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第38話 ね。

 先生の仕事はしなくていいの? って訊いた。ほら、試験終わったら、次の勉強始まるでしょ? 先生は少し考えて、後でするって、そんな生徒みたいなこと言うから笑った。  宿題やりながらない生徒みたいで。 「あっ……センセ、っ」  泊まってく? って訊かれて、頷いちゃったじゃん。  邪魔になるかもだけど、俺、良い子じゃないから。一緒にいたい人から、そんなの言われて断れるほど、俺、良い子じゃないよ。 「そこっ、気持ちいいっ」  仕事しなきゃいけないから、また今度泊まりにおいでって、言わないと、俺、調子に乗ったままだよ? 「志保」 「ン、ぁっ……先生、気持ちいい?」  大きく足を広げて、はしたないくらいに全部晒しながら、恋しくてたまらない先生に手を伸ばした。  伸ばした手に抗うことなく捕まってくれた先生がそのまま身体を倒して、覆いかぶさってくれる。ぎゅっと抱きついても抗わないで、身体を丸めて、そのまま胸にキスをしてくれる。 「気持ちいいよ」 「あっ、ん、ン」  乳首を噛まれてるとたまらなくて。 「はぁっ」  もっと噛んでってねだって、先生の唇に自分から噛まれたいと押し付けてる。 「あっ、あぁっ、奥っ」  乳首をかまってもらいながら、中を擦られるのがすごく良くて、良すぎて、先生にしがみついてる。 「志保の中」 「あ、あっ、や、ぁ」 「すごいよ」  ゾクゾクって、快感が身体の奥のとこではしゃいでた。  先生の先端にトントンされて、甘ったるい気持ちになる。  このまま溶けたいくらい。  熱くて硬い先生のが気持ち良くて、腰が勝手に揺らめいてる。  ね、もっとそこいじめて欲しい。  ね、奥を先生に責めて欲しい。  そう、ねだって、自分から擦り付けてる。 「志保」 「あっ、ン、あぁっ」  甘ったるくて、蕩けてる。 「あっ、あっ、イッく」  先生の動きが俺の甘ったるい声に合わせるように激しくなっていく。 「あぁぁっ」  快感を追いかけるように、ベッドの上でセックスの音がかき混ぜられてく。肌を打ち付ける音と、喘ぎ声と、先生の乱れた息の音。 「っ」 「あっ……ンン」  先生の、今、すごく。 「志保」 「ぁ……先生っ」  硬いのが奥に。 「っ、あ、あ、あっ、先生っ」 「っ」 「ぁ、イク……イッちゃうっ」  もっと奥まで来て欲しくて。先生のしか届かない、俺の指も、先生の長くて骨っぽい指も届かない奥まで抉じ開けられたくて、いっぱいに脚を。 「あぁぁっ」  開こうとしたら、先生の手が俺の内腿を撫でて、押し開く。と、同時に、貫かれて、花火が瞬いた。 「あ、あ、あっ」 「志保」 「あっ……ふっ……ンンっ」  先生の舌で、熱で。 「あ、あっ……あっ……ふっ、あ」 「っ」 「先生、と、一緒に、イクっ」  溶かされそう。 「あぁ」  その低い声に、キスをくれる舌先に、優しい笑顔に、嬉しくて、気持ち良くて、奥がきゅっと熱を締め付けた。  うっかり、言い忘れるところだったじゃん。  先生が仕事よりも俺のこと優先してくれるから、嬉しくて、飛びついて、今日ここに来た理由を忘れるところだったよ。 「あの、さ、先生」 「?」  お風呂を貸してもらって、先生の服を貸してもらった。下着は……この前、俺が泊まった時のがあるから。それにして、服は貸してもらった。  世話、好きなのかな。  先生が髪を乾かしてくれる。立ったままだと身体がしんどいだろって気遣ってくれて、寝室のベッドに先生が腰を下ろして、俺はその前に座り込んで。  長い、先生の指に髪をすいてもらいながらドライヤーをしてもらうと、たまらなく心地良くて、今、俺って、世界で一番幸せなんじゃないかと思えてくるんだ。  寝ちゃいそ。  そう思ったところで、大事なこと、あ、いや、そんなに大事じゃないけど、でも、それ言いたくてここに来たんじゃんって、慌てて目をパチリと開けた。 「俺、今週末ね、モデルで撮影するんだ」 「あぁ」 「急に仕事、入って」 「そうか。頑張れ」 「あ、うん、ありがと。ってか、そのモデルの仕事、俺以外に三人モデルいるんだけど、超有名な人ばっか」  名前を連ねると、ちゃんと聞こうと先生がドライヤーを切ってくれた。 「コスメの宣伝のなんだけどさ」  テーマを説明して、コンセプト? 社長から聞いたことをそのまま伝える。 「その撮影が急遽入って」 「すごいな」  すごいでしょ?  ね、先生の恋人として、俺。 「志保は綺麗だから」 「っ、ン」  頭にキスしてくれた。  髪ってさ、多分、気持ちとか伝染すると思うんだ。体調悪かったり、テンション下がってたりすると髪が硬くなったりしない? 幸せだったり、嬉しいこととか、楽しいことがあったりすると、逆に柔らかく、艶も出る気がするんだ。  だから、ほら、先生に乾かしてもらった髪はやたらとご機嫌で、ふわふわしてる。 「俺以外、みんな有名人」 「あぁ」  振り返って、膝立ちになって、先生を見つめた。  綺麗、じゃないけど、先生に綺麗って言ってもらいたくて。周りに評価されるのなら、周りから見て俺がいい感じなら、先生にだって俺はいい感じに見えると思うし。 「すごいな、志保」 「っ、あっ」  首筋に触れる唇が、熱かった。 「ぁ……先生っ」  熱くて、さっきまで先生がいた奥がジンってして、熱を帯びる。 「ん、ぁ、先生っ、お風呂入ったばっか、だよ?」  ね、丸つけ、いいの? 「風呂上がりで、色っぽい」 「ホント?」  ね、後でするって言ってたよ? 「あぁ、ホント」 「……っ、ン、嬉し」  ね。 「あぁっ……っ……せん、せっ」  俺、良い子じゃないから、ちゃんと言わないと。 「先生っ」  また、セックスしてもらえるって、嬉しそうに先生に飛びついちゃうよ。

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