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また泣いていた。 普段は通る事のない場所をわざと選んで、よく知らない道を闇雲に走って、人通りの無い場所にある小さな空き地の隅に、隠れるようにして。 とにかく自分が情けなかった。今まで目を逸らして、気付かないふりを続けてきた代償がいっぺんにやってきたみたいだった。悔やんでも悔やみ切れなくて、どこでこんな風になってしまったのか、間違ってしまったのかも分からないくらいずっと前から今までの全部を帳消しにしたくなるほど、重要な事に気付いてしまった。 自分の存在が、マコちゃんの自由を奪っていたのだ。 迷惑を掛けている意識が無かったなんて事はない。特に大学を辞めて、親と喧嘩して家を出て、マコちゃんの家に転がり込んだばかりの頃は、何とかしようとアレコレ試したりしていた。 でも、何もかも上手くいかなかった。変わらず学生をしている友達は学年が上がるに連れて忙しくなって、気まずくて合わせる顔も無くて、疎遠になっていった。アルバイト先に新しく入ってきた、将来への希望に溢れた高校生と話して落ち込んで、それが原因で手元を狂わせてしまって、病院に運ばれるほどの大怪我をして、そのまま店にも行けなくなった。高校の頃に組んでいたバンドも、OBとして顔を出していた部活動も、できなくなった。階段を転げ落ちるように生活は荒んでいって、残った楽しみはセックスとアルコールと煙草だった。そんな、絵に描いたようなダメなやつ。 でもマコちゃんの家は、マコちゃんとチィの居るあの場所は、いつでも暖かくて、居心地が良くて、何をしても許してくれて、どんな自分でも受け入れてもらえるから。 甘えてしまった。何もしなくても、自分よりも自分のことを知ってくれて、何でもかんでもやってくれる人が居たから。 用心棒気取りで隣の家に殴り込みに行ったのも、同棲してる彼氏面して一緒に暮らしていたのも、何一つ、マコちゃんの為になる事じゃなかった。何もしてあげられなかった。家の事は触らなくていいと言われるがまま、皿の一枚も洗わなかった。 ただただ、自分のやりたい事だけやりたいようにやって。頭を使って考える事も悩む事も止めて。たまにワケが分からなくなって泣いては、またマコちゃんに慰められて、面倒を見てもらって。 躾のなってない猫。そんなのまだ可愛い方だ。チィなんて、寧ろよく躾られた良い子だ。 それに引き換え、 「なんて悪い子なんだ…」 言葉に出すと、ますます悲しくなってきた。涙がボタボタと落ちて、地面に濡れた点を作る。 居なくなってしまいたかった。土に吸い込まれていく涙の水滴みたいに。濡れた点になってちょっとだけ残った跡も、少しの時間が立てば何処にあったのかなんて分からないくらい綺麗に消えて、何も無かった事になって。 そんな風に。マコちゃんに出会わなかった事にされてしまいたかった。マコちゃんが可哀想だ。 激痛が走って、我に還ると、今度は知らない男の人と居た。 ここがどこなのかもよく分からない。何だか暗くて、地面はぬかるんでて、変なニオイがする。周りはボロボロのブルーシートで囲まれていた。 ブルーシートの隙間から川が流れているのが見えて、屋外なのに屋根があって、たぶん橋の下だと分かった。 曖昧な記憶は、辿ろうとすると頭が痛くなって、更に曖昧になっていく。 何かもう、どうでも良かった。 しばらく空き地で泣いていたら、通りすがりに声を掛けられた。自分よりずっと年上の、おじさんと言ってもいいくらいの男の人で、顔も髪も服もぐちゃぐちゃに汚れていた。 そんな男の人とエッチな事をしている。 お互いに下半身だけ裸になって、相手の上にまたがって。肌が触れている部分だけが温かくて、あとは鳥肌が立つくらい寒い。 今日はおかしな日だなぁ、どこで間違えたのかなぁって考えようとしたけど、普段から使っていない頭は更に動かなくなっていた。 ナンパした女の人とエッチして、何時間も走って吐きそうになって、川に飛び込みそうになって、知らない人と知らないマコちゃんを見て、ビックリしたのとショックを受けたので逃げ出して、公園で泣きじゃくって、今は知らない男の人とアオカンしてる。 普段はマコちゃん以外の男の人に興味なんて湧かないし、もちろんエッチなんてした事なんてないのに。しかも、ネコ。