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土曜日の攫われた夜④
自意識過剰と言われようと、現実の事だから仕方がないが今までだってこの派手な見た目のせいでそこそこ面倒な目には遭ってきた。
だけど、ここまで犯罪の匂いがする事に巻き込まれた事は無い。
なんでこんな目に遭わなければいけないのかという怒りと、どこかわからない場所で拘束され、同じような境遇を受けた奴が既に何人もいるとなればこれが場当たり的な犯行ではなく計画性のある何かに巻き込まれたという事ぐらいは理解できる。
俺が連れてこられた部屋の出口は一つだけで、扉があり、その扉には男が一人立っている。
地下室に唯一ある机の方には二人。
合計三人。
どう足掻いたって、俺の力では好転する要素が微塵もない。
不意に扉に立つ男と視線が合う。
俺を肩に担いでこの地下室に運んだやつで、散々暴れて殴りつけた奴。
男の目が俺を上から下まで見る、まるで品定めをするかのような視線が怖くて、耐えられなくて、俺はズルズルと床に尻をついたまま部屋の端へと、俺より早くここに捕まっていたであろう子供の方へと身を寄せる。
周囲が暗くなると、向こうの視線も薄れて少しだけ安堵した。
「っなぁ、お前ら、いつからここにいんの」
俺が小さな声で話しかけてもその塊はビクリと動いただけで、返答はない。
「なぁ……、なぁ。どうしてここにいんの」
「君がくるより、1時間ほど前かな」
さらに体を寄せて部屋の光から目を逸らさないように。けれど、後ろの陰に意識を向けて話しかけると2度目の問いかけには思いの外しっかりとした声が返ってきた。
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