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牙を立てられると、あっという間に体から力が抜けて床に崩れ落ちた。
一気に酒を飲み干したときみたいに、かーっと身体が熱くなる。
「はぁ……はぁっ」
冷たい床が心地良いくらいでうつ伏せで荒く息をついていた。
頭が朦朧として、なにがなんだかもうわからない。
ただ全身の感覚が敏感になって、息をするのにあわせて微妙に肌に擦れるTシャツの刺激ですら気持ちいい。
「ひっ……、ぁあっ」
ひやりとする指先が耳を撫でて、それだけで声が漏れる。
その指が肩をなぞり脇腹を撫で下ろす。
たったそれだけの刺激で形を持ち始めた自身が、窮屈そうにズボンを押し上げた。
Tシャツの中にゴツゴツした手が入り込み素肌を撫でられると、びりびりと電気が走ったかのような快感が突き抜けて身体がビクリと跳ねた。そしてそんな反射的な動きすらも身体を高揚させ、その切なさに涙が滲んできた。
直接触れられていないのにも関わらず、硬くなってしまったそこが苦しくて、不自由な身体を捩らせて床に擦り付けていた。
「やぁ……っ、いやぁ」
それを制するように腰を持ち上げられて、もどかしさに首を何度も振る。
自分の体のはずなのに制御が効かない手を、どうにか張り詰めたそこに持っていこうとすると、今度はその手すら背中に回され抑え込まれてしまう。
「なんで、も、むりぃ……っ」
身体が熱を持って仕方ないのに、刺激できないように動きを封じられて頭がおかしくなりそうだった。
どうにか刺激が欲しくて膝をぎゅっとくっつけて、擦り合わせるように腰をくねらせる。
「はぁ」
と、心底深い溜め息が聞こえても、熱を収めたい一心でそれ以外はなにも考えられなかった。
「いやっ! ……ん、やぁっ」
なんとか微細な刺激でもいいから得ようとする動きを阻むように、固く閉じてもじもじと擦り合わせていた足の間を裂くように、エヴァンの足が割り入れられる。
とうとう自力で慰めることすらできなくなり、身体の自由も奪われて火照ってしょうがない身体をただ持て余すしかなくなった。
意識すればするほどもどかしく、張り裂けそうなほどパンパンに熱をもって苦しい。
「さわって……お、おねがい」
なんとか後ろで俺を抑え込むエヴァンを振り返って懇願する。
「苦しいか」
わかりきった質問をして焦らしてくる。
「くるし、い……はぁっ、エヴァン……さわってぇ」
自分の物ではないような甘ったるい声で恥じらいもなく強請る。
「こうか?」
エヴァンは意地悪く微笑んで。
艶かしく布越しに昂ぶりを撫で、ズボンに手を掛ける。
下衣をずらされ、ぶるんと露わになって。
「ひゃぁ……っ!」
そんな微細な刺激にすらも身体は喜んで腰が砕けそうになる。
しかし焦らしに焦らされて蜜を滴らせる俺の昂ぶりには触れること無く。
「い、意地悪しないで……はぁ、も、いやぁ」
膨れるばかりの身体の熱を持て余して泣きそうになってくる。
以前は優しくその熱を吐き出させてくれたのに。
「少しは懲りたか? 油断して簡単に信用するから、こ、ン」
顔を寄せて話す言葉も耳に入らず、その形の良い唇に口づけをしていた。
「えゔぁ、んぅ……おねがぁぃ」
半べそをかきながら懇願する。
「まったく……」
エヴァンは身体を離すと俺を仰向けにして、だらだらと蜜を垂らすそこを優しく掌で包んだ。
「あぁぁ……っ!」
さんざん焦らされて敏感になったところを刺激され背筋をのけぞらせる。
先程までの荒々しい態度が嘘のように、根本からゆっくりと扱きあげられると快感に耐えられずとぷとぷと白濁した液体が溢れ出した。
あっさりと予兆もなく、じんわりと広がっていく快感に脳みそが溶けてしまいそうなくらい感じてしまった。
「はぁ、はぁ……んぅっ」
苦しみから一転、全身を包む多幸感に呆然としているとぼやけた視界が陰り、唇を塞がれた。
甘く下唇を喰まれ、角度を変えて深く口付けていく。
触れ合う唇が、鼻先が、くすぐる髪の毛が……全部心地よくてうっとりとその触れ合いに身を投じた。
未だに身体は熱を持って疼き、エヴァンのおっきな手でゆるゆると扱かれる度に身体が震えてしまう。
「はっ、ぁ……ま、イくっ」
エヴァンの背中に縋り付いて、されるがままに快感が弾け飛んだ。
荒く息を吐きながら余韻に浸り、首に腕を回して引き寄せて自分から唇を重ねた。
「ん、ふぅ……ンぅ」
エヴァンの身体、エヴァンの匂いに包まれて幸せすぎて涙が溢れてくる。
「ふぁ……、すき」
涙でぼやけてその表情はわからないけれど、うわ言のように繰り返した。
「エヴァ、ン……すき、だいすき」
彼の肩口に顔を寄せて、何度も何度も繰り返した。
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