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偏愛Ⅴ≪竜side≫2

ねぇ、どうして? なんで歌ってるの? だって、自分の歌声だけで吐くって… 最初は衝撃過ぎて頭が整理できなかったけど、ハルカさんの歌声が音楽に乗ってライブ会場に響き渡り続けると一人のファンとして見入った。 MAR RE TORREとはまた違う興奮。 やっぱり俺の予感は間違って無かった。 ハルカさんの歌声―…俺なんかより最強だよ。 4曲目を歌い終わって、歓声が止んでからハルカさんは再び話し始めた。 「今日、ゲリラライブをしたのは…俺の本気を見せたい相手がいるからでさ…今の俺の気持ちを伝えたくて。MAR RE TORREが見たくて来てるのに、ごめん」 ―…本気を見せたい相手? 「竜のことだって。そう言ってたよハルカさん。トラウマ克服したくて、ロスで1ヶ月特訓したって電話で教えてくれたんだ」 隣にいる嵐が、笑顔で俺を見て言った。 俺のために、トラウマを克服してくれたの? あんなに理不尽なこと言って怒ったのに。 「でも今日だけは、みんなのパワーを俺の勇気にさせて。次が最後の曲。照れるから全部英語だけど、入場したときに渡した歌詞カードあとで見てみて」 ねぇハルカさん、俺のための曲を聴く前から涙が止まらないよ。 もう歌う前から伝わってる。 ハルカさんの気持ち。 「『one's whereabouts』」 その最高にロックな歌が終わったあと、歌詞カードを見て俺の涙は止まらなかった。 吐くぐらいのトラウマだったのに、 酷いこと言って侮辱したのに、 それでも俺のために創ってくれた歌… 「酷いことたくさん言ったのに…」 優しさに涙は止まらなかった。 俺はもう諦めたのに、 幸せになる資格ないって、思ってたのに… 「行こうよ、ハルカさんのとこ」 「うん。嵐、ありがとう」 ライブが終わって、すぐに楽屋に向かった。 「リュウ!!」 楽屋に向かう途中で、俺に気付いた宝さんに会った。 嵐は俺を宝さんに引き渡して、帰っていった。 宝さんは俺を楽屋へと連れて行き、音楽関係者と話しているハルカさんへと近付いた。 「ハルカ!」 宝さんがそう言うとハルカさんは振り返り、俺の存在に直ぐに気付いた。 「竜!来てくれたんだな」 そう言って、笑顔で俺の髪をぐしゃぐしゃにした。 変わらない大好きなその笑顔見たら、もう泣きそうだ俺―… 「…みんな!俺、帰るわ。あと頼んでもいい?」 「了解」 「帰るぞ、竜」 ハルカさんはメンバーにそう言って楽屋を後にして俺の手を引いてタクシーに乗り込んだ。 「待って、いいんですか?打ち上げとかは…?」 ハルカさんは何も言わずに手をずっと握ったまま車の外を見ていた。 無言なのも心地良い。 タクシーを降りて、ハルカさんのマンションに着いて部屋へと向かう。 久しぶりのハルカさんの家…そう思って中に入ると玄関でハルカさんが俺を抱きしめた。 「お帰り、竜」 帰りたくて、でも帰ってきてはいけないと思っていた場所に今自分がいることが申し訳なくて、俺はハルカさんに抱きしめられながら謝った。 「ハルカさん…ごめんね。ごめんなさい…迷惑たくさんかけて…」 ごめんなさいと言う度にハルカさんが抱きしめる力が強くなる。 「ごめ…、ん」 俺がまた謝ろうとした瞬間、ハルカさんはキスをした。 息が出来ないくらい激しいキスを。 「謝るな。大丈夫だから」 「ごめ…」 また謝ろうとする度に口を塞がれて、舌を絡めて。 「ん―…ふ、ぁ―…ハルカ―…さん…」 このキスが好き。 大好き。 もっと、もっとハルカさんを感じたい。 もっとハルカさんが欲しい。 キスだけで何十分も時間が過ぎたあと、顔をあげてハルカさんを見て言った。 「このまま一緒に…お風呂…」 今日は―…記憶が飛ぶまで抱いて欲しい。 そんな想いを瞬時に理解してくれたのか、ハルカさんはそのまま俺をお姫様抱っこし、バスルームに移動した。 お互い服を着たままシャワーを捻り、濡れた状態でキスをしながら服を脱がせ合う。 「ん―…ふ、―…ぁ…ん」 洩れる吐息にさえ興奮する。 キスをしていた唇を愛しい首筋へと移動させ、舌を這わせて耳を舐めると俺の体がビクッと動く。 「あっ…は…ハル、カさ…」 ハルカさんが触れている、そう思うだけで俺はもうどうにかなりそうだった。 そして舌を立てて耳から首筋、首筋から鎖骨をなぞり、乳首へと移動させる。 「アァッ!んっ…」 俺は立っていられず、浴槽の淵に腰を落とした。 「あぁ、ん!アァッ!イク…い、く」 ハルカさんは乳首を軽く噛り、硬くなった俺のモノを扱き続けた。 「いや、―…あ、ハルカさ…んっ、イクっ、あっ―…イクッ!」 そして俺の精液がシャワーを蔦って流れていく。 「待って…ハルカさん。…俺、準備するから…先に待ってて」 そして俺は深いキスをしてから、トイレへと向かった。 トイレとバスルームを行き来して、ローションを使い事前に準備をした。 そしてハルカさんの待つ寝室へと向かい、ゆっくりとベッドに上った。

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