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先輩×後輩

 いつもの神社に着くと、先輩は砂ぼこりを払った所に僕を座らせた。 「今日クラスの女子が先輩の話してた」 「へー、なんで?」  ここでは幾分(いくぶん)かお喋りになって先輩の関心を探ることに努めた。気難しい人ではないけど、他人や周囲への興味が薄く、好きなものを聞き出すのにさえ苦労している。 「いつもの話ですよ。カッコいいとか、彼女はいるのかとか」 「あぁ。そんな話ね」 「興味ないんですか。それとも年下がダメ?」 「全然」 「じゃあ」  遮るような強引なキス。何度か抵抗して話を続けようとするも「なんか不満?」と耳元で囁かれたら、理性のある関係なんていらなくなってしまう。 「さっきしたのに、もう我慢できないの?」  先輩はえっちの時だけよく喋るし挑発的だ。僕は恥ずかしくなって顔を背けた。 「いいよ。勝手にするから。見えないほうがおまえも興奮するしな」  シャツを脱がさずにわざと上から触る。隙間から指に肌が触れ、腰がうねるように反ると、それを愉しむように繰り返し焦らされた。 「んっ。はぁ」 「直接触ってほしい?」  膨らみ始めた僕の情けない下半身をぐりぐりと押す。 「あっ、せ、んぱい」 「可愛い」  先輩の声だけで、もうイってしまいそうだった。でもそうしたら、この幸せな時間が終わってしまう。我慢するのは苦しくて、なぜだか心も痛くなった。 「してあげるよ」  ベルトに手をかけた先輩の続きを咄嗟(とっさ)に阻止し、散り散りになっていた理性の欠片を集めて出たのは「先輩の家に行きたい」と自分でも思ってもみない台詞(せりふ)だった。

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