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偏愛Ⅶ≪ハルカside≫3

竜はいつものようにスピーカーからアスティの曲を流す。 「自分の誕生日に、自分の歌流して高級ホテルで嫁を抱くのってなんか複雑だな」 「そう?俺は最高だよ旦那様」 俺は愛しい嫁に深いキスをして、そのまま首筋に吸い付いた。 あぁ、この曲って…俺がマサくんのこと好きで妄想ですげぇ犯してるのを歌詞にしたんだよなって思い返しながら愛撫を続けた。 もう挿入して欲しい、と俺の硬くなったモノを自ら掴んで秘部へ移動させる竜の行動で正常位で一気に奥まで挿入した。 その瞬間、スピーカーから流れた曲のイントロが耳に入り、俺の体が勝手に止まった。 「―…っ!…この曲…なん、で…」 Overcome…だよ…な…コレ… 「ハルカさん、動いて」 「お前…なんで…音源持ってんの?」 俺は渡してない。 あの4曲だけは、未だに克服してない。 今でもまだ、あの時の…姉貴が死にそうな無力な自分がフラッシュバックする… 「動かないと、俺イケないよ?ハルカさん…」 竜の挑発にも乗れず、俺は呼吸が少し荒くなって竜から視線を反らす。 竜はそんな俺を見て繋がったまま対面座位の体勢に変えた。 「俺も克服する。だからハルカさんも克服しよう」 音楽に集中しようとした瞬間、竜が俺の気を紛らわせるため、自ら上下に動いて快感を与える。 「アッ…は、んっ…怖ければ…思い出しそうなら、ん、あっ…俺の声で紛らわせて。俺を感じて。感じさせて…ん―…ぁ」 耳元で竜の喘ぎ声が音楽を掻き消すと、快感の方が強くなるのに。 それなのに気を抜くとあの曲が耳に入ってきて。 「りゅ…う……っ!」 感情がぐちゃぐちゃで泣きそうな顔してるのが自分でも分かる。 それに気付いた俺の耳元で喘ぎ声を聞かせながら、竜は自ら動き続けた。 「辛かったよね…でも大丈夫。もう俺たち親を捨てたんだから。大切なものしか残ってない」 「俺のせいで…姉貴は…」 「ハルカさんは悪くない。大丈夫。もうすぐこの曲終わるよ」 1曲終わり、別の曲が始まる。 この曲は大丈夫だ… そう思って呼吸を整えてから、仕返しをするように竜の腰を掴み一気に突き上げた。 「ふぁっ!あっ!んん、深、い―…あっ、ん…や、乳首っ、だめ」 腰を突き上げながら乳首を吸って、竜をイカせることだけを考えた。 「あぁ、ん!は―…イ、クッ!ハルカさん、イクッ」 俺の腹に精液を出した竜の色気に翻弄されながらキスを続けていると、次の曲のイントロが流れ始めた。 Bitter sugar…最悪だ… また俺の動きが止まる。 姉貴を発見して救助隊が来るまでの間、何も出来ずに不安と恐怖でどうにかなりそうだった時にかかっていた曲… 薬と、血と、呼吸を乱して震える姉貴―… 「大丈夫だから…泣いて。あの時…歌えなくなってから、ちゃんと泣いた?」 竜は俺の頬を両手で掴んで目を合わせて言った。 「ごめ、ん……俺…」 「俺も…頑張るから。一緒に克服しよ」 俺は泣かなかったんじゃない。 泣けなかったんだ、ずっと。 俺は姉貴が苦しんでるの気付かなかった。 いつも笑ってて、大丈夫だよって優しくて。 姉貴は強いんだって思い込んで。 俺の中で姉貴という存在が大きくて、失いたくなくて。 気付かなかったのに、泣く権利なんてないってずっと仕舞い込んでた。 仕舞って蓋をして感情を消せばいいんだってずっとそう思ってたのに… 「俺には見せて。弱いとこも、涙も、全部」 止まらない涙を流しながら、竜を見つめる。 お前の方が長年辛い思いしてるのに、なんでそんなに強いんだよ… そうだ、これじゃダメだ。 「竜…俺の名前、呼んで…声聞かせて」 「…ハルカさん―…愛してる」 そして俺は竜を押し倒し、正常位でゆっくりと竜のナカに肉棒を挿入した。 「もっと、呼んで」 「ハル、カさん―…はっ、あっ、んん」 俺はその言葉を聞いて、竜に顔を見られないように首筋にキスをしながら激しく腰を動かした。 「呼んで名前…俺の、名前。俺の名前…呼んで…俺を、呼んで…」 「ハルカ……あっ、は……ハル、カぁ…」 『ハルカ』と俺の名前を呼ぶ竜の声と、お互いに絶頂を迎えた瞬間にJellyfishのサビが混ざっていく… 「ありがとう竜。愛してる」 決心した俺は、竜のスマホを取って渡す。 「竜…プレイリスト、あの4曲だけにしてリピートしてくれ」 「大丈夫?」 「あぁ。お前抱いてたら克服できそうだ。その代わりたくさん啼かす。こんな顔見せたくねぇからバックでガンガン突く。遠慮しねぇ。今日は鏡も無い。覚悟しろよ」 「うん。激しくして。俺も克服したい…塗り替えたいから」 竜も自分の体に墨を入れてまで克服しようとしてるんだ。 だったら俺も、今日は特別な日にしないといけない。 四つん這いの状態で竜はプレイリストを編集した。 あの4曲だけのプレイリストを作成している途中で、俺は後ろからローションを垂らし、指でナカをグチュグチュにした。 「早く選べ」 「や、あっ!指…動かさないっ…で、んっ」 「俺の精液出てこねぇな。奥まで吸収されてる。足りてねぇから今からナカに出しまくる」 そう言って指を引き抜き、再び硬くなっている肉棒を一気に挿入した。 「ひぁっ!ハル…カ…やっ…待っ、て…あっ、まだ、曲まだっ―…んん、あ、あと1曲…」 「早く選らばないと俺がいつまでも克服できねぇぞ」 「アッ、ん!待っ、て…んん、アッ、でき、た…出来たっ!」 竜はなんとかプレイリストを作成し、Jellyfish、Bitter sugar、Overcome、Tranquilizerをリピートし続けた。 「ほら、もっと声聴かせろ。じゃなきゃ曲に集中するぞ?俺に何をどうされてるか言えよ」 「んっ、アアッ!ハルカにぃ、ンッ―…後ろから、おチンチン奥まで挿れられて…背中舐められてっ、アアッ、すご…アッ、ハルカぁ」 「お利口だ。出すぞお前のナカに。奥に―…」 俺は後ろから容赦なく激しく奥を突く。 そして突きながら竜の右手に俺の右手を重ねた。 あぁ、なんだ。 余裕あるじゃねぇか俺。 Tranquilizerが流れてんのに、竜のこと気にしてちゃんと手を重ねる意識をして抱けてる。 大丈夫、俺は。 俺は克服できる。 お前に出会えてよかったよ竜。 俺は嬉しくて涙が竜の背中に落ちていることに気付いたまま、竜を抱き続けた。 「もっと―…もっと奥まで、ナカに出してっ」 「竜…竜、愛してる」 「ハルカ…気持ち、い…ハル、カっ―…俺も、愛してる」 あぁ、消えていく。 あのときの不安と苦しみと悲しみが、竜によって消されて上書きされていく。 ありがとう、竜―… 12月4日、結婚してから初めての俺の誕生日。 俺たちはお互いのトラウマを克服することに成功した。

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