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第26話 音楽室で
うちの高校には近年できたばかりの第二校舎があり、音楽や美術の授業や文科系の部活動は全てそちらで行われている。
もう結構遅い時間だったので、この第一校舎に残っているのは僕たち二人と、あとは一階にある職員室の教師くらいだろう。
光が連れて来た第一校舎の音楽室は僕が初めてUの正体が光だと気づかされた場所だ。
光は僕の手を引いたままピアノの方へと歩いて行くと、
「そこで聴いてて」
ポロンとピアノの音を立てる。
それから始まったのは僕だけに聴かせてくれるUのリサイタル。
デビュー曲のバラードを含めた全十二曲を光は僕に聴かせてくれたのだった。
余韻をたっぷり残して曲が終わる。
「のぼる、これが今度のアルバムに入る歌全部だよ……って泣きすぎ、のぼる」
僕の顔はもう涙でぐしゃぐしゃだった。
「だってみんないい曲すぎ……」
「ほんとに?」
「本当。光はすごいよ」
光は小さな声で、ありがとうと言ってから、僕の頬を伝う涙を舌で舐めとってくれる。
そしてそのまま光の唇は僕の唇までたどり着き、そっと重ねられる。
初めは啄むだけだったキスは段々深く激しいものになって行って……。
同時に僕の制服のシャツの裾から光の少し冷たい手が入り込んで来る。
「やめっ……光、こんなところで……」
「もう誰も残ってないし、ここでの音なんて職員室まで聞こえないって」
「でも、警備員さんでも来たら……」
「大丈夫。そしたら見せつけてやればいい……」
唇から顎、首筋へと光の唇が移動していき、時々強く吸い上げて行く。
悪戯な手は既に僕の胸の突起を摘まみ上げ、どこかもどかしい快感が僕の体に走る。
「もう我慢できない……のぼる……のぼる……」
光は僕のシャツのボタンを全開にしてしまうと、唇で胸の突起に吸い付き、右手で制服のズボンのジッパーを器用に降ろし、下着ごと脱がしてしまう。
「光……やっ……あっ……」
僕をピアノの椅子に座らせて、光は僕の性器を口に含んだ。
「ああっ……やだぁ……」
長い間光に飢えてた僕は、彼が少しそこを吸い上げただけで一気に吐精してしまった。
光が僕の出したものを飲み、唇の端についたそれまでも舌で綺麗に舐めとる。
そうして再び僕と同じ目線まで戻って来ると、ニヤリと笑って聞いて来た。
「のぼるはあんまり自慰しないんだっけ? 俺と会えなかった間もしなかった?」
「……っ……」
どうして光はこういうことには鋭いのだろうか。
光に抱かれてから僕の体はすっかり快楽を覚えてしまい、いままでほとんどしなかった自慰を何回もした……光を思い浮かべながら。
でも。
自分の手で何度そこを触っても、満足なんかできなかった。
光じゃなきゃだめだった。光じゃなきゃ。
「そんな瞳で見るなよ、のぼる。セーブがきかなくなる」
「光……あっ……」
光の手が双丘を揉みしごき、両側に広げる。その奥にある小さな孔へと指を這わせる。そっと優しく。それだけで僕のそこはひくひくと伸縮を始める。
「ここは……自分でもいじってないみたいだね」
光が楽しそうに言う。
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