コッチでも良いって答えたのか、どっちでもいい、いや、どうでもいいって答えたのかも知れない。痛くて、全然気持ちよくなんてなくて。ヤバいと思った。でも気付くのが遅かったみたい。 また事実に気付かされてしまって、悲しくなった。マコちゃんのアレは、全部演技だったのだ。 気持ちよさそうにしていたのも、上手ねって褒めてくれたのも嘘。それなのに、今まで寝てきた女の人より何倍も上手い演技に騙されて、バカみたいに腰を振って。 「アァーッ!」 声を上げて泣いた。そうしながら男の人の肩に顔を埋めた。気持ちよくなったワケじゃない。もう誰の顔も見られそうになかったし、見たくなかったし、自分の顔も見られたくなかった。耳まで真っ赤になっているのが分かる。 それくらい恥ずかしくて。いっそ殺してほしいくらい。痛くて、気持ちよくなんてないのに、恥ずかしくて。やっぱりさっき、川に飛び込んでおけば良かったんだ。 しばらく眠ってしまったみたい。 薄暗い中で目を開けると、さっきまで一緒に居たはずの男の人は居なくなっていた。地面に直接敷かれた、土だらけの段ボールの上で起き上がる。もうめちゃくちゃだ。全身がべとついていて、怠くて、腰とお尻と脚の付け根が痛い。 遠くで話し声がする。何を言っているのかは聞き取れないけど、男の人が二人。少しだけ外の光が射し込んでくるブルーシートの隙間から覗いたら、すぐそこに背の高い人影が立っているのが見えた。 スタイルが良いから、後ろ姿でも分かる。今、一番、会いたくない人。 マコちゃんだった。 誰と何について話しているのかは、聞き取れない方が都合が良かったかも知れない。聞きたくもなかった。 話が終わったのか、マコちゃんは一度、相手に向かってぺこりと頭を下げた。その拍子にマコちゃんの向こうの人影が見えた。さっきまでブルーシートの中に居た男の人だ。あんな人とエッチしちゃったのかと感じる辺りは、名前も知らない女の人と寝た時と変わらなかった。ただちょっと、"ポジション"が違っただけで。 頭を上げたマコちゃんがサッと振り返り、こっちに向かってくる。逃げ場はもう何処にもない。走れないどころか、動こうと思っても、動けない。観念するしかなかった。 暖簾を押し上げるように、ブルーシートを掻き分けて入って来たマコちゃんと目が合う。冷静を通り越した、淡々とした無表情だった。 「帰るわよ。」 可哀想なマコちゃん。無理をして、嘘を吐いて、自由を奪われて、自分自身を抑え込んででも、こんなヤツの面倒を見なきゃいけないなんて。おまけにそんなヤツに、好かれているかも知れないなんて。 マコちゃんが手を伸ばしてくる。ゆっくりとしか動かせない手で弱々しく握ると、引っ張られて、自然と体が起き上がった。しぶしぶブルーシートから出るなり、硬くて分厚い胸筋と、引き締まった腹筋が当たる。しっかりした腕にギューッと抱き締められていた。 ずっとして欲しかったこと。ようやく安心する。安心して良いんだと思ってしまう。また甘えてしまう。 反射的に、マコちゃんの身体に腕を回してしまった。汗で肌に張り付いていたシャツの背中を、手が痛くなるくらい強く握った。 「アンタは、ウチの子だからね。」 大きな手に撫でられる頭の上から聞こえて来たのは、いつもの、優しくて落ち着いたマコちゃんの声と口調だった。 それもこれも全部演技なんだって思ったら、またまたマコちゃんに迷惑を掛けてしまったんだって思い知らされる。今からでも色んな事を謝りたかったけど、今更謝ってもどうにもならない。許すとか許さないとか、そういう次元の話ですら無い気がした。 しばらくしてから、ゆっくりと体を離したマコちゃんが顔を覗き込んでくる。暗い中でも分かる、綺麗な色の瞳。見慣れた筈のそれを見て、何か言わなきゃと思う。でもマコちゃんはそのまま、何を言うでもなく立ち上がり、 「もう大丈夫ね。」 そう言って、歩き出してしまう。ついて来なさいと手を引くようにしながら。 と、傍に立っていたさっきの男の人の視線に気が付いた。感情の読み取れない表情で、瞬きもせずにじっとマコちゃんの方を見ていた。それがすごく怖かった。 途端に、ブワッと色んな感情が押し寄せてくる。目には見えない、重たいものに押し潰されそうになる。 グラグラと視界が揺れ始めて、立っていられなくて、マコちゃんの手を握ったまま、その場にうずくまってしまった。 バクバクと心臓が痛いほど早く脈打つ。それなのに、全身の血の気が引くように寒気がする。