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第13話
──そして、なし崩しにソファになだれ込む。
「夏樹…ッ……」
吐息交じりに名前を呼ばれる度に、胸がぎゅっと掴まれたみたいに苦しい。
同時に、この人をどうにかして独占しなければと思う。
目の前で、憧れの人があられもない姿で横たわっているのだから余計にだ。
「んっ……あぁっ……」
濡らすものなんか当然持っているわけもなく、ハンドクリーム位しかないと言うと遥はそれでいいと言ったけど、力加減がわからずに戸惑ってばかりで。
ゆっくりと指を抜き差しすると、遥の体がわななき、呼吸が浅く乱れていく様に息をのんだ。
「もっと好きにしていいのに」
「だって遥さん細いし」
「……ばかだなぁ」
そう呟きながら目を細めると遥は少し上体を起こし、僕の唇の中に自分の指を差し入れた。
そして指の腹で上顎を撫で、ぬるりと抜き差ししながらぐるりと回してみせる。
「こうしてよ」
妖艶な微笑みは好きにしていいと言われたみたいに興奮して、それからは遥に教えられるままに指を使い、いつの間にか遥から嬌声が零れ落ちていく。
「あっ……っ、あぁ、そこ……んっ」
執拗に愛撫を続ければ、少しぐったりとした遥の脚を開きそこに自身をあてがった。
「夏樹いいの? 童貞喪失がこんな幽霊でさ」
「幽霊じゃない。遥さんは幽体離脱です」
「こんな時でもちゃんと言うんだ。変なの」
「変なのは遥さんです。……それに、遥さんじゃないと嫌です」
好きだから そう耳元で囁きながら、ぐっと腰を押し進めた。
そして、夢中でキスをする。
包み込まれるような感覚は今までに味わったことがないもので、その強すぎる刺激にすぐにイってしまいそうになりながら、自分の中がすべて遥に支配されていくような感じがしていた。
もう深みにはまったから戻れない。戻ろうとも思ってないけど。
そして遥の中に刻みたい。僕という存在を。
馴染んで、吸い付いて、離さないように。
それだけを思いながら腰を打ち付ければ、次第に遥も甘い悲鳴を上げ、喘ぎながら僕の背中に回す手に力を込めた。
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