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第16話 愛撫

 セックス……それは僕にとって一番遠くにあるものだと思う。陰キャで地味でモテない僕には彼女なんてできないだろうし、多分一生しないで過ぎ去っていくものだと思ってる。  興味が全くないと言えば嘘になっちゃうのかもしれないけど、する機会がないものに興味を持っても仕方ないし……。  僕がぐるぐると考えていると、光が僕の耳に唇を近づけて囁く。吐息がかかってくすぐったい。 「俺さ、女の子とは経験あるんだけど、男とはまだないんだよね」 「…………」 「でさ、初めての相手、のぼるがいい」 「……………………」  どう返事をしたらいいのか分からず、固まってしまっている僕の態度を光は肯定の意味と取ったのか、ベッドを背に座る僕の体の脇の下に手を入れて「よいしょ」と持ち上げた。  僕は仰向けにベッドに寝かされる形になり、その上から光が覆いかぶさって来る。 「ちょっ……ま……ん……」  光がまた深く口づけて来る。巧みな光のキスに翻弄され、僕の体は抵抗することを忘れてしまう。力が抜けてグンナリする僕から素早くTシャツを脱がしてしまうと、顎から首筋、鎖骨へと唇を滑らせながら、光の細く長い指が僕の胸の突起を摘まみ上げる。 「あっ……やだっ」  生まれて初めて知る快感に戦き抵抗することを思い出す僕。しかし、光が僕の体をしっかり押さえつけてるからそれもままならない。 「……気持ち、よくない?」  大好きな光の声で問われ、僕の体がぴくんと跳ねる。

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