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第2話
この小屋は遥のおじいさんの所有で遥がアトリエとして使わせて貰っているらしい。
初めて見せて貰った絵は海の絵だった。
遥は大袈裟だって笑ったけど、目が醒めるくらいの青に、思わず息をするのも忘れたほど一瞬にして引き込まれた。
遥の描く絵はどれも青色に特徴があって、吸い込まれるような独特な表現力は言葉で言い表すのが難しい位に見る人を魅了させる。そして描くモチーフは空と海ばかりだった。
「この青ってどうやって描いてるんですか?」
「見えたままの色をのせていってる」
「へぇ、じゃあ遥さんにはこんな風に見えてるんですね。遥さんって空と海しか描かないんですか?」
「好きだから。俺は好きなものしか描かない」
そう言いながら遥はまたキャンバスに視線を向けた。
その儚げな姿に思わずドキンと胸がしなる。
綺麗だからだろうか、初めて感じるこの気持ちに少し戸惑いながらも、僕は遥が絵を描いていく様子をずっと見ていた。
手の動きはそれだけで芸術的で、生み出されるその絵はキャンバスの中で生き生きと輝いている。
こんな感覚は初めだし、こんなの見たことない。
一瞬にして、遥の世界に引き込まれたのだと思った。
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