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第11話 想い人はお前だよ!②
グレンシアは声をかけてきた店主のエルドと気さくに話している。知り合いを美丈夫と呼ぶなんて調子がよさそうな人だ。商売していれば当たり前というか、一種の才能なんだろうな。しかし、グレンシアが謎の指輪を押し売りされそうになっている。
「どうです、綺麗でしょ? この指輪、好きな人の気を引く事ができるマジックアイテムなんですよー! なんと今なら金貨10枚!」
「しかし、道具を使って結ばれても意味がないのでは……」
「気を引くだけ! あとはお2人次第なんですよ? 好きな人と結ばれる為なら、ちょっと願掛けしたくなるでしょ?」
「……それなら、欲しいかもしれません」
どうやら、グレンシアには想い人がいるらしい。王子様に見初められるなんてすごい女の子がいたもんだなあ! きっと、気立ての良い美人なんだろう。
なんか、いいなー! 青春だなあ。アラサーには少々眩しすぎるせいか、もやもやする。
歳下に嫉妬するなんて大人にはなりたくなかった。いつもなら微笑ましく応援できるのに……グレンシアの恋を応援したくないこの気持ちは一体何なんだろうな?
「お前ら難儀だな……」
アルテッドが俯いて呟いた言葉から察するに、グレンシアの恋は一筋縄ではいかないのだろう。イケメン王子ですら落とせない女性がいるのか! すごいな! なんて贅沢者なんだ!
なぜかアルテッドは肩を震わせている。誰か面白い思考をした奴がいるのかもしれない。
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