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偏愛Ⅴ≪竜side≫4
ハルカさんがコンドームの箱に手を伸ばした瞬間、俺はその手を掴んで止めて首を横に振った。
それからのハルカさんは止まらなかった。
俺は快感が我慢できない時は、ハルカさんの左腕に吸い付いたりかじったりしていた。
「ハル、カさ―…ナカに、出してっ!奥にハルカさんの精液注いで、あ、んんっ…」
俺の顔が見える体勢で何度も体位を変えて、俺のナカに精液を出して。
温かいものが注がれる度に俺は満たされていった。
「アッ、ん…ハルカさ…!んっ!奥、熱い―…もっと…もっと出して―…ナカ、にっ」
抜かずにまた硬くなるまで挿入したまま、キスや愛撫を繰り返して。
「は、…竜」
「ハルカさ、んっ…好きぃ」
「愛してる…竜」
「俺もっ…愛してます、ハルカさん―…」
何度も何度も「好き」と「愛してる」を繰り返して、これ以上ないぐらいの幸せを感じて。
「ハルカさん…手、繋いでっ、ん…は、あっ―…キス、してっ」
俺は、何度も何度も好きと繰り返していた。
いなくならないで、
もう、大切な人を失いたくないよ。
好き
好き
あぁ、ハルカさん。
もう放さないで。
俺も離れないから。
―…愛してます、ハルカさん
「竜、もう放さねぇから」
その言葉を聞いて、安心した俺は意識を飛ばした。
「ハルカさん……おはよ」
「おはよ、竜。もう昼間だけどな」
ハルカさんにそう言われ、俺は体を起こして時計を見た。
そして全身が痛いことに気付いた。
「…いてて。あはは…全身筋肉痛」
「大丈夫か?」
「大丈夫。痛いってことは夢じゃないってことだから」
あぁ、ハルカさんだ。
本当にハルカさんが目の前にいるんだ。
またここに帰ってこれたんだ。
そう思うと俺の目から大量に涙が溢れた。
「え?なに?…めっちゃ痛ぇ?」
俺は泣きながら首を横に振り、両手で顔を隠して言った。
「違う。だって…好きだって気付いてからハルカさんとセックスするの初めてで…夢じゃないんだって思ったら嬉しくて…」
そしてハルカさんが俺の背中に手を回して言った。
「あのなぁ、泣きたいのはこっちだから。俺なんて2年半お前のこと好きだったんだぞ?」
こんなにもハルカさんが大切で、愛しくて、温かい。
あぁ、ハルカさんがいてくれてよかった。
「やっとお前が手に入ったよ竜―…」
俺を好きになってくれてありがとう。
こんな俺を愛してくれてありがとう。
「ハルカさん…たくさん迷惑かけてごめんね」
「またそれかよ?いいんだよ。気にすんな」
手を離し、俺の頭をくしゃくしゃにして、両手で俺の頬を挟んで泣いてる瞳を見つめた。
「守り切れなかった俺も悪い。気付けなかった。御崎の行動」
「ハルカさんは悪くないよ。俺が…んっ…」
『俺が悪いんだよ』って言おうとした瞬間、ハルカさんはキスをして再び強く俺を抱きしめた。
「あのなぁ、俺はお前に謝って欲しいんじゃねぇんだよ。お前には笑っててもらいたいだけ」
「でも…」
「あーもう!忘れろ!過去のことは無しだ!俺は気にしてねぇから」
ハルカさんはどこまで優しいんだろう。
自分がした行動や発言と、ハルカさんの優しさに涙がでた。
「おい…泣くなよ」
「嬉し泣き」
「…なら良し」
ハルカさんは笑いながら、俺の背中をさすった。
ひー兄が死んでから、俺の未来は無くなったと思っていた。
そこにハルカさんが現れた。
ひとりじゃないんだって、生きてく理由が見つかった。
「なぁ竜。お互いに知らないこと、まだまだあるだろ?これから時間かけて知っていこうな」
「うん」
「俺はお前に何も隠さず話すから」
「うん。俺もハルカさんだけを信じる」
俺みたいに弱い人間が、ハルカさんみたいに優しくて強い人に守られていいのだろうか。
俺みたいな、人間が―…
「ねぇハルカさん…俺なんかでいいの?」
「お前しかいらねぇよ。愛してるよ、竜」
耳元で囁かれたその言葉が胸に響いた。
この人に全てを捧げよう。
そう、思った。
最初は偏った愛情だった。
すれ違いを繰り返して、本当の愛に変わった。
ねぇハルカさん、こんな俺だけどあなたを愛してもいいですか?
「俺も…愛してますハルカさん」
迷惑たくさんかけるかもしれない。
また傷つけるかもしれない。
でも俺にはハルカさんが必要だから…
だからずっと傍にいてください。
「愛してる」
偏った愛情が本当の愛に変わったとき、二人の想いがひとつになった。
それからすぐに、俺が御崎さん達にされたことを思い出さないようにとハルカさんは引っ越してくれた。
「ねぇハルカさん、やっぱり思った通り素敵な歌声だった。俺の予想以上に。本当にファン持っていかれそう。ご飯の量これぐらい?」
「おー、そんなに褒めて何か欲しいモンでもあんのか?腹減ってるからもうちょい盛って」
「無いですよ。素直に褒めてるの。そっか…俺がギター覚えたら、いつかハルカさんとユニット組んで歌えるんだよなぁ。真剣に覚えようかな」
「俺の歌、7割が英語だからギターと英語も覚えろよ」
「あー残念。じゃあ無理だー」
アスティの曲をBGMにして、鼻唄を歌いながらからあげを揚げてるハルカさんが可愛くて。
「ん?なんだよそんなに笑って」
「ハルカさん、鼻唄歌えるようになったんだなって。嬉しくて」
「お前がパワーくれたからな」
そう言って、夕飯の準備をしている俺にハルカさんは軽くキスをする。
ん―…?
「あー!唇ベタベタ!つまみ食いしたでしょー!ずるい」
「あ、バレた?」
あぁ、俺幸せだ。
好きな人と一緒に暮らして、こんなに笑って。
こんな日常がずっと続けばいいなと思った。
【to be continued】
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