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土曜日の慣れない初デート④
匠に連れられ大通りに出て改めて、俺が裏通りのかなり奥まで踏み込んでいた事に気がついた。
周囲の雰囲気は180度一変し、店の静けさが嘘のように人で活気付いている。行き交う人々の様子は様々だが土曜日ということもあり年齢に偏りはないように見えた。
「ハルちゃん、こっち」
「わっ」
匠が俺の手を取って歩き出す。
ふと俺は気づいてしまった。すれ違う人が俺達を視線で追う。反対側の道でテラスが設営されているのが見えたがそこで休んでいる人の視線さえ此方をみている気がした。
「なぁ」
「ん?」
「皆見てる……」
「何、視線気になる?」
「そうじゃないけどっ、お前は気にならないのかよ」
「ならない。それに見られてるのはハルちゃんがいるからだね。相乗効果だ」
「はぁ?」
何を言っているんだろう。どう見ても周囲の視線は匠に向いているのに。すっきりと鼻筋の通った高い鼻。切れ長の双眸と薄い唇。
顔もだが、180を超える高身長はダークグレーのロングコートがよく映える。その下に着ている服は黒のタートルネック。
俺は明るいグレーのダッフルコートだ。ちなみにバーを出て暫くしてから匠が付けていた黒いマフラーは俺の首にしっかりと巻き直された。
散々子供扱いされてる手前ものすっっっっっごく認めたくないがイケメンと書いて匠と書くのかもしれない。
なら、手を引かれてその後ろをついて歩く俺はどうなんだろう。いや、考えるのをやめよう。悲しくなる。
「ふはっ、何考えてんのかわかりやすいね、お前」
「お前が自重しなさすぎて辛い」
「難しいこと言うなよ」
「なぁ、それでどこ行くの」
「そうだなぁ。とりあえず風呂入りたい」
「風呂ぉ?」
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