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偏愛Ⅶ≪竜side≫3
―12月4日
ハルカさんの誕生日。
その日は学校を休んで、昼過ぎにハルカさんの知り合いの彫り師のスタジオへ向かった。
中へ入ると、全身入れ墨だらけのファンキーな人が現れた。
「ヒャッハー。光栄だねぇ。JEESの帝真竜を掘れるなんて」
腕を組んで、割れている舌先をペロリと1周させてまるで獲物を見つけたかのような仕草で俺を見つめる。
なんか物凄く巨体で、俺は少しだけ蛇に睨まれた蛙のように体が動かなくなってしまった。
「イヤらしいスプリットタンを見せつけないでもらっていッスか?竜が怯えてるんで。掘る、じゃねぇだろ、彫る、の方な。ちゃんと彫って下さいね。痛くないように」
「今の時代は技術が進化して痛くないし腫れないんだよ。まぁ先にハルカに挿れるか。竜くん見ててね。彼氏が俺に挿れられる様を」
「なんか俺に挿入するみてぇなニュアンスで物凄く嫌なんスけど…」
そして俺は、自分がデザインしたものがハルカさんの手の甲に刻まれていくのを見ていた。
すごい…本当にハルカさんの右手の甲に…
2時間ほどしして完成し、次に俺の番になった。
「竜くん、初めてだよね?皮膚という膜を突いても痛くないようにするからねぇ」
そう言われて、針が皮膚に触れて緊張する…
「処女膜みたいな言い方しないでもらっていッスか?ってか竜にタトゥーが…なんか自分の子供の処女が奪われる瞬間を見守る親の気分」
「ヒャッハー。どんな気分だよそりゃ」
「おい針動いてんのにこっち見てんじゃねぇよ!ちゃんと竜に集中しろ!デザイン狂うだろ」
彫り師の人は、わざと俺の手を舐めようとしたり空いてる方の手を触ったりしてハルカさんを挑発している。
「竜ちゃんのタトゥーに俺のサイン挿れていい?」
「っざっけんな!いらねんだよテメェのサインとか。ちゃんと彫れ!」
「あームカつく。俺の方が年上なのにその態度。英語でハルカ嫌いって彫っちゃおっかなーん」
「いいのかそんな強気で?ヴァイアさんここに呼ぶぞ?お前のことくっそタイプって言ってたし掘ってもらえ」
「やだーー!!無理ーー!若い子のエキスがいいー!!」
二人の会話が終始面白ろすぎて、あっという間に2時間終わった。
「わー、ハルカさんと同じタトゥー…」
タトゥーを入れ終わって感激している頃には、夕方になっていた。
今日はハルカさんの誕生日で、高級ホテルを予約してある。
俺たちはそのままホテルへと向かい、ディナーを済ませたあとに夜景を堪能しながらジャグジーで乾杯をした。
「ハルカさん、23歳おめでとうー」
「サンキュー」
そういえば…俺がハルカさんと始めてセックスしたのはハルカさんの誕生日だった。
ちょうど1年前なんだ。
「ん、どうした?」
「いや、今日って俺たちが始めて抱き合った日だなーって思って」
「あー、確かに。懐かしいなぁ。マサくんのプレゼントに感謝だな」
まさかこの1年で、父を捨てて、ハルカさんと結婚することになるなんて思わなかった。
でも、死にたいと思っていた俺を救ってくれたのは目の前にいる旦那様。
ハルカさんがいて本当によかった。
「俺はもう妄想の中で犯してたけどな。つーか最初だって俺お前のこと縛ってヤろうとして…最低だよな」
「でもあれがあったから、俺はハルカさんに相談したり連絡したりするようになった。じゃなきゃ今頃まだあの人に支配されてただろうし」
ハルカさんは後ろから俺を抱きしめる。
抱きしめている手に、俺と同じタトゥーが入っていて感動する。
ハルカさんの手だ…
気付くと俺は無意識にタトゥーの入った手を舐めていた。
「えっろ…」
「あっ…」
ハルカさんは後ろから俺の耳を舐めながら、左手で乳首を刺激した。
やばい…これは興奮する…
そう思っていると、俺の背中にハルカさんの硬いモノが存在感を出していた。
「あー…挿れてぇ」
「だーめ。ベッドで。俺、準備するから先にいってて」
そう言ってハルカさんは先にジャグジーを出て、俺はいつものように事前準備をしてからベッドへと向かった。
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