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偏愛Ⅶ≪竜side≫5
12月4日、結婚してから初めての旦那の誕生日。
俺たちはお互いのトラウマを克服することに成功した。
あれからもう、父の幻影を見ることは無くなった。
むしろ今では―…
「竜、めちゃくちゃ締まる…バック好きだろ?」
「アッ、んん!―…うん、好きぃっ…ん」
俺の一番感じやすい体位が、バックになった。
バックから握られるハルカさんの手のタトゥーを見て確認して、更に興奮して。
今までずっとバック以外でセックスしていたから、新しい気持ち良い場所を開発されて。
グッと奥でグリグリされながら、背中、うなじ、尻をゆっくりと舌先で舐められてゾクゾクして。
「ふぁっ、ん…バックが…一番気持ちいい…でもっ…ハルカの顔見たい…」
「おー、俺も。利害一致ってことだよなそれ」
「うん……何?」
ハルカさんはズルッと秘部から自身を抜いて、鏡をベッドの前に移動させた。
鏡があるとお互いの感じている顔が分かるため、更に感度は増す。
ハルカさんはそれを知っているから。
でも―…
「でも、鏡…恥ずかし、いっ…見ない、でっ!アッ」
「だからー、恥ずかしいことしてんの♡」
そして再びバックから挿入した。
「あっ、そこっ、すごいっ…アッ、ん…」
「恥ずかしいっつって、最終的には感じまくってんだからもう慣れろって」
「ん、やぁ、ハルカっ―…気持ちい?俺で、気持ちい?」
「当たり前」
「や、あっ…あっ、俺も、気持ちい…ハルカの奥にきてるっ、…は、あ、ナカに出してっ…ああっ、イ、クッ―…イクッ」
ハルカさんに首筋を噛まれた俺は『俺のものだ』という印をつけられたことに興奮して、ハルカさんの右手を舐めながら鏡の前で何度も絶頂した。
「つーかさすがに高3のときの歌声は若すぎるな…歌い直してぇわ」
「じゃあさ、撮り直そうよ!」
俺はそう提案をして、後日、アスティの曲をスタジオで全て撮り直した。
俺はそのレコーディング風景を動画撮影し、後日哀沢先生に渡した。
「あの4曲だけレコーディング風景を撮影したので、よければお姉さんに見せてあげてください。もう克服したよって」
「ハルカにはもったいないくらい出来た義弟だ。ありがとう竜。姉貴もきっと喜ぶ」
「どういたしまして」
その場を去ろうとした時、哀沢先生が俺の肩をポンと叩いて言った。
「姉貴より誰より、ハルカの歌声が好きで克服を一番願っていたのは俺だっていうことは…お前の旦那には内緒な?」
「はい。俺とお義兄様だけの秘密ですね」
人差し指を自分の鼻に近付けて、笑顔の義兄に惚れそうになったことも内緒にしないとなと心の中で思った。
そして後日、その動画を見たお姉さんからハルカさんにビデオトークが入り、泣きながら感謝されている姿を見て俺も泣いた。
―数ヶ月後
「ハルカさんおかえりー!マカロンもらったよ」
「ただいま。プラネットのマカロンじゃん!!…ってお前先に食った?」
「食べたら止まんなくて。美味しいよ」
「あー…シナモン食われたわぁ」
「いまのところ一番シナモンが美味しかった…へこまないでよー!鋼メンタルなんでしょ?」
「今日は豆腐メンタル。しかも絹の方な」
「なにそれ―…んっ…ちょ…んん、ふぁ……ん…キスしつこいよ」
「舌からシナモンの味した…もっとよこせ」
「ん、は…もう…んんっ、ん…ねぇ…ハル、カ…ん、はぁ…ベッド…いこ」
「Okey♪今日は何の曲かけてヤる?」
「Overcome」
「俺も同じこと思った」
踏み出す勇気を
その一歩が強さだから
足を上げろ
1mmの勇気でいい
恐れるな
振り返るな
前だけを見ろ
なぁほら 進めただろう?
アスティ 「Overcome 」
【偏愛 竜side END】
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