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第15話:お尻のお勉強

 冬真は、コンドームをかぶせてローションを垂らした指で、俺のお尻の穴を外からきゅ、きゅと軽く押し始めた。 「そ、そんなところ汚いだろ!」  俺は抗議したが、まったく取り合ってもらえない。 「ん……、う……」  なんだか、変な気持ちになってきた。  冬真は、ローションを脇に置き、左手で俺のちんこをしごき始めた。 「あっ……んんっ」  思わずもれてしまった声を、唇を嚙んでこらえる。気持ちいいのはちんこであってお尻じゃないんだけど、まるでお尻の穴を触られて気持ちよくなっちゃってるみたいじゃないか。  ぬぷっ、とコンドームをはめた指が、尻の穴の中に入ってきた。  異物感がすごい。  冬真は、しばらくもぞもぞと指を動かしていたが、やがて指を折り曲げた。 「あっ! あ……あぅ!……んぁっ!」  体の奥に、なんだか電流が走ったような気がした。思わず腰が浮く。 「な、なんだよこれ」  そんな俺の様子を優しくみつめながら、冬真は 「ここにはね、朔太が気持ちよくなれるスイッチがあるんだよ」  と言って、何度もそこを押した。そのたびに、体が跳ねてしまうような快感が走る。 「あ……あぁん……はぁん……」  声が出てしまうのが恥ずかしくて、俺は必死に我慢しようとしたが、むしろ大きな喘ぎになってしまう。  冬真は指を二本に増やしてそこを押しながら、ちんこをしごいている。 「あっ、ああっ、だめ、だめぇ!」  体をよじって逃げようとしたが、冬真は体全体と腕で俺の腰を固定しているので動けない。  ぬちゅっ、ぬちゅっ、と冬真は指を出し入れしながら、ややゆっくりめにおれのちんこをしごく。 「や……やだぁ……」  イカせるなら、ちんこでさっさとイカせてほしい。 「朔太の体が、お尻の気持ちよさを覚えるまで、ちょっと我慢してね」  冬真は、俺の耳たぶにチュッとキスをした後囁いた。 「あぁっ……いやぁ……」  俺はもう恥ずかしいやら切ないやらで、泣きそうになってきた。  くちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅっ……  もうどれくらいそうされているのかわからないが、だんだんと尻の穴からちんこの裏側にかけての部分が、熱いような、むず痒いような変な感じになってきた。 「あ……ああん……」  もどかしくてたまらない。腰がもじもじと動いてしまう。  冬真は、ガマン汁をタラタラと垂らしている俺のちんこをしごきつつ、時折尻の穴の中の一番気持ちいいところをきゅっきゅっと押す。そのたびに、俺は体をビクッビクッと震わせて反応した。 「お尻で感じちゃってる朔太、かわいいな」  冬真が、うっとりとした声で囁く。 「んんっ……だめぇ……」  中と外から与えられる強烈な快感に、俺はもう耐えられなくなってきた。 「はあ、はあっ、ダメッ、もう、出る!」  ドピュ! ビュッ、ビューー!!  と勢いよく精液が飛び出した。 「はぁ、はあっ……」  息をするのが精いっぱいだ。体に力が入らない。  冬真に寄りかかって、俺はくったりと放心状態になってしまった。 「朔太……かわいかったよ」  冬真がまた頬にキスをしてきた。 * * * 「う……ひどいよ……。俺は、冬真と一緒に下校したかっただけなのに……」  俺はウェットティッシュで、自分のちんこや冬真の唾液でベタベタになった体を拭いた。 「いや、別にだましたつもりはなくて、この前のデートがあまりにも健全で……いや、それはそれで尊かったんだけど……何もえっちなことができなかったから、溜まっちゃってて……。そこにテニスウェアの朔太を見たもんだから……」  冬真は、若干きまり悪そうに言った。 「お前どんだけスケベなんだよ。……俺は、一緒に下校して、ちょっと人がいないところでこっそり手をつないじゃったりして……、くらいしか考えてなかったのに……」 「朔太の発想がかわいくて、またムラムラしてきた」  冬真は俺を後ろからハグしてきた。 「もう、今日はダメ! 体力的にも精神的にもムリ!」  俺は冬真の上半身を押しのけた。 「うん、わかってる。今度は指三本までがんばろうな」  冬真がまた頬にキスをしてきた。こいつはいったい何を「わかった」というのか。  * * *  俺が下着とズボンをはき直していると、冬真は、キスしまくって汚れた眼鏡を外してテーブルに置き、キッチンに立った。 