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第36話 ゴブリンに襲われるとか!?②
「ゴブリン!?」
俺は複数のゴブリンに手足を掴まれてしまう。腐敗したような激しい臭いが鼻をつき、汚れた手が俺の服を汚す。
「おい、冗談だろこれ……」
ゴブリンが、なぜすぐに攻撃しないで拘束をしているのか、答えは簡単だ。獲物だからだ。なぜか、男の自分にゴブリンが反応している。
「ギギギギギギッ!」
混乱している場合じゃない、今にも口にゴブリンのいちもつをねじ込まれそうな状況だ。
「た、助けて……!」
「きゅうううっ!」
巨大化したむぅが空から降って来て、ゴブリンごと俺を飲み込んだ。動けないゴブリンの中から、グレンシアが腕を伸ばし救出してくれる。
「直哉さん、無事ですか!?」
「けほ……うん、大丈夫だ」
むぅは飲み込んだゴブリンをそのまま消化して跡形もなく吸収した。俺は脳裏に残ったゴブリンたちの姿にゾッとする。
――判定がWomanになっている。
その言葉の意味が分かったんだ。
俺はズボンのチャックを開け下着の中を確認する。無くなっているわけではない、というか体が女になったわけではないんだよな……心当たりがあるとすればグレンシアとセックスした事くらいしか。
グレンシアの手で女にされましたってこの世界が判定しているのか!?
それはひどい。異世界から来て男に抱かれると女判定されるの? そのままゴブリンに犯されるのかよ……。ムリゲーじゃねーか。いや、男でも殺られるんだけどさ、女性サイドの惨さは殺られるよりヤバいからね。子を産んでは、手籠めにされるループだからね!?
いや、俺は子供産めないけど!
「あれ? 人間って男同士で子供産めるよな? 魔物は?」
「魔物は木ではなく、魔物のメスまたは人間の女性から産まれますね」
「俺は魔物の子供産めるの?」
「う、産みたいんですか!?」
「ちがうよ!?」
「子宮が無いので難しいかと」
そうか、人間は特別な生き物として木から産まれるのかもな。他の生き物は普通に母親から産まれる。ゴブリンみたいな繁殖力が強い魔物は人間の女性までも孕ませると。恐ろしいな……。
「さっきのゴブリン、俺を女だと思っていたみたいなんだ」
「直哉さんは愛らしいので女性だと勘違いしたのかもしれませんね」
「そう思うのはグレンシアくらいだぞ……」
「いえ、直哉さんは可愛いです」
「あ、ありがとう」
プログラムで俺が女に書き換えられたって言っても意味がわからないよな。やっぱりグレンシアとの初めての夜がフラグスイッチだったんだろうけど……。
俺が女ってのはゴブリン限定なのか? 生物として女ではなく、このゴブリンが主役の世界において、ゴブリンから見たら女。みたいな隠れステータスがある……?
男だと判断されたら瞬殺だし、女だと判断されて手籠めにされても惨い。ゴブリンがいる限りこの世界には救いがないよなあ。
「きゅいー……げー」
ゴブリンを食べてしまったせいかむぅの元気がない。ゴブリンって美味しくないんだなあ!
「いいとこないんだな、ゴブリンって」
「きゅ……げぇーぎゅう……」
「むぅ、何か美味しいものを食おう。そうだ、美味しいものを探しに行こう」
「きゅ!」
そして、道中で動物を見つけては丸飲みをし、むぅのご機嫌や体調は戻っていった。
「けぷ……きゅふ」
さすがにお腹いっぱいみたいで、むぅはグレンシアの頭の上でお昼寝を始めてたらんとしている。
「むぅは可愛いなあ!」
「いえ、クマやゾウを丸飲みしていましたが……こほん、なんでもありません」
「動物を丸飲みにするとまずいのか?」
「スライムとしては、国家博物館に亜種として核を納めるレベルですね」
「まじかよ……」
よくわからないが凄そうだ!
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