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第4話 平和な日々の終わり

 次の日の朝、僕が教室の扉を開けると、光がたくさんの生徒に囲まれている姿が目に飛び込んで来た。  いわゆるスクールカーストの最上位にいる生徒たちばかりだ。そんな中にあっても光は一段と目立つ。ちなみに僕はと言えば最下位で押しつぶされているような位置にいる。  ……やっぱりこうなったか。  僕が足早に光たちの集団の横を通り過ぎようとすると、 「おはよ。のぼる」  光が明るく挨拶をしてきた。  途端に静まり返る教室。クラスメートたち全員の視線が僕に集まる。  僕はいたたまれない気持ちになって、 「お、おはよ……」  小さく返事をするとこそこそと自分の席に座る。 「光って、優しいんだな」  スクールカースト上位にいる男子生徒が嘲笑しながら言う。 「え? 何が?」  光が不思議そうに聞き返す。 「だって上町みたいな陰キャのことまで、気にかけてやるなんてさ」 「そうよ。いつの間に名前で呼ぶほど仲良くなったの?」  いつもは僕が教室に入って来ても空気みたいに扱われるのに、今朝はクラスメートたち全員の関心を買っていて。  正直、すごく嫌だ。僕は地味な自分にふさわしく目立たずひっそりとしていたいのに。  光が悪いわけじゃないけど挨拶して来た彼を恨みたい気分にさえなった。  僕が席で小さくなっていると、光が少し怒ったような口調で返した。 「別に俺が誰と仲よくしようが勝手だろ」  女性よりも綺麗な顔で、まるで少女漫画から抜け出してきたようなありえない等身で、歌う時とはまた違う、でもイケボで。  光のセリフに、僕の地味な……やなこともあるけど、それなりに平和な生活が少しずつ変わり始める。

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