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偏愛Ⅶ≪ハルカside≫4

「竜、めちゃくちゃ締まる…バック好きだろ?」 「アッ、んん!―…うん、好きぃっ…ん」 むしろ今では、竜の一番感じやすい体位がバックになった。 そして竜は、セックスの時だけ俺を「ハルカ」と呼ぶようになった。 無意識なのかよく分からないが、俺はそのギャップにくっそ興奮しているからその理由を聞かないようにしている。 「ふぁっ、ん…バックが…一番気持ちいい…でもっ…ハルカの顔見たい…」 「おー、俺も。利害一致ってことだよなそれ」  「うん……何?」 俺はズルッと秘部から自身を抜いて、鏡をベッドの前に移動させた。 鏡があるとお互いの感じている顔が分かるため、更に竜の感度が増すことを俺は熟知している。 「でも、鏡…恥ずかし、いっ…見ない、でっ!アッ」 「だからー、恥ずかしいことしてんの♡」   そして再びバックから挿入した。 「あっ、そこっ、すごいっ…アッ、ん…」 「恥ずかしいっつって、最終的には感じまくってんだからもう慣れろって」 俺の感じてる顔を鏡越しに必死に見ようとして、そんな感じてる竜の顔に興奮して。 俺の顔なんて見てる余裕無いくらいにイカせてやる。 「ん、やぁ、ハルカっ―…気持ちい?俺で、気持ちい?」 「当たり前」 「や、あっ…あっ、俺も、気持ちい…ハルカの奥にきてるっ、…は、あ、ナカに出してっ…ああっ、イ、クッ―…イクッ」 俺に首筋を噛まれた竜は、俺の右手を舐めながら鏡の前で何度も絶頂した。 ありがとうございます、鏡様― しかしセックスする度に聴くアスティの曲で、俺には不満が1つだけあった。 さすがに高3の歌声が若すぎると愚痴をこぼすと、竜に撮り直そうと提案をされ、アスティの曲をスタジオで全て撮り直した。 すると後日、珍しく姉貴からビデオトークが入った。 『ハルくん、久しぶり』 「久しぶり。どうしたの?みんな元気?」 姉貴は勤めていた会社の人と結婚し、海外に移住し今では子供も産まれて幸せそうに暮らしていた。 『アスティの…あの時私が死にかけた時にかかってた曲…ハルくんが歌ってる動画を竜くんがくれて』 「え?」 俺は隣にいた竜の顔を見ると、竜は笑顔で頷いていた。 『ずっとね…歌えなくなっちゃったの、私のせいだって思ってたから。ごめんねって思ってて』 「違うよ。俺が弱かったから。姉貴は悪くないよ」 『だからこの動画見て安心した。これからも音楽を続けてね。応援してる。またハルくんの歌が聴けたら嬉しいな』 「うん。俺もう大丈夫だから。克服したから。これからも届けるから、安心して」 俺は隣に竜がいるのも忘れて、あのときの後悔や辛さを全て涙として出し切った。 もうこれで本当に、俺のトラウマは克服された。 「ねぇ、ハルカさん」 「ん?」 「Distant Dragonのマーク、この手のタトゥーと同じデザインにしてもいい?」 「お、いいじゃん」 そして7年後の10月13日、緋禄の誕生日に俺たちはDistant Dragonを結成した。 『Overcoming(克服と) and departing(旅立ち)』 lyrics:HaRuKa Composition: RyU arrangement:Distant Dragon Even if I take a detour I won't notice Choosing the path is your own destiny Look ahead without looking back The voice in my heart will guide me Even if I feel confused in the swaying days Just believe in yourself and move on I'm ready to spread my wings Come on, wake up now Let's fly, you can do it Start running towards your dreams I'll overcome any wall Do it, follow your heart Even if I get lost in the darkness of the night light is shining on the path My power to believe has become stronger I won't lose no matter how The courage to stand up even if you get hurt Don't miss your own voice If you reach out your hand there's a place you can reach Now it's unfolding before my eyes Let's fly, you can do it Start running towards your dreams I'll overcome any wall Destroy it, follow your heart Let's fly, let go now The future is in my hands Carrying all my worries on my back guided by the light of hope The strength to stand up again and again Believe in your dreams and push forward Do it, change your destiny Be yourself and live freely 《和訳》 遠回りしても 気付かないまま 道を選ぶのは 自分の運命 振り返らずに 前を見据えて 心の声が 導いてくれる 揺れる日々に 戸惑いを感じても 自分を信じて 進むだけさ 羽ばたく準備は できている さあ 今こそ目を覚ませ 飛ぼう 君ならやれるさ 夢に向かって 走り出せ どんな壁も 越えていく やってやれ 心のままに 夜の闇に 迷い込んでも 光が道を 照らしている 信じる力が 強くなって どんな風にも 負けないさ 傷ついても 立ち上がる勇気 自分の声を 聞き逃すな 手を伸ばせば 届く場所が 今 目の前に広がっている 飛ぼう 君ならやれるさ 夢に向かって 走り出せ どんな壁も 越えていく ぶち壊せ 心のままに 飛ぼう 今こそ解き放て 未来は 自分の手の中 全ての不安を 背負い込んで 希望の光に導かれ 何度でも 立ち上がる強さを 夢を信じて 突き進め やってやれ 運命を変えて 自分らしく 自由に生きろ 【偏愛 END】

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