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第68話 特別な関係

 ねぇ、すごい好きだよ。  だから、抱いてよ。俺のこと、たくさん好きにしてよ。 「あっン」  奥、がいいから。 「せ、んせっ、っ」  足をいっぱいに広げた。 「ンっ」  四つん這いで、背後にいる先生に見えるように、孔、ヒクついてるのが見えるように片手で、自分でそこを掴んで開いて、もう片方の手で身体を支えながら、腰を高く突き出してる。  すごい恥ずかしい格好。  けど。 「あっ」  先生が興奮してくれるようにって、できるだけはしたなく。できるだけ、やらしく。 「っ、ン」  腰を掴まれただけで、下腹部のとこ、奥のところがぎゅっと、こめかみがキリキリするくらいに切なくなった。指が食い込むだけで、震えるくらいに感じてる。 「志保」 「は、あ、あぁぁっ」  前屈みになるように先生が身体を倒して、興奮で火照ってるせいでしっとりしている髪にキスをしてくれて、そのキスがたまらなく優しくて。  なんか、愛しくて。 「あっ、っ」  溶けちゃいそうに熱くて硬い先端が触れた。そして、そのまま――。 「は、あぁぁっ」  息するの忘れるくらいの圧迫感が来ると、たまらなくて。先生のでいっぱいになってるのが嬉しくて嬉しくて。  前を握られると、やらしい水音がした。 「挿れられただけで、イッた?」 「あ、ン」  わかんない。 「あっ、あっ」 「志保」 「あ、ンっ、や、待たなくて、い、から」  先生のこともっと欲しいよ。奥まで先生でいっぱいになりたい。 「せ、んせ……」  先生に触れたくて、手を繋ぎたくて、懇願するように手を伸ばした。その手をしっかりと繋いでくれル。覆い被さるように先生の体温を背中に感じる。 「あ、あぁっ」  激しくされたい。 「あ、先生っ」  好きだなけ、俺の中で、気持ち良くなってよ。 「あぁ」  腰を両手でしっかりと掴まれ、奥へ打ち付けられる度に、突き上げられる度に、身体が前のめりになる。その度に、中が先生のにしゃぶりつくみたいに、キュンって、してる。繋がってたくて仕方がない。  離れたくない。  くっついてたい。  先生のをもっとずっと深く挿れられてたい。 「志保」 「あ、あ、あ」  もう、気持ち良すぎて、わかんないよ。 「あ、っ……ん、ぁ」 「志保」  先生が俺の中にいて、俺だけ見つめながら、抱いてくれてるってことしか、わかんない。 「あ、あ、あ、先生っ」  激しく突き上げられながら、繋がったまま、先生に引き寄せられて、二人で寝転ぶような格好になった。 「あっ」  中、違うところを先生ので擦られて、思わず声が零れ落ちた。 「ン」  気持ち、いい。  後ろから寄り添うように抱き締められてると、幸せが溢れる気がした。片足を持ち上げられながら、追い立てるように先生が後ろから攻めてくれる。 「あぁ、や、だっ、乳首もしたら、イッちゃう、またっ」  後ろから抱き締めてくれる手が乳首を摘んで、クリクリと指で転がす。気持ちいいって硬くなってるのを確かめられて、恥ずかしいのすら快感にしてる身体の奥が、蕩けるように潤んでしゃぶりついた気がした。 「あぁっ、ン」  すぐ後ろで荒く乱れた呼吸が聞こえると、愛おしさが溢れておかしくなっちゃいそう。  その呼吸に触れるように首を傾げて、キスをした。  身体を捻りながら、抜けたらイヤだから、身体の奥を行き来する熱を味わうように、腰をできるだけくねらせて。 「せ、んせ……」  唇を触れさせながら、呼んだんだ。 「ぁ……ね」  俺の先生。 「?」 「ね」  でも、もう、俺だけの、先生、でしょ? だから。 「名前」 「?」 「呼んで、い?」  甘えるように、額を先生に擦り付けながら、繋げた身体をギュと締め付けて、離さないように蕩けた奥でしゃぶりつきながら。 「篤樹(あつき)さん……って」 「っ」  声が自分のじゃないみたいに甘くて、緊張してるって笑っちゃうくらいにわかる、か細い声で呼んだ。  いつも先生呼びだった。  だって先生だし。学校でさ、先生のこと名前で呼んだらダメじゃん。みんながいる時にだけ気をつけてたって、咄嗟に出ちゃうかもしれない。  絶対に。  絶っ対に。  本当に誰にも知られたらいけない気持ちだったから。  だから「先生」ってずっと呼んでた。他の先生と変わりなく、篤樹さんのことを呼ぶたくさんの生徒と同じように。  でもずっと名前で呼びたかったんだ。  篤樹さん。  特別な関係の人しか呼ぶことのない呼び方で。 「あっン」 「っ、お前ね……」  呼びたいってずっと思ってた。 「あ、待っ、篤樹、さんっ」  怒った顔をしながら体勢を入れ替えられた。起き上がって、俺は仰向けで、足をしっかりと抱えられながら、深く、熱い貴方のを奥いっぱいに突き立てられて、快感につま先までキュッと力が入る。 「イクところだっただろう? 急に名前で呼ぶから」 「あ、あっ、ダメ? 呼んじゃっ、ああ、そこ、イク、も、イッちゃうってばっ、あ、あ、せんっ……」  舌先を絡めて深い濃厚なキスをしながら、孔を激しく責め立てられて、頭の芯が痺れてく。  気持ちいいしかわかんないよ。  熱くて、苦しいくらいで、蕩けるセックスのことしかわかんなくなる。 「名前で呼んで、志保」 「あっ」  篤樹さんのことしか。 「志保」 「あ、あ、あ、ダメ、イクっ、篤樹、さん」 「うん」 「篤樹さんっ、イクっ、イっちゃうっ」 「あぁ、俺も」 「あ、一緒に、イきたいよ、お願いっ、あっン」 「っ」  もうずっと、あの夏からずっと。 「篤樹さんっ、好き」 「っ」 「好き、篤樹、さんっ」  貴方のことしかないくらい。 「あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁっ」  貴方がたまらなく、好き。

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