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第31話 守りたい

「えっ?」 「多分ね。向こうも確証があって俺を尾けてるわけじゃないとは思うけど」  Uは今や時の人だ。  誰もがUの正体を知りたいと思ってる。写真週刊誌の記者にしてみれば彼の正体を暴いたら大スクープだ。 「ど、どーすんの!?」 「落ち着けよ。まだバレたわけじゃないし。……でも」 「でも?」  光は僕の髪を撫でる手をとめて、その綺麗な瞳に僕を映して残酷な言葉を放った。 「俺たち、しばらく会うのよそうか」  僕は絶句した。  とうとうその時が来たのかと思った。  光が僕に飽きてしまう日が。  でも、違った。光は弱弱しく笑う。 「そんな顔すんなよ、のぼる。俺はこんなことにおまえを巻き込みたくないんだ。俺といるとおまえまで写真週刊誌に目を付けられるかもしれない。おまえにやな思いをさせてしまうかもしれない。だから」 「やだ!」 「のぼる?」 「どうしてそんなこと言うんだよ!? 僕たち、と、友達だろ。一緒にUの正体がバレないように協力したいし、万が一バレたらそのときは、僕が光を守る」  僕なんかに何もできないかもしれない。  でも。 「僕だって男なんだからね。光に守られてばかりじゃない」 「のぼる……」  僕は光の頭をギュと自分の胸に抱きしめた。  嫌なことがあったら、いつでも僕に言って欲しい。  この体で鬱憤を晴らしたっていい。  だから離れるなんか言わないで欲しい。 「サンキュ、のぼる。そのときが来たらのぼるに守ってもらうよ」  光が微笑む。吐息が胸に当たってくすぐったい。 「のぼる、もう一回していい?」  光が僕の胸から抜け出し、僕を組み敷きながら強請って来る。 「だから、そんなこと聞かないでよ……」  唾液を交換する熱いキスが始まり、光の唇が顎から首筋、鎖骨から胸の突起に流れて行く。  僕は徐々に光の与えてくれる快感に夢中になって行って。 「友達、か……」  光が小さく囁いた言葉は僕の意識の上を通り過ぎて行った。
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