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第30話 最強従魔と最弱主の俺②

「直哉さんも強くなりましたし、帰りましょうか」  森から出ようとして、むぅが木にへばりついて離れない。 「むぅ、帰るぞ」 「きゅう……」 「むぅはレベル上げが余程楽しかったのですね」  むぅはグレンシアの足にすり寄ってきゅうきゅう鳴いている。もっと、遊びたいとねだる子供みたいだ。 「むぅ、また遊びに来ればいいだろ? 今日はもう帰ろう」 「きゅうー……」  むぅはグレンシアの脚に絡みついて悲しげに鳴くばかりだ。 「むぅ、強くなった事をジュリアへ報告に行きましょう。きっと褒めてくれますよ」 「きゅい!」  グレンシアの言葉で機嫌を直したむぅは俺の頭に乗って帰る気満々になってくれた。グレンシアが得意とする相手の気持ちを考える能力は子育てに向いていそうだ。  あれ、この世界って男同士だとどうやって子供作るんだ?  俺が妃になったとしても、子供産めないと思うんだけどな。 「なあ、グレンシア」 「なんでしょうか?」 「俺ってどうすればグレンシアの子供を産めるのかな?」 「……」  いや、質問の仕方がまずかった!  絶句して固まるグレンシアと目を合わせて、俺も動けなくなってしまった。むぅだけが俺の頭の上でご機嫌にぷるぷるしている。 「……しょ、詳細を語るのは恥ずかしので省略しますが、子は木に生って産まれます。子を作るのに性別は関係なく、性行為をする事で神様が認めて下さり、子が誕生します」  思っていた何倍もファンタジーだった!   「いや、ごめん。グレンシアは良い父親になるだろうなと思ってさ! 俺がグレンシアと一緒になっても子供を作れないのなら宝の持ち腐れだし、心配になったんだ」 「……」  グレンシアは頬を染めて、黙った。  はっ……これはもしかして、遠回しのプロポーズになっているとか? 「いや! あの、俺、この世界の事知らないから、知りたかっただけなんだ!」  慌てて言い訳する俺を見て、グレンシアは息をつくように苦笑いをした。 「すみません、私はつい……いえ、私だけで少し先走った事を考えておりました」 「いやいや、俺の質問の仕方が悪かったんだよ」  グレンシアは俺に微笑を向けた後、森を出る為に歩き出した。なんか、俺って無神経な態度や言葉が多い奴なんだろうな。  恋愛なんて学生時代に少し経験したくらいの陰キャだし、グレンシアの気持ちを大切にするっていう、たったそれだけすらも上手くできない。ダメなやつ……。  俺の気持ちを察したむぅが俺のおでこをぺちぺちなでなでしている。 「きゅー」 「むぅ、励ましてくれてありがとう。でも、今の俺には反省が必要なんだよ」 「きゅ?」

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