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偏愛Ⅲ≪ハルカside≫4

「俺もさ、好きなやつ―…竜と一緒に暮らしてるから幸せなんだよ」 「竜くんとエッチしてるんだもんね♡」 「お陰さまで♪」 マサくんがくれた誕生日にコンドームとローションのお陰です。 「どうせ帝真は仕方なくヤッてるだけで、お前には興味ねぇだろ」 兄貴め。 痛いところをついてきやがる。 「ねぇ哀沢くん、ハルカちゃんが竜くんと結婚したらJEESの帝真竜が義弟だよ?応援しようよー」 けっこん!? そうだよな、今は日本でも同性婚できるんだもんな。 竜が俺の嫁…妻…奥さん… あぁ、響きが最高。 「竜と結婚!―…してぇぇぇぇ!!」 「心の声が駄々漏れてんだよ低脳。まずは交際からだろ。まぁ無理だろうな。帝真にも選ぶ権利がある。俺が帝真ならこんなやつ論外だ」 兄貴からの冷血な態度に慣れている俺は、そんな兄貴を無視して焼酎を飲みながら語り続けた。 「マジで幸せにするから結婚して欲しい。可愛いんだよ。体もエロいし。俺さぁ音楽バカで性欲薄いはずなのに竜相手なら毎日してぇし…相性もよくて」 「誰が聞きてぇんだよ、てめぇの性欲の話」 「え、俺聞きたぁい♪」 兄貴はため息をついていたが、マサくんは俺の話に興味津々だった。 俺は兄貴をいないものとして、マサくんを見て続けた。 「肌も柔らかくて白くて乳首もピンクでさぁ…」 「俺の乳首もピンクだよ♪」 「マジ?見せて?」 「哀沢くん、見せていい?」 酒が入っているからだろうか、シラフでは絶対に兄貴に言えないことを言う俺と、更に兄貴を挑発するマサくんがいた。 兄貴はウィスキーのロックを飲み干してから、マサくんを笑顔で見つめて言った。 「別に見せても構わねぇけど、この後どうなるか分かるよな?酒が入って機嫌が悪くなった俺を体で鎮めるには何時間必要だ山田?」 笑ってるのに、笑ってない。 こうなったときの兄貴は、きっとマサくんの体力関係なく容赦なく朝方まで抱き潰すであろう。 そんな兄貴の発言にキュンキュンしてるマサくんはむしろ俺に乳首見せたさそうだな。 「帝真も普通に学校来れてるし、お前がもう面倒見る必要ねぇだろ。寮に戻れって言えよ」 「やだよ」 「哀沢くん!ハルカちゃんは竜くんとの同棲生活楽しんでるんだからそんなこと言わないのっ」 そうだよ、マサくんの言う通り。 せっかく好きなやつと一緒に暮らして、セックスもして最高な環境にいるのに自ら手放すわけねぇだろ。 「帝真からは好きって言われてんのか?」 「―…言われてねぇよ」 「どうせお前のことだから、バカみてぇに一方的に好き好き言ってんだろ?単純低脳だからな」 「―…」 マジで兄貴の洞察力と、触れてほしくない部分に核心をついてくるあたりが敵に回したくない理由の1つだ。 「図星だろ?一回好きって言うの辞めてみろよ。不安になってお前のこと気になるかもしれねぇから」 「…無理。伝えたくなる」 「哀沢くんは俺に普段好きって言ってくれないけど、たまに好きって言われるとめちゃくちゃ幸せだよ」 「俺は…常に伝えたい。好きって」 なんで我慢する必要があんだよ。 好きなやつに好きって伝えて何が悪いんだよ。 つぅか、好き過ぎて我慢できねっつの。 「ハルカちゃん、たまに言われる愛してるの破壊力やばいよ。俺それだけでイキそうになるもん」 「無理だろこいつ低脳だから」 そこまで言うなら、やってやろーじゃねぇかよ! 酒が入っているせいか、言われまくった俺は我慢出来ずに勝負を仕掛けた。 その相手が兄貴だということも忘れて―… 「じゃあ飲み比べしようぜ!兄貴が勝ったら竜に好きって言うの辞めてやるよ」 「くだらねぇな。やる価値のねぇ勝負だ」 「俺が勝ったら、マサくんの乳首の色がピンクか確認する。確認するときついでに乳を揉んで乳首にしゃぶりついて舌で転がして乳首イキさせてもらうぜ」 マサくんを指差し、その発言でマサくんは嬉しそうに両手を自分の頬に当てて照れ出した。 「えー!乳首イキは哀沢くんだけでいい…けどハルカちゃんの攻め方も気になる―…あ、嘘だよ哀沢くん♡」 マサくんのことを果てしなく愛している兄貴が、珍しく俺の挑発に乗る。 「誰に勝負を挑んでるか分かってんのか?俺をなめるなよ?」 「舐めるのは兄貴じゃなくてマサくんの乳首だよ。俺だって昔より酒めちゃくちゃ強くなってんだぜ?マサくんが乳首しゃぶられる姿を指咥えて見てろよ兄貴!」 ―…負けた、という記憶まではある 気付くと俺はベッドの上で竜の太ももを枕にしていた。 「俺のこと好き?」 「好き」 あー、やべ… 好きって言っちゃってるわ俺 言うの今日までってことでいい兄貴? 「でも体は汚れてるよ。父さんに色々されて…自分でも消えたくなるぐらい、汚れてる」 それはお前のせいじゃないから。 俺が必ず塗り替えてやるから。 「お前はキレイだよ。体も声も心も。父親とのことは時間かけて忘れさせてやるから」 「ハルカさん…」 「だから早く俺のモンになれよ…俺はお前の全部受け入れて、守り続けるから。ずっと俺の傍に居て欲しい」 お前以外いらないから。 お前にそんな辛い顔させないから。 俺で良かったって思わせて見せるから。 「愛してるよ、竜」 なぁ、マサくん。 この「愛してる」って破壊力どのくらいかな? こんなこと言ってるの兄貴にバレたらまた諭されるわ―… あー、竜の太もも気持ちいい 天使の太もも―… 俺もしかしてこのまま召されんのかな? と思う頃には俺は夢の中で更に酒を飲んでいた。

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