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13君のお願いなら、戦うしかない

「街が賑やかだな、何かあるのかな」  俺はサシュと二人で冒険者ギルドに来ていて、いつものように依頼探し中だった。だが随分と冒険者ギルドにいる冒険者たちがソワソワしていた、ギルドの鍛練場も人が多く入るのは難しそうだ。 「なんでしょうね、受付のお姉さんに聞きますか。カイト」 「いや、彼女たち忙しそうだ。サシュ、ちょっと酒場をのぞいてみよう」  そうして俺とサシュは酒場を覗いて、なるべくお喋りそうな冒険者を見つけた。俺はお店のお姉さんに頼んで酒を買い、その目を付けた冒険者に話しかけてみた。 「よぉ、随分。気持ち良く飲んでるけど、何か良いことでもあるのか?」 「なんだよ、知らねーのかお前。今週末に武闘会があるんだよ!! 楽しみだろう!!」 「武闘会?」 「おう、魔法や剣なんでもありの戦いの場さ、賞金も金貨三百枚も出るんだぜ!!」  なるほど俺の知りたかったことは聞けたと、お礼に注文した酒をその冒険者に譲ったら、武闘会の参加の仕方まで教えてくれた。俺は良いことが聞けたなー、サシュを連れて見物するの楽しみだなっと思っていた。 「面白そうな大会だな、サシュ。見物するの楽しみだな」 「ええっ!? カイトは出ないのですか? カイトだって凄く強いです!!」 「あー、俺。対人戦って駄目なんだ、手加減ってものが難しくてな」 「カイトが出るかと思ってました、がっかりです」  俺は一緒に武闘会を見物できるなんて楽しみだろっとサシュを励ましたが、それでもサシュはしょんぼりしていた。俺はそんなサシュの顔を見て、あんまりしょんぼりしているので可哀そうになった。だから、武闘会とやらに参加してみることにした。 「いいか、優勝とかは期待するなよ。サシュ、参加してみるだけだからな」 「はい!! でも凄く楽しみです!!」  こうして俺は武闘会に出ることになった、出るからには一応は冒険者ギルドの鍛練場や街の外で戦う練習をしていた。ついでにダークボア退治など冒険者ギルドの依頼もこなしていた、俺は改めて剣術というものに向き合うことになった、とはいっても我流なので教えてくれるような師匠はいなかった。それでもいくつか面白い発見をしたし、結果的に武闘会への参加は俺の為にも良かった。 「サシュが出ろって言ってくれたんだから、お礼にサシュを可愛がってやる!!」 「カイト、きゃ!? ああっ!! そこだめです、一緒にいじられると出る、出ちゃう!!」  サシュは乳首が弱くてサシュのものと一緒にいじってやるとすぐにいってしまった、そのお返しにサシュは俺のものをエロく舐めてくれた、可愛い舌とその仕草のおかげですぐに気持ち良く射精できた。 「サシュ、気持ちが良い。ありがとな」 「僕も凄く気持ち良いのです、カイト」  武闘会の当日はサシュは冒険者ギルドに、他の参加者の奴隷と一緒にギルドの人に預けることになっていた。俺はふと思った、今のようにいろいろとしているエロいことをサシュが喋ったら大変だ。 「サシュ、武闘会の当日はお前を冒険者ギルドの人に預けるけど、俺たちの夜のことは言うなよ」 「ええ!? どうしてですか!!」 「俺が恥ずかしいの!! 俺のエロいところを知ってるのはサシュだけでいいの!!」 「そうですか、分かりました」  俺はこれで自分の性癖をサシュ以外には知られずに済んだと思った、先に注意しておいてよかったそうじゃなかったら、俺の性癖があちこちに知られることになったはすだ。俺は気を取り直してサシュのことを性的に可愛がった、サシュは気持ち良さそうにしていたし、逆に俺を気持ち良くもしてくれた。そういえば性交についてはこの武闘会のせいで、俺たちの中では一旦棚上げされていた。そうしてあっという間に武闘会の日がやってきた。 「それじゃ、サシュ。冒険者ギルドの人と大人しく俺のことを見てな」 「はい、楽しみです!!」 「それなりに健闘するよ」 「カイト、優勝だって狙ってください」 「ははっ、そう簡単にはいかないさ」 「カイトならできるはずです」  それから俺は第一回戦の相手と戦ったが、斧を持って突進してくるだけの相手で、突進してきたところを躱して首元に剣をつきつけるだけで済んだ。とりあえずは一勝したわけでサシュのほうに手を振ったら、サシュが笑顔で手を振っていた。 「とりあえず一勝っと、三回くらい勝っとけばサシュが満足するかな?」  そうやって俺は二戦目、三戦目と戦ったがどちらも俺より実力がかなり下で楽勝だった。サシュが大興奮して凄く良い笑顔で俺を見て両手を振っていた、俺は実力がかなり下の相手とばかり戦って勝ったが、これが剣技が拮抗している相手なら難しかった。 「俺って手加減が本当に下手だからなぁ」  俺は風の刃を幾つも生み出したり、剣の刃が届かないところまで風の刃を届かせることができる、でもこれを人間相手に使ったらまずサイコロステーキだ、物凄い大惨事を引き起こしてしまうのだ。だからサシュも楽しんだことだし、次の相手あたりで負けようと思っていた。ところが待機室をふらっと出て歩いていて大変なことを俺は聞いた、相手は俺に気がつかなかったようで仲間とこう言っていた。 「次は”旋風”と”烈火”との試合だってさ、楽しみだな」 「どっちが勝つだろうな!!」  ”烈火”と言えば激しい勢いで燃える火、その火のような火炎魔法の達人だと俺は聞いていた。冒険者や世間の間ではちょっとした有名人だ、俺はなんて組み合わせで試合してくれるのっと運営を心の中で罵った。そんな俺に声をかけてくる女性がいた、赤い髪に茶色い瞳のなかなかの美人でこう言った。 「あらっ、あなたが”旋風”ね。あたしが”烈火”のリベルよ、次の試合よろしくね」 「あっ、貴方が”烈火”、それじゃ俺は戦ってすぐに降参します」  俺は即座に降参するという方法をとることにした、”烈火”なんて有名な冒険者と戦って俺は怪我などしたくなかった。すると彼女は怒りだした、馬鹿にされたと思ったのかこう言いだした。 「貴方が降参したら、綺麗に火葬にしてあげるわ。それじゃ、女だからって馬鹿にしないでよ!!」 「いや、馬鹿にしてるつもりはなくて、ああああ!? …………行っちゃった」  俺は大変なことになったぞっと頭が痛くなった、あの様子だと俺が降参しても”烈火”は降参を認めてくれそうになかった。サシュの目の前で火葬されるだなんて、そんなトラウマをサシュに与えるつもりはなかった。だから俺はよく考えた、時間もそんなになかったが俺は思いついた。 「俺が上手くやれればお互いに無事で済むはずだ、っていうかこれしかない!!」

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