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第103話 貴方の本音が媚薬となって※たかまってえってぃ

「……」  グレンシアから差し伸べられた手を取り、立ち上がった。  繋いだ手から流れ込んでくる。  グレンシアの想い。 『直哉さんが、私のせいでまた酷い目に遭ってしまった。私が大人げない態度を取ったから、こんな事になったのだ』  ……グレンシアは悪くない。 『直哉さんから嫌われるのを恐れる余り、余計な事をして嫌われてしまった。直接問いただす勇気がないのなら、黙っていればよかった』 『それでも、心配だった。直哉さんに私の知らない何かが起きるなんて思いたくなかった。全てを知るなんて、無理なのは承知だが、それでも知りたい。直哉さんの全てを。だが、それは私の幼さなのだろう』 「グレンシア、ごめん……」 「いいんです。気にしていません。私こそ、すみませんでした。アルにも謝ります……」  俺は犬耳が萎れていそうな表情の王子様へぎゅっと抱き着いた。 『ああ。可愛らしい、愛しい』 『どうすればいいのだろう……こんなに大切なのに、伝える術すらないなんて』    俺を抱きしめる彼から愛情溢れる気持ちが雪崩れ込んでくる。 『愛しています。誰より何よりも』    こんなにも愛する気持ちを注がれ、俺の心はどうにもならない。 「俺も同じだよ」 「!?」  俺はグレンシアにキスをして、押し倒した。 「んっ……直哉さん?」    魔法を掛けられたように、俺の体は熱い。恋の魔法ってやつなのか、恋は媚薬なのか。 「俺、グレンシアと結ばれていたい……」    ここが外だとか、かまっていられなくて俺は上着を脱いだ。ずっと続く愛の告白にもうのぼせ上がりそうだ。   『嬉しい。直哉さんが私だけを見てくれている。こんなに私を愛しく見つめてくれているなんて、舞い上がってしまう』 「俺は、グレンシア以外要らないよ。誰よりも大好きなんだ……」 「私も同じ気持ちです」  グレンシアが上に乗って、俺を抱きしめてくる。  俺の服を剥ぐ彼の指先に対して、怖さや恥じらいは感じない。  安心する。  もっと触れて、愛して、求めて欲しい。 「グレンシアに触れられると少し、怖いと思う頃があった」 「! あの時は、直哉さんの気持ちを確かめていなかったですからね……」 「でも、その思い出すら今は嬉しいくらいなんだ」 『嬉しいのは私の方だ。あの時は嫌われたと思った。もう2度と手の届かない場所へ直哉さんが消えてしまったと、もう生きる事さえ辛くなる程に落ち込んだ』 「あ、あの時はごめんな?」 「いえ、私にとってもいい思い出ですよ」 『もう2度と離さない』 「う、うん」 『直哉さんを失ったら私は……』 「んっ」  彼の危ない思考を遮るように、俺はグレンシアの首に腕を回してキスをした。  激しく口付けをすれば、今の俺だけを見てくれる。俺以外を思考する余地がなくなる。  手に取るかのように伝わってくる愛情が、俺の思考まで狂わせそうだ。  「……っはぁ」  グレンシアの手のひらが俺のそれを包むように握る。 「んっぁ……」 『愛らしい。こんなに硬くして……』 「んあっ!」 『直哉さんは先端の穴を刺激されるのが好き』 「んなっ♡ひゃ、やめっ!」 『こんな姿を見て、衝動を抑えられる方がどうかしている。たくさん喘いで、私を求めて欲しい。いやらしい直哉さんをたくさん見たい』    ふ……普段、言葉責めとかしないグレンシアがめっちゃ言葉責めしてきてる状態だぞ! 「ううっ……」  俺は両腕で顔を隠す。 「直哉さん……? どうしました?」 「は、恥ずかしくてっ」  こ、こんなの耐えられないんだが!? 『いつまでも初々しくて、幼さの残る仕草が可愛らしい……』 『もっと直哉さんの素顔を見せて欲しい。顔を隠さないで、私に全てを委ねた貴方の表情が見たい』 『こうすると、直哉さんは体を跳ねさせる』  グレンシアはぎゅっ♡っと俺のそれを握る。 「んあっ♡ ああっ♡ おおお、お、俺やっぱ無理かも!?」 「直哉さん?」 『何がいけなかったのだろうか?』 「わ、悪くないんだけど! グレンシアはっ!」 「……」 「お、俺が愛に耐えられないというか! もう限界というかっ!」  グレンシアはなぜか俺の脚を持ち上げる。まんぐりポーズの俺は何が起きたか分からずにグレンシアを見ているんだが? 『逃がさない』  ひゃああああああっ!?    その台詞は俺が乙女になってしまうぞっ!? 「んっ♡」  口付けられて、ほぐされて、グレンシアの熱いモノを当てられてしまえば、もう何も言えない。  降り注ぐ愛の言葉と与えられる感度に痺れてしまう。  ずちゅっと中に入ってきた熱いモノが俺の中で前後している。  もはや頭が働かなくなっていた。思考が溶けて何も考えられなくて、身を任せるしかない。ただ喘ぎが口から漏れて、痴態を見せる程にグレンシアから愛されていく。  何度出しても、またせり上がってくるような快楽で、終わらない。  きっとこれが終わる頃には愛情に溺れて息ができなくなっているだろう。     「っはー! んっあ♡」  行為が落ち着いて、ぐしょっと汚れている俺の姿にグレンシアは満足げだ。 『ああ、こんな姿になった直哉さんで満たされてしまう私は、酷いのでしょう……』 「グレンシアっ♡」 『好きです。直哉さんは私だけのものだ』 「俺も好き」 『ああ、この愛らしい人はどこまで私を煽るのだろう』 「お、俺っ」 『これ以上は直哉さんの体の負担になる。もう抑えなくては』 「グレンシア……」  いや、どこまで俺を好きにさせるんだこの王子様っ!  この優しさと愛情深いとことか、もう好き過ぎる。  心の声って本来はもっとみっともないものだろ。さらに惚れさせるって、グレンシアは心からイケメン過ぎるよ。 「グレンシア、好きだ」 「……っ、綺麗にしましょう。その姿では私の抑えが利かなくなる」  ううっ……溜息が出る程、絵に描いたような王子様だな、もう!  溶けた次は、天に召されそう……俺。

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