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第94話 全裸で遊園地は流れ的におかしい①※かんらんしゃえってぃまとも
「せっかくですからっ!」
遊園地に戻ると、隼人さんが服を脱ぎ始める。
「な、何しているんですか!? 公然わいせつ罪ですよ!」
「いやー透明化の魔法が掛かっていますし、子供の時の夢を叶えようかと」
「夢ですか?」
俺の疑問に隼人さんは高らかに宣言をする。
「全裸で遊園地!」
「……」
隼人さんは絶対常識人じゃない。さっきまでの流れで、なんで全裸!?
「全裸で遊園地を楽しみます」
「いや、アトラクション乗れないですけど」
「いえ、遊園地って言うのは雰囲気を楽しむ場ですから」
「ふるちんで走り回るだけで満足なんですか!?」
さすがに俺のツッコミで自分のアホさに気が付いた隼人さんは静かな動作で脱いだシャツを着た。
「隼人、大丈夫か……?」
「アル、放っておいてください……30歳目前にしてふるちん黒歴史が誕生した私の事はっ!」
恥ずかしすぎる黒歴史に両手で顔を覆って泣きそうな隼人さんを連れ、俺たちはお化け屋敷の列に並んだ。
全員の透明化を解いているので、アトラクションを楽しむ時には窓口で買ったフリーパスを各々がスタッフに見せる。4人で、お化け屋敷に入れば。アルテッドが、きょろきょろし出した。
「ここは幽霊をたくさん閉じ込めて恐怖体験を味わう場なのだな!」
なんかアルがめちゃくちゃ怖い事を言い出した。お化け役の人がいるようなお化け屋敷じゃないんだぞ? いや、お化けの人形の話だよね!?
ごーん、ごぉーん!
「ぎゃああああっ!」
鐘が鳴って飛び出してきた人形にビビっているのは俺だけだった。
「なんでお前ら平然としているの!?」
「す、すみません。命の危険は戦場の方が遥かに高いかと」
グレンシアの言葉に納得する他ないけど! 俺だけが、雑魚みたいじゃん!
お化け屋敷から出て、拗ねた俺の頭をグレンシアはなでなでしてくれる。
「俺、子供じゃないんだぞ」
「わかっています。ふふっ……くく……っふるちんで走り回ろうとした隼人の方が何倍も子供ですから、大丈夫ですよっ!」
「殿下? ここぞとばかりに私の事を攻撃していませんか?」
疑心暗鬼まる出しの隼人さんと笑顔のグレンシアが言い合いになっている。それを横目に俺でもカッコよく遊べるアトラクションがないかとパンフレットを睨んだ。
「何が格好良くだ、普通に遊べ! 私はこの体験型のアトラクションがいい」
「アルは船に乗るやつがいいんだな? うーん、観覧車は最後かなー……やっぱーこれだけは2人1組だよな!」
「いやらしいな……個室で何をするのだ、このアトラクションは! 子供が見たらどうするのだ!」
「いや、ドキドキするだけで……具体的な事をすると捕まるぞ?」
「姫様の小説では観覧車で致していたぞ」
「まあ、エロ本でド定番なのは間違いないけど! リアルにすると捕まるからね!?」
「そうか、つまり服を脱がずに結合だけしろという事だな」
「……はは!」
いや、する気なら止められないけれども!?
俺たちは船に乗り涼むと、その後ジェットコースターへ乗った。
「むぅの高速移動に慣れている俺たちには、意味のないアトラクションだったな……」
俺たちは涼しい顔でアトラクションから降りた。
むぅ……。
少し従魔が恋しくなったが、きっといずれ会える。そう信じる事にした。
そして、アルが危険思考をしていた観覧車へ!
2人で観覧車に乗り込んだ。
デートの締め括りって感じだな。
観覧車から眺める遠くに沈む夕焼け。夜はパレード観るくらいだから、ここでこう。
なんか楽しい思い出を作りたい。
少しその、刺激的な何かがあればいいなって……。
俺も浮かれているみたいだ。
俺は少し遠慮がちにグレンシアの手を握る。
それで察した王子様は顔を赤らめた。
「お、俺は……キスするだけだからな」
すっと俺の頬に添えられた手、グレンシアからキスしてもらえるのだろうか。
「……私はそれ以上がしたいです」
「ひゃ!? いやっそれはっ!」
ど、どうしよう!?
「直哉さん」
透明化を使って、本当に、結合だけ……!
なにその背徳プレイ!
「直哉さんと遊んだ遊園地での時間を、素敵な思い出で締め括りたいのです」
んー! それは俺のロマンティク許容量が……! だって、ロマンス小説みたいなんだもんっ!
でも――。
「と、透明化するけど、服は脱ぐなよ?」
「はい」
嬉しそうな王子様がちゅっと髪にキスをしてくる。
俺のロマンティック許容量が完全にオーバーする事を確信。
観覧車が上っていく、15分で1周だ。
急がないと、中途半端になってしまう。
けど、ズボンを下してグレンシアに跨り、パンツまで下している俺は……。
完全に変態だなっ!
もう準備のできているグレンシアのそれが俺の尻を撫でた。
長くて硬いのが尻の感触で分かるの恥ずかしい! 観覧車で! こ、こんなに興奮してるとか変態王子だからな!?
「ああ……ひっぐ」
彼のそれを手で持って、自分の蕾へ押し当てる。恥ずかしすぎて変な声が漏れるし、体が熱い。
「んああっ……! ああっ、あっ!」
のみ込んで中が埋め尽くされると、気持ち良くて淫らな声が漏れた。声は透明化されないし、あまり喘ぐと周囲にバレるのに、声がっ!
「んあっ♡ はーっ! んあっああ♡」
もう、無理っ! こんな羞恥変態プレイで、出すの我慢できるわけがっ!
「直哉さんっすごく締め付けが」
「もう、もう出して♡んあああっ!?」
グレンシアが両手で俺の腰を持って激しく動かす。
ぐちゅ! ぐちゅっ!
「んあああっ♡」
こ、これ無理っ!
「んあっ! いぐっ! ひあああっ♡……ああ、はあ……はあ……」
前と後ろでビュッと出た感覚に、溶けそうになりながらグレンシアと唇を重ね唾液を交換する。いらやしい匂いと音で頭が痺れるけど、あと何分だ?
残り3分。
「うあああっ!? グレンシア、ティッシュ! 拭いたら袋に入れて、急げえええ!」
「直哉さん、余韻というものが……」
「観覧車降りる時に人間が消えてたら大事なんだって! 速攻で片付けるぞ!」
「そ、そうですか」
困り顔のグレンシアと一緒に慌てて身なりを整えて透明化を解除した。
俺たちの次に観覧車から降りて来た隼人さんたちと顔を合わせるのは気まずかったが――。
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