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第2話 これから、よろしく

「???」  ゆっくりと離れて行く唇。光はにやりと笑う。 「もし俺がUだとばらしたら、この写真学校中に拡散させるから」 「なっ……なっ……」  キャパオーバーでうまく頭が回ってくれない。そんな僕を見て光は目を瞬かせた。 「え? もしかして、ファーストキスだった?」 「き、決まってる。そ、それも、おとっ、男同士っ……」 「あ、俺、両方ともいけるから」  のほほんとそんなことを言ってのけてから、光は何かを少し考える素振りをして。 「おまえのスマホ、貸して」  僕が承諾する前にポケットからスマホを取り上げる。  そして、なにかを操作していたかと思うとにっこりと綺麗に笑った。 「ライン友達追加しといたから。あとさっきのキスの写真も送っといたから」  ポンと返されたスマホの画面には僕と光のキスシーンが……!  そのまま音楽室から去って行こうとしていた光が振り向いて問いかけて来た。 「おまえ、名前、なんてーの?」  本当はまだ頭の中がグルグルしていて答えられる状態じゃなかったというのに、光の眩いばかりのオーラは有無を言わせず僕を従わせる。 「……う、上町のぼる」 「じゃ、のぼる、これからよろしく」  明るく言うと学級日誌を拾ってくれ光は音楽室を後にした。

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