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第6話

「な…な…いや、えーっと…そんな事… …な、何で?」 翼は人差し指をシーツの上になぞらせた。 その指はのの字を描いている。 「…ホントごめんなさい…。あのね…マコちゃんが寝言?で言ってたからさ…あの…お手伝いしちゃったんだけど…」 翼は愁傷な顔つきで話し始めたが…一方の真は頭は貧血状態で体は薄ら寒く心臓はガンガンと爆速で鐘を打ちまくっていた。 「…俺…何て…?」 「えと…ご開帳状態でローションって色っぽく言ってたからローションをマコちゃんのお尻のあn…」 「ちょっちょっと待って!一回落ち着こ?ね、ね。深呼吸…」 慌てふためきながら真はついうっかりと体を捻った。 「あ!あぁン!」 慌てて勢いよく起き上がった途端、胎内にインされたアレが俺の存在を忘れるなよとばかり誠の粘膜を刺激した。 「あンッ!」 不意に零れた甘い声を翼に聞かれてどっと羞恥に襲われる。 中途半端に身体を起こしたのが悪かった。 そんな真を翼は凝視している。 不自然に上半身を捩った態勢でベッドに手を付いてしまったが…これは…まずい。 『マズい…すぐじゃないけど…、この気持ちよさ…危険だ…』 例えるならコップの端まで満たされた快感…もう少しの刺激があれば再び溢れ出してしまう。 一度出しているとはいえ強い快感が長びけばまた出さずにはいられなくなる。 けれど怖いのも事実だ。 初めて経験した強い快感…出しても引かない熱。 再び身体が昂ったらあの気持ちよさが来る。 感じてみたい…でも怖い。 あんな強い快感、我慢出来るわけない…。 むしろ心配なのは以降それほどの強烈な快感でなければイケなくなってしまうかもしれない身体…。 強すぎる快感に翻弄され昂る体とは裏腹に軽く絶望を意識した。 だが翼からの強い視線で体の奥が疼く。 「ンンッ!…な…んだよもう…」 体を動かした事でお尻にインされたアレが粘膜を強く刺激したのだ。 気持ちよさと羞恥で真は半泣きだ。 『ヤバい…こんな恥ずかしい状況なのに…翼に見られて気持ちいいとか…』 潤んでしまった真の黒目がちな瞳を翼は見逃さなかった。 「…ねぇ…マコちゃん…泣いてる?嫌だった?ねぇ、それとも…気もちよかった…?」 幼馴染を上目遣いに見ている翼の目は色を含んでいる。 こんな翼、真は知らない。 「もうイキたい…けど…ずっとき…もち良いのに…あぁ…」 口に出すのが恥ずかしくて尻すぼみに小さくなる語尾。 恥ずかしいのに…そんな自分の身体を見て欲しい…。 『この恥ずかしい俺を見て』 見られているのに感じている身体。 「…ん?何?」 「な…何でもなぃ…」 真の言葉が聞き取れずベッドに両手をつけ顔を近づけてくる翼は若干硬い声で真に問う。 「ところでさ、昨日何度もマコちゃんに電話したんだけど…電話に出なかったでしょ?」 「…でんわ…?」 月曜から残業が続いていたし木曜日に発送通知を受け取ってからは楽しみにしていた荷物をコンビニで受け取るミッションに気持ちが全部向いていた。 「俺…電話の着信なんて見てない」 「もう。だからミチコさんに鍵を借りて来たんじゃない」 「そうか…」 どうやら真が電話を取らないから翼は直接家にまで来たらしい。 「いつ来たの?」 「…えーっと…始発?」 「土曜の早朝に?電話でよくない?」 しばらくぶりに会う幼なじみの行動を無下にする真の言葉。 「だってマコちゃん今日休みかどうか分からなかったし…仕事の邪魔はしたくないし…たまには会いたかったし…」 翼はやや口を尖らせて…それでも素直に答えた。 「そっか…でも土日は休みだよ」 「良かった。とにかくマコちゃんの仕事の邪魔はだけはしたくなかったんだもん」 「だもん」という可愛い語尾を使う翼は真より七つ年下で昔は可愛らしい顔立ちだったが今はどこをどう見てもイケメンでパッと見の身長は真よりずいぶんと高い。 可愛いらしいよりカッコイイという言葉が似合う外見だ。 「翼幾つになったっけ?昔から可愛いとは思ってたけどちょっと見ない間にイケメンになりやがって」 「イケメン!」 翼の瞳がギラリと輝いた。 「マコちゃん俺の事イケメンだと思ってくれるの?俺のこの顔好き?あ、ちなみに四月になったら十九歳」 「しかしなぁその顔どう見てもイケメンだろ。それから俺は翼の顔、好きだよ」 もちろん優しい性格も。 「ヤッター!嬉しい。ところでさ、マコちゃんは今気になる人とか付き合ってる人とか…いる?」 話が何だか違う方向に向いているような気がするが…まぁいい。 「いないけど…もしいた場合今日みたいに突然お宅訪問されたらマズイだろ」 いい大人が休前日に何をするかって…ねぇ…。 「あ、そうか!だから一人アレで遊ぼうとしてたの?」 「えっ…」 …ギクッ… 翼の腕が真に向かって伸びてそっと腰を撫でた。 そしてそのまま真の腰を抱き寄せる。

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