った??」
自覚ないのがなぁ
「彩歌よく亘流と付き合えてるね」
「すごいでしょ」
「え。二人とも何いきなり辛辣」
彩歌が呆れ顔で説明した
「ヒートがくる前ときた後じゃ体の状態が違うって授業で習ったでしょ。しかも一回目が遅い人は体の不調にも繋がりかねないし強いヒートを起こす確率が高いって事も言われたじゃん」
「確かにそうだけど」
「私尚道が体調崩すとかやだァ」
「それは俺だって嫌だけど現状自覚症状も無いし再検査でも変化無いんだろ?」
「うん」
「病院側の誤診とかじゃないならそうとしか考えれないと思うんだけど俺」
確かに亘流の言うことにも一理ある
「ぇ〜、じゃあもしかして尚道が新しい体質の持ち主って事??」
「うん。もしかしたらって話」
「ちょっと二人して変な想像はやめてよ来週の定期検診までにこなかったら精密検査受ける予定になってるし気にしすぎ」
『「だって大事な友達の事じゃん」』
そんなとこを声揃えて答えなくても。
しかも真顔でとかガチじゃん。
心配してくれてるのはわかるけどさぁ
話題をそらそう
「そう言えば今日転校生くるらしいね」
「あーそうなんだよ。尚道教室で爆睡かまして朝礼出なかったくせによく知ってるね」
「彩歌さ。くせにって表現やめて?」
「ごめん」
「いいよ」
「でも尚道が寝るの珍しいよね」
亘流もそこは不思議だったのか夜更かしでもしたのかなんてきかれた
「そうじゃないけど、なんか今日学校来てから変に地味な眠気があって気だるいとゆうか」
「熱?」
「そんな感じじゃないんだよね」
学校着くまでは無かったし。
「そっか。まぁ酷くなるようなら言えよ」
「そうそう無理は体に良くないんだから」
「ありがとう」
そんなタイミングでチャイムが鳴って先生が入ってきた挨拶は早々に先生は転校生の話を始めたどうやらうちのクラスに入るらしい。
「じゃあ早速入ってきてもらおうかな」
どんなやつなのかな
「失礼します」
ガラガラとドアを開けて入ってきた転校生は見た感じ俺より少し背が高いくらい、静かな足取りで品がある感じなのに、でも威圧感とゆうか威厳みたいなオーラがあって
「初めまして三鷹悠太です。よろしくお願いします」
会釈をしたあと頭をあげた転校生と目が合って向こうが一瞬驚いたような顔をした黒髪で短髪で流れ目で惹き込まれるような目と優しい声
「…………きれい」
ぼそっと、思わずでたそんな言葉とほぼ同時に転校生が何の迷いもなく俺の席まで走ってきて先生もクラスメイトも皆びっくりしてるなか
「君! 名前なんてゆうの!?」
そう聞かれた瞬間だった今まであった少しの気だるさが一気に気持ち悪さに変わってその場で嘔吐く勢いで全身が熱くなって息が出来ない、くるしい、頭がくらくらするのに、甘ったるい浮遊感がどこか心地よくて
「尚道!!」
気づいたら床に蹲るように座り込んでた
亘流と彩歌がかけよってきた
先生の声がする
クラスにいるαの名前を呼んでた
転校生を含めて別室に連れていかれてた
よく分からないまま救急車が呼ばれて
運ばれながら意識が途切れた
次に目が覚めたのは病院のベッドの上で母さんと主治医の先生がいて、まだ少しハッキリとしない意識のまま説明されたのはコレが俺の人生初ヒートだって事と強いαに当てられて誘発されたんじゃないかって事と俺自身のヒートもかなり強いとゆうか重めのものだって事
「今回は緊急だったから学校や救急の先生達の対応に感謝だね、薬も強めのものを処方しないと今までのじゃ尚道くんの体質やヒートに合わない」
つまりは強めの薬が必要ってことか、
「状況は学校の先生からきいてるけど十中八九今回のヒートを誘発したのはその転校生だね」
「……」
「これからの事はご両親や学校側と一緒に話し合っていくから君はとりあえず安静にして」
「……わかりました」
「じゃあね」
そう言って先生は母さんに話があるからと一緒に退室して病室には俺ひとりだけ、頭がぼーっとする、しんどい、だるい、寒いのに熱い、ヒートってこんな苦しいの?
『初めまして三鷹悠太です』
『君! 名前なんてゆうの!?』
アイツαだったのかよ
「……くそ…………最悪だぁあ」
こうして俺のヒートとの付き合いは学校で倒れて救急車で運ばれた挙句三日間の高熱と一週間の入院生活を終えるとゆう形で迎えて転校生、三鷹悠太との最低最悪な出会いから始まった。
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