65 / 100

偏愛Ⅴ≪ハルカside≫7

それからの俺は止まらなかった。 どこをどう愛撫をしたのかさえ記憶が曖昧で、まるで俺は獣そのものだった。 ただ、無意識ながらコンドームを着用しようとして竜に止められたのだけは覚えていた。 「ハル、カさ―…ナカに、出してっ!奥にハルカさんの精液注いで、あ、んんっ…」 何度も体位を変えて、竜のナカに精液を出して、竜の感じてる姿に見入って。 それだけで何度でも興奮して、何度でもヤれた。 「アッ、ん…ハルカさ…!んっ!奥、熱い―…もっと…もっと出して―…ナカ、にっ」 抜かずにまた硬くなるまで挿入したまま、キスや愛撫を繰り返す。 繋がっている部分が温かくて、心地いいことを感じながら何度も竜のナカで果てた。 「は、…竜」 「ハルカさ、んっ…好きぃ」 「愛してる…竜」 「俺もっ…愛してます、ハルカさん―…」 何度も何度も「好き」と「愛してる」を繰り返して、これ以上ないぐらいの幸せを感じて。 「ハルカさん…手、繋いでっ、ん…は、あっ―…キス、してっ」 繋がれてる手にさえ興奮して、竜にキスをしながら腰を揺らした。 「竜、もう放さねぇから」 この手を放すことなく、お前を守り続けるから。 ―…愛してるよ、竜 目が覚めた頃には昼間になっていて、リビングでコーヒーを飲んだあと寝室へ戻った。 そして昨日のことを振り返った。 ぐっちゃぐちゃのベッドの上、この有り様…相当激しくしたよなぁ。 お互いイキまくったし、ゴム着けてねぇから残骸やべぇし、噛まれ過ぎた左腕痛ぇし。 一息ついて、俺はベッドに腰かけて寝ている竜の髪を撫でた。 寝顔まじで天使… そんな邪心を抱いていると、俺の気配に気付いたのか竜は目を開けた。 「ハルカさん……おはよ」 「おはよ、竜。もう昼間だけどな」 俺がそう言うと、竜は体を起こして時計を見る。 「…いてて。あはは…全身筋肉痛」 「大丈夫か?」 「大丈夫。痛いってことは夢じゃないってことだから」 そう言って笑う竜が可愛くて、抱きしめようとした瞬間、竜の目から大量に涙が溢れた。 「え?なに?…めっちゃ痛ぇ?」 伸ばしかけた手でキスマークだらけの竜の体を触り、腫れてる箇所が無いか確認する。 竜は泣きながら首を横に振り、両手で顔を隠して言った。 「違う。だって…好きだって気付いてからハルカさんとセックスするの初めてで…夢じゃないんだって思ったら嬉しくて…」 俺は抱きしめようとしていた腕を再び伸ばし、竜の背中に手を回して言った。 「あのなぁ、泣きたいのはこっちだから。俺なんて2年半お前のこと好きだったんだぞ?」 俺を癒してくれて、 また歌を歌えるキッカケをくれて、 こんなにも大切で、   ―…こんなにも愛しい存在  「やっとお前が手に入ったよ竜―…」 「ハルカさん…たくさん迷惑かけてごめんね」 「またそれかよ?いいんだよ。気にすんな」 手を離し、竜の頭をくしゃくしゃにして、両手で竜の頬を挟んで泣いてる瞳を見つめた。 「守り切れなかった俺も悪い。気付けなかった。御崎の行動」 「ハルカさんは悪くないよ。俺が…んっ…」 『俺が悪いんだよ』って言おうとした瞬間、俺はキスをして再び強く竜を抱きしめた。 「あのなぁ、俺はお前に謝って欲しいんじゃねぇんだよ。お前には笑っててもらいたいだけ」 「でも…」 「あーもう!忘れろ!過去のことは無しだ!俺は気にしてねぇから」 竜は何も悪くない。 長年父親の呪縛は消えず、自分の体を捧げることが愛だと勘違いしてる。 頼りたい大切な家族は亡くなった。 普通の人が持っている通常の感情が迷子なだけなんだ。 「おい…泣くなよ」 「嬉し泣き」 「…なら良し」 俺は笑いながら、嬉し泣きだと言い張る俺の背中をさすった。 大丈夫だよ、竜。 これから俺が時間かけて忘れさせてやるから。 酷い過去をお前から消し去って、幸せにしてやるから。 「なぁ竜。お互いに知らないこと、まだまだあるだろ?これから時間かけて知っていこうな」 「うん」 「俺はお前に何も隠さず話すから」 「うん。俺もハルカさんだけを信じる」 経験しなくていいような辛い経験をして、それでもそんな姿を見せずにこうして笑っている竜は強い。 だけどな、竜。 お前は甘えていい、強くなくていい、弱くたっていい。 俺がこれから支えるから。 「ねぇハルカさん…俺なんかでいいの?」 「お前しかいらねぇよ」 だからその笑顔を絶やさずにいてくれ。 それだけで俺は、お前のためなら何でも出来るから。 「愛してるよ、竜」 「俺も…愛してますハルカさん」 必ずお前を幸せにしてみせるから―… 【to be continued】

ともだちにシェアしよう!