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第30話 バレそう?

 Uのアルバムの売れ行きは順調に伸びて行った。  街を歩いていると、Uの歌があちこちで流れるようになった。  僕と光の関係も変わらずだ。  今は光は次のシングルに向けて動き出しているらしい。  出来たら一番に聞かせてあげると言われて舞い上がった。  時々光のマンションに泊まりに行くようになり、その度に体を重ねるようになった。  この僕にこんな幸せなときが訪れるなんて、思ってもいなかった。  ただ一つ、禁句『好き』という言葉を伝えることができないことを除いて。 「あっ……っ……ひかり……ひかっ……」 「のぼる……」  光が熱い吐息を吐きながら、僕の中を思い切り突き上げる。その度に前立腺が刺激されて得も言われぬ快感が僕の体を走り抜ける。 「光……もっと、強く、して……」  セックスの快楽の中では僕の陰キャは影を潜め、大胆になってしまう。  そのことが恥ずかしくてたまらないのだけれど、光を求める気持ちに終わりはなくて。  快感の海に溺れる僕を光がフッと笑う。  優しい、でも意地悪な笑みだ。 「のぼる、すっごく淫らな体になったね」 「……っ……光の所為じゃないか……あっ……」 「そう。俺の所為。だから嬉しいよ……」  光はそう言うとより腰を進めた。 「ひっ……あっ……」  奥の奥、もうこれ以上はないくらいの奥を突かれて、僕の頭でチカチカと何かがスパークする。 「……のぼる、一緒に……」 「光……」  光が雄を入り口近くまで戻すと、次の瞬間一気にまた最奥まで貫かれた。 「ああっ……」  体内に熱い精液が注ぎ込まれて、僕は体をのけ反らせてイッた。  息が整うまで僕の上で突っ伏したままだった光が横に寝転んだ。  僕はまだ快楽の余韻に浸ったまま半ば放心していた。そんな僕の髪を光は優しく撫でてくれる。  こんなふうに優しい仕草をされると僕の心は期待をしてしまう……光も僕のことを思ってくれてるんじゃないかって。  そんなことあるわけないのに。 「はあ……」  光が僕の髪を撫でながら溜息を零した。 「光? どうかした?」  一瞬、僕の心の中が読まれたかと思った。ありえない期待をした僕を呆れたんじゃないかって。でも違った。  光は相変わらず僕の髪を撫でながら憂鬱そうに言ったんだ。 「この頃、写真週刊誌に尾けられてる気がする」
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