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第7話

「あッ…ああン…!」 自分より体格のいい翼から逃げられる訳ないのにその腕から逃れようと大きく身を捩った途端に真は再度アラレもない声をあげた。 「…!マ…マコちゃん!もしかして…すっごく感じやすいとか…?」 翼が鼻息を荒くして真につめよる。 『このオモチャ相性良すぎなのでは?』 イケメンの顔が間近に迫っているのに真は頭の隅でそんなことを思った。 空いていた翼の反対側の手が真の胸に近づいてくる。 そこはシャツがはだけていて無防備だ。 『あ、体!胸が丸見えになって…』 はだけた胸を今更隠すように〈彼シャツ〉の前合わせをギュッと掴んで体を隠すがその前に翼の長い指が真の鎖骨に触れた。 「あンッ!」 ちょっと触れられただけなのに全身が甘く痺れ、真の正直すぎる身体は翼のボディタッチに心臓がこれでもかとドキドキ脈打つ。 「バ…バカ!」 年下の幼馴染に敏感になっている身体に触れられて感じてしまった自分が恥ずかしくて、真は半泣きのまま翼を睨んだ。 真に睨まれた翼はなぜか頬を赤らめてふるふると震えている。 …絶対翼の反応はおかしい…。 真の頭の中で疑問符が浮かぶ。 「ひぃぃ…♡マコちゃん…!」 ガバッと真に覆いかぶさった翼は真の唇に自分のそれを押し付けた。 「つば…ンッ!」 なけなしの力で抵抗する真の唇が言葉を発しようと開いたその隙に翼は自分の舌を真の口中に押し込んだ。 逃げようにも両手は頭の上方で固定され、抵抗できない。 それに真が少しでも動くものなら中にインしたアレがここぞとばかりに粘膜を刺激してくる。 あれよあれよと翼の舌は真のそれを奥まで追いかけ逃げ場を無くしてからジュッと強く吸い付くとそれから彼の上顎や歯茎を舐めまわし唇にはこれでもかと甘噛みをした。 爽やかな朝の室内に相応しくないジュルジュルと涎を啜る音。 「んッ…ぁッ…苦し…」 口中を散々嬲られ、捕らえられていた腕が解放され翼の胸をやっとのこと両手で押し返し、真は肩でゼェゼェと息をした。 止めていた分の呼吸を取り戻すかのように。 「こ…これはキスに驚いて呼吸が出来なくなるという超レアな…」 …いわゆる初心者あるある…。 「うわッ…もしかして…ファーストキス…?」 「ウッ…」 図星を突かれた真は掛け布団を頭から被って逃げられない代わりに翼の視界から隠れた。 「ねぇ、マコちゃ〜ん。顔見せてよ。マコちゃんが可愛い過ぎてついキスしちゃったのはゴメンだから〜!ねえ〜」 腕ずくで布団の上掛けを取り去ってしまえば簡単な事なのに、翼は腕力に訴えず 真を説得していた。 「久しぶりに会えたんだからマコちゃんの可愛い顔もっと見たいな。会社はどう?意地悪とかされてない?それに俺の話も聞いてよ〜〜!」 布団の上から真の体を揺すったり、子供にしてやるようにポンポンと叩いてみたりと翼は真のご機嫌を伺っている。 だが真は戸惑っていた。 『翼とはいえイケメンが俺にキス?しかも俺のあんな姿見られてるのに?』 可愛がっていた年下の幼馴染がした行動に理解が追いつかない。 二十五の男に可愛いとは? それに痴態を晒した上にファーストキスまで奪われて…そもそも恥ずかしすぎて翼に見せる顔なんかあるはず無い。 そして追い打ちをかけるように…というか、幸か不幸か…翼が布団の上から真の体を揺するものだから気持ちがよくて…また感じているこの酷い顔を年下の幼なじみに見せるのは罪を重ねるのと同じ事…。 故に掛け布団を挟んでの攻防は続く。 「…マコちゃん怒ってる?」 「…怒ってない…。けどこんな男、可愛くも何ともないだろ!うわぁ!」 布団の中からモゴモゴと答えると、突然体の自由を失った。 「マコちゃん、本当にゴメンね」 真は掛け布団ごと翼に抱きしめられた。

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