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そのままベッドに押し倒されて深い口づけを繰り返した。ヴィンセントの舌先が歯列をなぞり口腔を探って、それだけで蕩けてしまいそうなくらい気持ちいい。
「ふぁ……あ、んん……っ!」
唇が離れたかと思うと、ヴィンセントは続けざまに耳に舌を這わせてくる。
シャツのボタンを一個、また一個と外しながら、耳から首筋にゆっくりとキスを落とされると、柔らかな唇の感触にあっという間にその気にさせられてしまう。
最後のボタンを外し終わり、火照った素肌をヴィンセントの大きな手が撫でた。淫猥ながらも、大事にまるで壊れ物に触れるような手つきで触れられ、つい身を捩った。
再び唇を重ねながら、その手は太ももや尻を撫でる。
胸を焦がす期待感を隠せないくらい、どうしようもなく欲情していた。
「はぁ……はぁ、んっ」
首筋から胸、腹とキスを落としていき、ヴィンセントは見上げながらゆっくりと私のベルトを緩めていく。
ボタンを外し、ジッパーを下ろす、一つ一つの所作に胸が高鳴った。
すでに鈍く形を示す私をみて満足そうに頬を緩ませ、直にそこにヴィンセントの唇が触れる。
ぬるりとした舌の感触に思わず腰が浮いてしまう。敏感な所を舌先が掠め、指先で根本を刺激されるとあっさりと固くなる私を包み込むようにヴィンセントは咥え込んだ。
生暖かい口内に、吸い上げられる感覚に、否応なしに快感が上り詰める。
「あ、んっ……あぁっ」
腰が蕩けてしまいそうなくらい気持ちいい。
私が我慢強い方で無いとしても、張り詰めてあっという間に果ててしまいそうになるくらいに、彼に与えられる刺激は強かった。どうすれば気持ちよくなるのかを熟知している彼になすすべなくイかされそうになった。それなのに、もう少しというところでヴィンセントは口を離す。
唾液で濡れた唇を舐め、艶めかしく微笑む彼を恨めしく思いながら見つめた。
「……ダメ、やめないで……もっと」
「もっと?」
彼は、くすりと笑って言いながら、脱げかけていた私のスラックスと下着を抜き取っていく。そして足をもって広げ、再び顔を近付ける。期待感に胸が高鳴った。それなのに、ヴィンセントは更に足を持ち上げて、期待に揺れる屹立ではなく、後孔に舌を這わせてきた。
「ちがっ、そっちじゃ……」
予想していなかった刺激にびくんと大きく身体が揺れる。唾液に濡れた舌先が入口を舐め、中に潜り込もうとしてくる。
ぎゅっとシーツを握り、首を振ってそこじゃないと示して見るが、余裕たっぷりの視線を私に送りながら、ヴィンセントは唾液で濡れそぼったそこにゆっくりと指を埋めてくる。
「ひぁ……あぁっ!」
狭い中をこじ開けられる感覚にぞくぞくと快感が這い上がる。敏感な所を探るようにぱたぱたと指先を動かしながら、ヴィンセントは私の内ももを舐めてキスを落とす。
「ここ?」
与えられる刺激に簡単に反応してしまう私を愛おしそうに見つめ、ヴィンセントはそんな風に意地悪く問いかける。
本当はどこを刺激して欲しいのかわかっているくせに、わざと焦らす。それで私が悦ぶと知られてしまっているのだ。
指先がいい所を掠めていき身体が大きく揺れてしまう。
「あっ、んんっ!」
中途半端に上り詰め蜜を垂らす先端に、ヴィンセントがねっとりと舌を這わせて、思わず仰け反りながら快楽に悶えた。
「あ、ヴィニーもっと……お願いっ」
再び咥えこまれて、ぞくぞくと快感が這い上がる。
待ち望んでいた感覚に夢中になって、思わず腰が動いてしまう。
後ろの刺激も相まって、そのまま止める間もなくヴィンセントの口内を汚してしまった。
恍惚として、息を吐きながら余韻に浸った。
彼に触れられて愛されて、身も心も満たされる。怖いくらいに幸せを感じる。
ヴィンセントは口に出されたものを何でもなさそうに飲み込んで、口を離し、そして後ろから指を引き抜くと、自身のシャツを脱ぎ捨てた。
美しい彼の体躯に惚れ惚れする。逞しい胸筋も薄くラインの入った腹筋も、男らしくそそられる。それだけじゃなく、彼の優しいところも、私を愛してくれるところも、柔らかな茶髪も、やや垂れ目がちの緑色の瞳も――すべてが愛おしい。ずっと、ずっと私のものでいて欲しい。
「私にも触らせて……」
上体を起こし、彼のベルトに手をかけた。
私には何が出来るのかまだはっきりとしたわけではないが、それでも繋ぎ止めるためにできることをしたいと、そう思う。彼のようにできないとしても、それでもこの想いが少しでも伝わったらいい。
ジッパーを下げ、服をずらし、現れた屹立にそっと触れる。熱く脈打つ彼を刺激しながら、唇を寄せた。
「シェリ……」
ヴィンセントは吐息を漏らして、私の頭を撫でる。
大きくて苦しいが、深くまで咥えこんだ。
「無理しないでね」
そう零すヴィンセントを見上げながら続けた。
興奮を滲ませて私を見下ろす視線を楽しみながら、唾液が口の端を伝い落ちていくのも気にせずに繰り返した。
「いいよ、クラウ……」
口の中でびくびくと反応するのがわかる。
私だけじゃなく彼も欲情しているのだと嬉しくなった。
「はぁ……ん、入れても良い?」
頷いて口を離す。顎がじんと痺れて、頭がぼうっとする。
そのままベッドに身体を預けると、ヴィンセントが手を伸ばしてサイドテーブルからコンドームを取った。開けようとするのを制して彼の手から奪うと、ヴィンセントは困ったように微笑む。
「今日はつけないで」
そう言ってみるとヴィンセントは少し驚いて、そして前髪をかき上げて私を見下ろした。
「ちょっと煽りすぎだよ、子猫ちゃん」
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