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第24話
厚手のカーテンを閉め、制服に着替える。
薬を断ち、折檻部屋での記憶がひっくり返った後も、断続的に記憶が戻ってきている。
アゲハを襲った女が誰なのかは、未だに解らないけど……僕を助けようとしてくれた事実だけは、変わらないと思ってた。
なのに。あの惨劇が起きたのが、最近だったなんて。
カーテンを開け、柔らかな朝陽を取り込む。その光を浴びる、腰ほどの高さの白いチェスト。一番下の引き出しを開け、奥に潜むジュエリーボックスを取り出す。
パカッと開ければ──そこにあったのは、十字架の片割れピアス。
『これを付けて、いつも竜一を感じてたい。会えない日も、竜一が傍にいるんだって思えたら……きっと、淋しくない』──搬送先の病院で、このピアスを見せながら口にした台詞。
『なら、大丈夫だな』──返ってきたのは、突き放したような台詞。
なんで竜一がそんな事を言ったのか、解らない。
これから先、一緒にいたいと願ったのは、僕だけじゃないと思ってたから。
『嫌だろうけど……これからは、俺のいる所で会って貰う』──それを決定的にしたのは、アゲハ。
でも……僕を心配しての事なのは、解ってる。
お兄ちゃんはいつも、僕の手を引いて光のある方へと導いてくれたから。
だから、僕がまた危険な目に遭わないよう、守ろうとしてくれたんだと思う。
……けど。
受け入れなければよかった。
僕を安全な場所に連れてきてくれたけど、ぽっかりと空いた穴は塞がってはくれない。
苦しい。何も話してくれないから。
竜一に会える約束も、果たしてくれそうにないから。
過去を遠ざけるだけ遠ざけて、それで僕を救おうとしてるのなら……なんか、違う気がする。
これじゃあ僕が、僕ではなくなってしまう。
「……」
そっと目を瞑り、閉じた箱を両手で包み胸元へと引き寄せる。
あの女は誰?
僕達との間に、一体何があったの?
どうして母は、待ち伏せしてまで僕を切りつけようとしたの?
……どうして。
『似合わねぇな』──拙いながら、竜一と始めた儚い半同棲生活。
僕の耳朶の前にピアスをかざし、揶揄うような冷笑を浮かべる竜一。
逞しい腕に抱き寄せられ、甘えつくように縋り付いたあの温もりが思い出され……ひとりぼっちの身体が切なく震えた。
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