「アイスコーヒーを淹れてやるよ」  正直、さっき冬真のを口で飲み込んでしまって喉になんとなく違和感があったので嬉しい。  冬真は、赤銅色に光るおしゃれな金属のカップ2つに氷を入れて冷凍庫に入れ、それからポットを火にかけた。  その間に手際よくコーヒーサーバーにドリッパーとペーパーフィルターをセットし、キッチンの棚にいくつも置いてある銀色の保存容器から1つを取り出した。多分色々な種類のコーヒーが入っているんだろう。  デジタルスケールの上にショットグラスみたいな小さなコップを置き、保存容器からザラザラと豆を出す。 「えっすごい! 粉じゃなくて豆から挽いてくれるんだ」 「フフ、コーヒーは、挽きたて淹れたて茹でたてだ」 「なんか最後ソバがまざったぞ」  冗談を言いながらも、家庭用の電動コーヒーミルで豆を挽いて粉にして、ペーパーフィルターに入れて、上からトントンとメジャースプーンで押す。  すでにめちゃくちゃいい香りがしている。  ラタンのコースターを2つカウンターの上に並べ、冷蔵庫から出したビスケットを1枚ずつ縁に乗せた。  俺が好きなカルディのカラメルビスケットだ。  そうこうしている間にお湯が沸いたようで、冬真は見事な手つきでドリップしていく。  ぶわわわ……と粉がドームのようにふくらんで、いい香りが漂ってくる。  かなり濃いめの、ほぼ真っ黒い液体を、冷凍庫から出した赤銅色の金属カップに注ぐと、ピキピキピキッと氷が割れながら、たちまちアイスコーヒーができあがった。  冬真は2つのカップをラタンのコースターに乗せて、キッチンカウンターに置いた。 「できたぞ」 「わ~~~い」  なんかただコーヒーを淹れてもらっただけなのに、すごい「もてなされている」感がある。 「うま~~い!」  遊園地に行った時に飲んだ、水出しアイスコーヒーよりも苦いけれど、コーヒーの味がはっきりしていて、さっぱりしたい夏にぴったりだ。甘いビスケットともよく合う。  冬真の淹れてくれるコーヒーがおいしいので、俺もだんだん、砂糖やミルクを淹れなくても、コーヒーが飲めるようになってきた。  ずおおおお~、と一気に飲んでしまう俺の様子を見て、冬真がにこにこ微笑んでいる。  なんか照れるけど、ちょっと嬉しいな。  その時、ガチャガチャっと鍵の開く音がして、「ただいま~」という声がした。  塁さんの声だ。 「あれ? え~と……朔太くん、来てたんだ」  玄関からリビングに入って来た塁さんは、俺を見て言った。 「あ、おじゃましてます」  ──えっちなことしている最中じゃなくてよかった……。 「いや、こちらこそおじゃまだったね。ちょっと忘れ物を取りに来ただけだから、すぐ店に戻るよ」  塁さんは笑った。一方の冬真は、眉間にシワを寄せて渋い顔で塁さんを睨みつけている。  ──頼むからこの前の面前ディープキスみたいなことは繰り返さないでくれ……。  俺は内心冷や汗をかいた。 「いえっ、そんなことないです! 俺ももう帰ります!」  そう言って荷物を持って玄関に移動する。  玄関の棚の上に、この前見た、塁さんと藤姫桃香と小さい冬真の写真がまた飾ってあるのに気づいた。 「あ、これ! 塁さん、この冬真、すごくかわいいですよね!」  俺が言うと、塁さんは、 「でしょ? かわいいよね! ……そうだ、他の写真も見る? あんまり多くないけど……」  とパァっと笑顔になって俺を手招きした。 「ちょっと待ってね!」  塁さんは、自室のドアを開け、中で何やらごそごそやっている。  ドアの隙間から、塁さんの部屋が少し見える。  ──どんな部屋なんだろうな……。  俺は好奇心でこっそり覗いてみた。  ──AVとAV女優のポスターばっかりだ……。  本棚にはAVがぎっしりと並べられている。タイトルはよく見えないが、壁に飾ってあるポスターには、 「藤姫桃香 最新作! S女帝の淫獄調教絶頂攻め」  というド派手なキャッチコピーが踊っている。 ──家族の出演しているAVのポスターが飾ってあるのって、どうなんだろうな……。  塁さんが、「あったあった~」と言って出てこようとすると、 「おい変態親父! 余計なことするんじゃねーよ」  冬真が後ろから間に割って入った。 「朔太、早く帰らないと、またこの前みたいなことになるぞ」  と脅してくる。  この前って、塁さんの前でディープキスした時の話だよな……。 「ちぇ~、ケチ~。冬真今度見せてくれよな」  面前でちんこを揉まれたりしたらシャレにならないので、残念ながら俺はおとなしく帰った。

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