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第30話 🌾童貞卒業させてくださいっ

 ある夏の日の晩。  綾人が仕事から帰ると、灯織とおもちが床の上で溶けていた。 「あづいよおおおー」  と、灯織。身につけているのはパンツ1枚だけ。上半身は裸だ。 「なーなーなーなー!」  おもちは、真っ裸だ。もふもふのしっぽを下げて、少し苦しそうだ。 「エアコン付けてるから、そこまで暑くないだろ?」  部屋の中は、2人が溶けるほどの暑さには感じられない。おもち用の、水枕を用意して頭の下に置く。すると、少し舌を引っ込めて目を瞑りだした。整った呼吸で、白いお腹を膨らませたり、萎ませたりする。涼がとれて、眠りについてしまったようだ。 「綾人っ」 「わっ。なんだよ……」  灯織が、待ってましたと言わんばかりに綾人に抱きついた。おもちを起こさないように、小声で話しかける。 「俺は今日は、むらむらする」 「は?」  もじもじ、とその場で上半身を腕で隠しながら灯織は。 「今日はできそうな気がする。だから、シたい」  どくん、と綾人の鼓動が1つ跳ねた。灯織とは初めてのキスをして以来、度々キスをせがんでくる事があり返していたが、セックスの誘いはなかった。灯織が童貞という話は前から聞いていたから、無理に襲おうなどという野蛮なことは綾人の頭には浮かばなかった。いつか、タイミングが合えばできたらいいな、なんて。そのために、男とのやり方を動画で学んだりなど、準備は万端にしていた。  とろん、と甘く溶けた瞳の灯織の手を引き寝室に誘う。ドアを閉めてから、部屋の光を暗くした。  ベッドの端にちょこんと座る灯織。灯織の今日の髪型は、珍しくハーフアップだった。肩までつく長さの紺色の髪を後ろで束ねている。 「っ」  綾人は灯織の顎に手をかけて、くいと上に向かせた。目が合うと、瞳の中がうるうると揺れている。その綺麗な瞳に溺れていくように、綾人は灯織の唇に、自身の唇を重ねた。  ちゅ、ちゅ、はむ、と首の角度を変えて灯織にキスを降らせる。その間も灯織の背中に手を回し、無防備な胸のツンと小高くなっているところを人差し指の腹で撫で回す。初めて触れられたそこは、やや陥没気味だったが綾人がくるくると優しく撫でていくにつれ、しっかりと自立して勃っていく。 「ん……ぁ」  細い身体を小刻みに震わせながら、灯織は綾人からの愛撫を一身に受けている。慣れない中でも綾人の頭を包むようにして支えて、今度は自分から舌を絡めてきた。  じゅ、じゅ、と灯織からの拙い口付け。されるがままにさせていると、灯織の下半身に訪れた変化に気づく。灰色のハイブランドの下着のロゴ。その下着にシミが出来ている。    綾人は灯織の下着の上に手をかける。ぴく、と灯織は肩を揺らしたが嫌がる素振りは見せない。それを確認してから、綾人は灯織の下着の上から灯織の屹立を揉みこんだ。既に上を向いているのがわかる。下着の中に手を差し込めば、濡れた先端のくちゅくちゅという音が、部屋の中に落ちる。

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