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第10話 セックス、した。

 初めて、の時。 「っ」  先生の、デカくて驚いたっけ。  したくて、したくて。  深くて大人なキスも、もうしてたから、その先のことだってするのかなって、想像して期待してた。自分の指で、試してみたりして。 「志保」 「っ……っ、っ」  けど、指なんかよりもずっと太くて。 「あっ、っ、はっ、あぁっ」  ゴムしてるのに、繋がった場所、溶けそうなくらいに熱くて。   「はっあっ」  大きくて。  息するのも忘れて、先生にしがみついたっけ。先生のワイシャツ、必死すぎて皺くちゃにしちゃってさ。帰り、クタクタのワイシャツじゃ車で帰るとしたって大変だったよねって、反省した。 「志保」  今も、同じにしがみついてる。  指と全然違ってた。  今も、やっぱ、熱くて太くて。息、するの忘れる。 「志保、息」 「っ、センセっ」  けど、それが嬉しくてたまらなかった。  先生としてるって、息もできないくらい、いっぱいに身体で感じて、指先が痺れるくらいで、それが嬉しくて泣きそうだった。 「はっ、あっ、お前の中、狭いね……」 「っ、ン、知らなっ」  初めての挿入にいっぱいいっぱい。嬉しいのと、苦しいのと、微かに感じる快感に俺は無我夢中で、一生懸命先生に掴まってるしかできなかった。  先生はエアコンがしっかり効いてるはずなのに、額に汗が滲んでた。  けど、丁寧に、ゆっくり、俺が馴染むのを待ちながら、でも止めることなく、確かに挿入してくれた。  狼狽える俺に覆いかぶさって、時間かけて、全部入ったよ、って教えてくれた。  あの時、先生の声が掠れてたのを覚えてる。  今も耳に残ってる。 「あっ……はぁっ」  だから、他じゃヤだった。  先生が俺の中に来てくれた時のあの掠れた声が耳に濃く残ってて、他所の声が飛び込んでくると、身体が勝手に拒否るんだ。もう、そんなのどうしようもないじゃん。反射的に身体が拒否るんだから。  先生で覚えた気持ちいいこと以外はやだって。  先生に教えてもらったキスじゃなきゃやだって。  先生のじゃないと無理って、身体が勝手に突っぱねるんだ。 「志保」 「あ、あ」  先生が欲しいのに、って、身体が怒ったように跳ね返すんだ。  他のキスも。  腕も。 「あぁっ」  セックスも。 「あ、先生っ」 「?」  先生のじゃなきゃ、やだって。 「先生の、やっぱ、大きい」  脚をいっぱいに開いて、繋がったところをそっと指で触れながら、もう片方の手で、シーツを握って、そう呟いた。  先生を見上げて。  もう結目なんて解けかけの帯に、肌蹴たバスローブ。あの頃よりもずっと男の身体になったでしょ? って、根本まで入ってる先生のをキュッと締め付ける。 「あっ」  おっきいまま、だ。 「あぁっ」  男の身体の、俺、見えた?  もうあの頃みたいに細くないよ。  もうあの頃みたいに手も小さくないし、肩だって華奢じゃない。 「あぁっ、先生の、でか、いっ」  見たけど、萎えてなくて。  見ながら、もっと硬くなってくれた。  繋がった場所がキュって締め付けても、抗って、先生が動いてくれる。 「あぁっ」  セックス、してる。 「あ、あ、あ」  どう、しよ。 「先生っ……ん、ン」  呼んだら、汗を額に滲ませて、しかめっ面をしていた先生が深くて、唾液が溢れるようなキスをくれた。 「あ、先生っ」  あの頃は、したことのない、キスだ。 「あ、はぁっ、あ、そこっ、あ、気持ち、ぃ」  あの頃は、俺が我慢しきれなくてどうしても溢れる拙い喘ぎを閉じ込めるキスをくれた。舌を絡め合って、唇をずっとくっつけたままの挿入。激しくなると、我慢できなかったから。声。廊下に響いたらダメでしょ。だから、キスでいっつも塞いでもらってた。 「あ、あぁっ……あ、ンっ……あ、んんっ」  今は舌を絡めて、唇を重ねがら、でも、激しく奥を突く時は少し唇を離すから。 「あぁぁっ」  声がいくらでも溢れてしまう。 「あっ……ン、ん」  そして、引く時は、行かないで先生って切なくなるから、代わりに口の中を舌であやしてくれる。 「あっ……」  先生のセックスが、あの頃と違ってて、困る。 「あぁっ」 「志保」 「あ、待、あ、あ、あぁっ」  声が溢れる。繋がった場所が突かれる度にやらしい水音を立ててる。ソファよりもずっと柔らかくて、広いベッドで、あの頃よりも。 「あ、あ、あ、それっ、ダメっ、イク」  激しくて、困る。 「あ、あ、先生」  腰を鷲掴みにされた。  肌が打ち付け合う度に、激しいセックスの音が鼓膜も刺激する。教科準備室でしてたのと全然違う、激しくて、熱っぽくて、絡まり合う濃度が濃い、甘いセックス。 「あ、あぁ、それ、ダメっ」  激しく貫かれながら、ほぼ絡みついてるだけになったバスローブから露わになってる乳首にキスをされると、星が視界で点滅するくらいに気持ちいい。 「あっ……ン」  中をいっぱい突かれながら、乳首を噛まれるとたまらなくて。 「はぁ、あっ……あぁっ」  もっと、乳首もいじめられたいって、先生の頭を抱き抱えながら、自分からその唇に押し付けた。 「あっ」  噛まれると、イキそう。 「あぁっ」  舌先で転がされると、乳首が硬くなってるって実感する。感じて、喘いで、乱れてるって、わかるから、余計にまた悦がってる。先生のを締め付けて。 「志保」  その声で名前を呼ばれながらイきたい。 「あ、先生……も」  先生を奥で感じながら、また。 「イきたいっ」 「っ」  壊れるくらいに奥、先生でメチャクチャになりたい。たくさんキスして。たくさん、俺のこと奥まで突いて。  先生の舌で。  先生のでかいので。  お願い。 「あ、あ、あっ、あぁ、ン、アンっ……あ、もっ」  俺で、イって。 「先生」  ぎゅってしがみついた。 「っ、志保」  いっぱいに全部先生のが俺の中に来た瞬間、折れそうなくらい抱き締められて、耳元で名前を呼ばれたと思う。  頭の中も、視界も真っ白だったけど。  先生の掠れたあの低音が、俺の名前を呼んでくれて、嬉しくて、繋がった、このままで、もう溶けちゃいたいって思ったのは、覚えてる。

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