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第21話 淡い期待
「のぼる、どうしたの!?」
突然光がギョッと焦ったような顔で僕の顔を覗き込んで来た。
「え?」
「だって、泣いてるから」
僕はそっと自分の頬を触った。確かに濡れている。
光=Uに出会ってからというもの僕の涙腺はぶっ壊れたようだ。
「な、なんでもない……」
僕がそっぽを向こうとしても、光が追いかけて来て僕の顔を覗き込んで来る。
「…………のぼる、もしかして、やだった?」
酷く思い詰めた光の声が聞こえた。
「え?」
「俺とのセックス……本当にほんとはやだったの?」
光の見当違いの問いかけに、僕はしばし言葉を失う。それを肯定の証だと思い込んだ光が慌てまくる。
「ごめん。って、謝ってもヤッてしまったことは戻らないけど。とにかく……そうだな、俺の顔を気が済むまで殴ってくれていいから」
そう言って、ベッドで半身を起こし、目を閉じる光。
そんな光に今度は僕が慌てる番だった。
「ち、ちがっ……。嫌なんかじゃ、嫌なんかじゃなかった!!」
恥ずかしくも思いっきり叫んでしまった僕に、光がゆっくりと目を開ける。
「……本当に、本当?」
「ん……」
「やじゃなかった?」
「あ、あんまり聞かないでよ。恥ずかしいだろ。大体僕を見てたら分かるだろ、光君なら」
熱が上がる思いで訴えると光は、
「良かった~」
キラキラと眩いばかりに笑った。
その笑顔があまりにも嬉しそうなので、僕の中で少しだけ期待が生まれる。
光君ももしかして少しは僕のこと思ってくれてるのかな……?
なんて陰キャでネガティブな僕らしくもなく思った。
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