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「まさか……俺自身がこんな無様に捕まっちまうとは思ってなかったけどな。せっかくだ。周焔 の連れ合いを鐘崎遼二 が救出できるかどうか皆で拝むのも一興と思うけどな!」
むろんのこと誰にとっても気に掛かるのは当然だ。ともかくは庚兆 の意を承諾し、倉庫で繰り広げられている現状をリアルタイムで確認することとなったのである。
手下たちは冰を連れ去った二人組とは別に、屋上での罠を仕掛ける役目を負った者が更に二人――。彼らは庚兆 に言われてカメラをセットし、映像を共有する係のようだった。その内の一人が屋上から姿を消したと思ったら、残ったもう一人がロープに切り込みを入れて爆弾のタイマーを準備している様子が事細かに映し出され始めた。
成り行きを見守る劉 や源次郎 らも険しく眉根を寄せる。
「貴様……ッ! ヤツらに何をさせるつもりだ!」
堪らずに劉 が訊けども庚兆 は不敵な笑いを見せたまま勝ち誇った顔つきでいる。しばらくすると先程消えた一人が冰 に銃を突きつけながら戻って来たのが分かって、皆は蒼白となった。
そこからの映像は誰もが目を疑う代物だった。なんと彼らが冰 の首にタイマー付きの爆弾をセットして、屋上から吊り下げたからだ。
「このロープ……もしかしてさっき切り込みを入れてたやつじゃねえか!?」
「……クッ! このままではいずれ冰 さんが落下してしまう……」
しかもタイマー付きの爆弾とくれば絶体絶命だ。
「若 と姐 さんも既に倉庫には着いているはずですが……」
冰 の姿しか見えないことから、源次郎 としては鐘崎 と紫月 の現状も気に掛かるところだ。もしかしたら残りの二人を相手に応戦中なのかも知れないと、源次郎 は逸る気持ちを抑えながら画面に映し出される成り行きを食い入るように見つめていた。
「鐘崎遼二 の姿が見えねえようだな。さしずめウチの連中相手に手こずってるってところかね」
庚兆 は意気揚々である。
「本当はこれを周焔 に見せてやるつもりだったってのによ。だがまあ、実物を拝む方がショックはでかいだろうからな。良しとするか」
庚兆 は未だ檻の中でヘラヘラと笑っている。
「貴様ッ! ふざけるのも大概にしねえかッ! ヤツらに今すぐやめるように言えッ!」
劉 が怒鳴り上げたが、屋上の二人は冰 を吊し終えるとすぐに倉庫へと戻って行ってしまった。
「ふ――これで四対二だな。ウチの連中は銃を所持している。対する鐘崎 はおそらく丸腰のはずだからな。さすがのヤツでもそう簡単にはいかねえってところかな」
庚兆 はこれ以前の経緯を知らない為に、冰 を拉致してきた二人が既に鐘崎 らによって拘束されたとは思っていないようだ。むろん劉 や源次郎 もそこら辺の事情は知る由もない。双方、期待と不安に駆られながら画面の映像にかじり付く。
それにしてもこのままでは冰 が危ない。
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