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偏愛Ⅱ《ハルカside》7
ぐったりとしている竜を見下ろし、このままソファーで最後まですることに決めた。
だって今日は俺の誕生日なんだから、それぐらい許してくれるよな神様?
しかし俺は男との経験が無い。
どう抱いていいのかも未知の領域だ。
余裕のない顔を観られたくなくて竜を四つん這いにし、バックから挿入をしようと竜の秘部に自分の指を挿入した瞬間…
「…めて、………と…さん…」
「止めて父さん」と、
竜は息を切らして小さく呟いて震え出す。
あぁ、そうか。
そうだよな。
竜にとってセックスは父親を満足させるための儀式でしかないんだ。
俺は竜を正常位の体勢で押し倒して見下ろした。
竜は震えながら目をぎゅっと瞑って顔をそらす。
「竜…目ぇ開けて」
違うよ。
違うから。
「竜」
今、お前の目の前にいるのは俺だから。
「大丈夫、俺だよ竜」
そう耳元で囁くと、竜は恐る恐る目を開けた。
「ハル…カさん…」
「竜…今日は止めよう」
目に涙を溜めて、
こんなにガチガチに震えて、
歯を食い縛って。
相当父親に酷く犯されてきたのが直ぐに分かった。
「大丈夫です…最後まで…」
「俺ならもう満足だから」
「大丈夫ですから…して」
大丈夫だって言うのに体は震えてて、
呼吸も荒くて、
今にも泣きそうなのに、
でも俺の手を握って放さない。
「なぁ気付いてるか竜?俺も実はめっちゃ緊張してんの」
俺は震える竜の片手を掴み、俺の心臓に移動させた。
「鼓動やばいだろ。プレスティッシモぐらいの速さあると思う」
俺は自分の鼓動の速さをメトロノームの速度で例えた。
俺のその言葉で竜の顔が緩み、呼吸も徐々に普通になっていった。
「好きなやつ抱くのって何気に初めてだなって思ったら、俺の方が震えそうだよ。ダサいだろ?」
「…可愛いです」
「お前が言うなよ」
「もう本当に大丈夫だから…ハルカさん…きて」
そう言われ、マサくんからもらったコンドームの箱を開け、個装されているコンドームを取り出した。
「生でも大丈夫ですよ?」
「こら。そんなこと二度と言うな。大切にしたいんだよお前のこと」
根元までゴムをしっかりとつけて、準備が出来ている竜の秘部に自分のモノを押し当てた。
もう一度、竜が目を閉じたら。
もう一度、竜がこの手を離したら。
そしたらすぐに中断しよう。
「無理するなよ?」
竜は頷き、俺はゆっくりと挿入した。
「あっ…」
なんだよこれ。
気持ち良すぎんだろ。
まだ半分も入ってないのに、こんなに気持ち良かったら、全部入って更に出し入れ続けてたらどうなっちまうんだよ。
そんな余裕の無い姿を見られたくなくて、キスをしながら腰を揺らした。
竜は何度もそのキスに応えてくれた。
根元ギリギリまで自身をぶち込んで、腰の動きを速くして。
ヘッドホンから漏れる音楽以上に、繋がっている秘部からイヤらしい音が部屋に響く。
「深…いっ―…ん―…ハル、カさ…あっ、アッ!ん―…はぁ、んんっ、アッ」
散々竜を攻め続けた結果、俺自身は既に限界を迎えていた。
「―…は、イキそ…」
まるで童貞かのように既に果てそうになっている自分が恥ずかしすぎる。
もっと竜のナカを堪能したいのに、早くぶちまけたくて仕方ない。
俺はまるで獣のように腰の動きを速くした。
「速いっ、奥っ―…あっ…ハルカさ、んっ!―…俺も、イ、…クッ、アァッ!ん―…イクッ!!」
竜がイッたとほぼ同時に俺も竜のナカで果て、全ての精液を出しきってから自身を抜いて竜の顔を見た。
「好きだよ、竜」
その言葉に竜は泣きそうな顔で微笑んでいた。
それが嫌だからなのか、嬉しいからなのか、どんな感情なのかは聞けなかった。
そして竜は、目を閉じて小さな声で呟く。
「―…ありがとう…ございました…」
それは俺への礼では無いということがすぐに分かった。
その言葉を発する時に、震えが戻り、呼吸が少し荒くなったからだ。
あぁ、染み付いているのか。
父親との地獄の行為が。
好きなやつを抱けたのに、嬉しさよりも怒りの感情が生まれるなんて。
竜、大丈夫。
大丈夫だから。
―…俺が、守るから
「ハルカさん、もうソファーで寝るのやめて一緒にベッドで寝ませんか?」
「…襲うぞ?」
まぁもうこのソファーで寝たとしても、今日の出来事思い出して襲いたくなるからどこで寝ても一緒か。
「性欲を満たすためならいくらでも。俺の体を捧げても足りないぐらいお世話になってるんで」
「―…」
性欲を満たすため、か。
俺は性欲も心も満たされる。
だけど竜は違う。
俺への礼として体を差し出すだけ。
それがいつかちゃんとした『愛情』に代わり、俺を心から愛してくれたらどんなに幸せだろうか―…
俺も、竜も
幸せになる権利はあるんだ。
22歳の誕生日。
俺は竜をいつか父親の呪縛から解放させてみせると誓った。
【to be continued】
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