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第4話
パッと目を開ければ──
視界に映ったのは、滲んで歪む真っ白な天井。
「……」
鉛のように重い身体。
剥離された精神がその身体に再び融合するかの如く、手足や脳内がじんと痺れる。
次第に戻ってくる現実感に指先がピクンと跳ね上がれば……もう、あの場所に戻れないんだと悟った。
……どう、して……
忘れたくなんか、ないのに……
顔を纏っていた筈の温もりのベールが、僕の頬を優しく撫でながらふわりと消えていく。
「かん、じ……」
両手で顔を覆い、喉奥から声を絞り出す。……まだ微かに残る、彼の温もりや匂いを追い掛けながら。
「……やだ……」
震える声。
確かにあの時は……泥の中に生き埋めにされたみたいに苦しかった。
藻搔いた所で助からないと、何度も思った。
だけど……
寛司と出会えて良かったと……今でも思ってる。
それだけは、変わらないから。
横向きになり、両膝を折り畳んで背中を丸める。
溜まっていた熱い涙が頬を伝って零れ落ち、無情にもベッドシーツを濡らす。
「……」
忘れないよ……どんなに辛い出来事だったとしても。
僕を守ろうとしてくれた事も。淀みなく僕を愛してくれた事も。
……だからお願い。
僕からその記憶を奪わないで。
忘れろなんて……
そんな悲しいこと、言わないでよ。
濡れた睫毛を拭いながら、近くにあった掛け布団を掴んで引き寄せる。
もう一度眠れば、また会えるだろうか。
そんな非現実的な事を考えながら、再び目を瞑る。
寛司に会いたいと……強く願いながら……
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