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偏愛Ⅲ≪ハルカside≫5

翌日、起きた頃には昼を過ぎていた。 それと同時に今までに無いぐらいの二日酔いが俺を襲い、兄貴との勝負に負けたことを思い出した。 「《ふざけてるのハルカ?ベースがズレてて歌いにくい。二日酔い?寝てていいわよ。一生、そこで寝てて。もうハルカのベースはいらない》」 「《ごめん宝…》」 珍しく宝に怒られた。 二日酔い―…いや、三日酔いぐらいになりそうなほど、俺の体調は最悪だった。 「そぉよぉん♪クソの最上級みたいなベース次に弾いてごらんなさい!結腸までゴリッゴリってアタシのマグナムぶちこんで別の音奏でるからねぇん♡」 「―…マジ勘弁してください」 「ハルカ…、ヴァイアは7割今の発言本気だ。頑張れ」 「マジかよ…」 そう陽に真顔で言われた俺は激しい頭痛を耐えてベースを弾き、何とかヴァイアさんのマグナムを阻止できた。    「ただいまー。お、今日は鍋?いいねー」 「お帰りなさい。いま野菜入れたばっかりだからもう少しかかりますよ。お風呂沸いてます」 「じゃ先に風呂入ってくるわ」 俺は風呂に入りながら未来の嫁の成長ぶりに感動していた。 竜と一緒に暮らし始めた頃、竜は家事は皆無で、炊飯器のスイッチすら入れられなかった。 それが自ら野菜を刻んで、鍋を作ってくれているなんて。 幸せの極み。 「しかも鶏白湯スープ。胃に優しくて最高。チゲだったらきつかった」 「まだ頭痛いんですか?」 「めっちゃくちゃ痛ぇ。ベースの低音も頭に響いたし、宝に怒られた」 そう、久し振りにあんなに宝に怒られた。 帰り際にヴァイアさんにキスされそうになるし。 「昨日、山田先生も一緒に飲んでたんですね」 「あぁ。マサくん用事無くなったみたいで途中から来た。兄貴と飲み比べ。だからめっちゃ飲んだら二日酔い。負けたし」 負けたし、好きって言うなって言われたし。 やんなきゃよかったなあんな勝負。 「ハルカさん、昨日帰ってきてから言ったこと覚えてる?」 「昨日?何か言った?待って思い出す」 竜に何か言った? なんせ飲み比べまでの記憶しかない。 俺はどうやって帰宅したのか、どうやって寝たのかさえ覚えてない。 微かな記憶を振り絞る。 「あ、おっぱい見せて?揉ませて?って言った気がする。竜の揉んだ?だからじじいって言われたのか」 「いや、何も言ってなかったですよ」 「何だよ焦った。変なこと言ったのかと思った」 でも乳の話はしたような… あ、あれ飲み比べの時で竜の前じゃないか。 俺は痛い頭を振り絞って昨日を思い返す。 「あ、そうだ。兄貴に言えって言われたんだけど…竜、無理してここにいるなら前みたいに寮に戻ってもいいからな」 「そうですか。じゃあたまには寮に戻ろうかな」 なんだと… ここがいいです!って即答されないあたり、俺もまだまだ竜の心を掴めていないんだなと実感した。 「俺はもちろんいて欲しいけど、決めるのは竜だからな。俺がここにいろって言ったらずっといてくれんの?」 「ノーコメントです」 「小悪魔め」 「俺、お風呂入ってきますね」 竜が風呂に入っている間、キッチンを片付けてから寝室のベッドで横になった。 あー、頭いってぇ… その時、俺のスマホが鳴った。 「ん―…マサくん?電話珍しいな。マサくん昨日はどーも」 『ハルカちゃん、哀沢くんそっちにいる?ケンカして帰ってこないー』 「いないよ。帰ってくるよ。つかケンカって何したの?」 『哀沢くんのプラネットのチョコ食べた…』 「あー、兄貴プラネット大好きだからなぁ。取り寄せれば?」 気付くと風呂あがりの竜が寝室に入ってきていた。 あぁ、風呂あがりも可愛いなぁ未来の嫁は…と思いながらマサくんとの会話を続けた。 「つーか俺、今日マジで二日酔い―…ん…」 竜は電話をしている俺の顔を押さえてキスをした。 「りゅ―…ん…」 それがすぐに終わるキスでないことはすぐに理解した。 息継ぎも出来なくなるほどの深いキスを続ける。 「ん―…は…りゅ……」 キスの音が確実にマサくんにも聞こえてるだろう激しいキス。 そして竜は俺のスマホを置いて、画面を切った。 「ねぇ、しよ」 珍しく情熱的な誘い方をする竜に少し戸惑いながらも、俺はそれを当たり前かのように受け入れた。 「明日休みだから…たくさん抱いて」 「二日酔い治るまで抱くぞ?」 「いいですよ」 俺は竜をベッドに押し倒し、そしてキスをした。 さっきのキス以上に、もっと欲しくなるイヤらしいキスを何度も。 「ん…ふ」 舌を絡め合い、激しいあまりに竜の口から唾液が垂れる。 それなのに竜が少しだけ上の空のような気がして、竜の耳を舐めながら囁いた。 「集中しろ」 「は、あっ…」 俺は竜の服を脱がせ、鎖骨を舌で舐め、そのまま乳首を苛めた。 いやらしく音を立てて吸ったり舐めたりする。 「やっ、あ…あっ、気持ち…い!んぁっ…」 そこで俺は気付いた。 電話がまだ通話中の画面であることを。 マサくんが電話を切るわけもないし、もしかしたらスピーカーにして兄貴とこの営みを電話で聞かれているかもしれないということに興奮した。 「あっ、ん…ハル、ん…あっ」 俺は乳首を攻めながら、竜のズボンから硬くなった竜のモノを取り出した。 先端がまるでローションを使ったかのようにヌルヌルしていて、俺はそれを扱きながら乳首を吸い続けた。 乳頭を唇で挟んで、舌先で舐めて、弾いてを繰り返されると竜の喘ぎ声が寝室に響いた。 「あっ、アアッ!んっ、アッ、アッ…や、ぁっ―…も、イキそ―…んん…イ、クッ…イく、イクッ―…ッ!!」 「今日どうした?ヤケに感じやすいなお前」 普段から感じやすい体はしているものの、ここまですぐにイく竜は珍しい。 「も、…これ欲し…」 そんな竜に興奮して硬くなっている俺のモノを、足先で刺激をしてくる竜。 「まだだ」 俺がそう言うと、竜は逆に俺を押し倒し、ズボンを下げて硬くなっているモノを取り出した。

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