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第49話 ラスボスと最強従魔①

「こ、こここの! 馬鹿、死に損ないが!」  アルテッドはエルドの手を払いのけると、立ち上がって戦闘態勢に戻る。  一体どんな心の声を聞いたら、その反応になるんだろう? というくらいアルテッドは動揺していたが、すぐに気持ちを切り替えた様子で、近くのゴブリンに攻撃を仕掛け始めた。  順調に亜種たちを倒していくが、亜種たちがいなくなれば、ゴブリンオークキングというレベル999の最強亜種が登場した。  ――グオオオオオオオッ!  その気迫は異常だ。レベル以上の危険を感じる。これは屈強どころか、もはや化け物だ。 「撤退だ!」  アルテッドは撤退を叫ぶ、エルドやグレンシアも頷いた。しかし、ここで退いてもどうにもならないだろうし、なんとかしたい。むぅに何とかならないか聞いてみるが怯えている。 「困ったな……俺はオールアップ以上の魔法なんて使えないし……」    突然、ゴブリンオークキングの動きが停止した。 「直哉さん、あのゴブリンは……」   「ジアン!?」  ジアンがゴブリンオークキングの頭に乗っている。 「早く従魔にしろ、重傷だった我の時より手強いぞ」 「ああ!」    俺はありったけの最大値アップのMPポーションとハイエーテルを飲んで、杖をかざす。 「頼む……!」  辺りが強風と爆発したような光に覆われる。ゴブリンオークキングの抵抗と魔法が戦っているのだ。  杖がぱっきっと折れた――。 「杖が……!」  失敗してしまった……!?   「――ゴブリンオークキングが直哉さんの従魔になっています」 「マジで……!?」  ギリギリ勝ったのだ。これで、ゴブリンの巣は一掃できた、人間が勝利したのだ。 「アルテッド様、やりましたね!」  エルドはアルテッドを持ち上げて喜んでいる。 「降ろせ馬鹿! 許可もなく持ち上げるとは無礼な!」    グレンシアは信じられないという喜びの表情で俺に笑いかける。 「よっしゃ!」 「直哉さんは本当にすごい方ですね」  ジアンはいつの間にか居なくなっていたが、助けに来てくれる程、心を許してくれた事が嬉しかった。

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