呼吸さえ上手くできない。 「ちょっと、大丈夫?」 すぐそばに居るはずのマコちゃんの声が、すごく遠くに聞こえる。耳から渦を巻いて頭の中に入って、そこら中にぶつかり合って、反響しているみたい。 「しっかりしてちょうだい!」 心配そうに言ってくるマコちゃんの手を振り払って、ぬかるんだ土の上を川の方へ這いずって行って、吐いた。 身体の何処にあったのか分からないくらい。自分の中の悪いものを全部吐き出すくらいの勢いで。口だけじゃなく鼻からも色んなものが流れ出て来ていた。 この苦しさは永遠に続くのかも知れないって怖くなる。今まで誰かに与えてきた苦しみが跳ね返って来たのかも知れない。普段は考えもしないような事がグルグル回る頭の中を、更にグルグルと回る。 下を向いていると余計に吐き気がして、地面に突いた手は痛くて、足が痺れてくる。泥と冷や汗で汚れた肌が気持ち悪い。 後ろから大きな手が背中をさすってくれていた。それに気付いた時、マコちゃんの手は相変わらず温かくて、少しだけ安心する。寄り添うような体勢になって、左腕を掴んで支えたまま、右手で下から上に押し上げるように。少し強めの力に促されるまま、吐けるだけ吐いた。 それから、マコちゃんは持っていたペットボトルの水を開けて、キャップを外して渡してくれた。 言われるがまま口の中を濯いで綺麗にした後は、真上を向かされ、残った水を顔にかけられ、ハンカチで拭いてもらった。 「マコちゃん…」 もう何から謝ればいいやら分からなくなってしまって、一度名前を呼んだ。マコちゃんは一通り顔の汚れが取れたかの確認だけして、 「後にしてちょうだい。」 忙しそうな時の口調でそう言って、ハンカチとペットボトルを手に持たせて来た。それから、思わず抱き着きたくなるような広い背中を向けて、 「ほら。」 ちょっと急かすように言ってきた。これからおんぶして運ばれてしまうのが分かって、 「やだ…」 って言ってしまった。 子供じゃない。確かにウチの子って言われた気がするけど、そんな小さい子じゃないし、マコちゃんの子供でもない。 すると、マコちゃんがいよいよ大きな溜め息を吐き、膝に手を突いて、ゆらりと立ち上がった。 怒られると思った。もういい、二度と帰って来なくていい、アンタなんか知らない、勝手にしなさいって。 そうしてくれたら今すぐ目の前の川に飛び込んで、ここから居なくなれる。マコちゃんに好きかも知れないって伝えたかったけど、それはもう諦めるしかないんだ。 でもマコちゃんが振り向いて、向き直るなり、ひょいっと身体が浮いた。軽々と、お姫様抱っこされてしまっていたのだ。 「や…」 おんぶよりも抱っこの方が却って恥ずかしかったけど、もう文句は言えない。だって、どっちにしろ自力で歩いて帰れそうにはなかったから。 仕方なく、ハンカチとペットボトルを持ったまま、マコちゃんの首に手を回した。 マコちゃんは何も持ってないみたいに歩き出してしまう。普段の筋トレの成果か、五十ちょっとしかない体重なんてどうって事ないみたい。まるで自分なんてここに存在してないみたいに思えてくる。 土手の石段を上り、川沿いの道路の白線の内側を、マコちゃんは家に向かって歩いていく。時々車が通ると、背中に添えられる手に、少しだけ引き寄せられていた。 公園から連れて来られたのは、さっき欄干を越えて飛び降りようかと思っていた橋の下。マコちゃんの家のすぐ近所で、よく知っている場所だった。 「マコちゃん…」 改めて呼んだ声は、痰が絡んだようにゴニョゴニョしてしまって。それでもマコちゃんは優しいから、 「なぁに?」 なんて、いつもの調子で聞き返してくれた。 「何でずっと、置いてくれるの…」 今までずっと、聞きたくても聞けなかったこと。それが、上擦ってしまう声に乗って、するりと口から出てきていた。 「捨てちゃってもいいんだよ?こんなヤツ。」 可哀想なマコちゃん。無理をして、嘘を吐いて、自由を奪われて、自分自身を抑え込んででも、こんなヤツの面倒を見なきゃいけないなんて。 「マコちゃんに追い出されても、その辺でテキトーに…」 「テキトーに暮らして、またさっきみたいな事になるんでしょう?」 諭されて、言葉が出て来なかった。やっぱりマコちゃんは何でもお見通しなんだ。マコちゃんが来てくれなかったら、どうなっていたか分からない。マコちゃんの元から逃げ出したのに、結局そのマコちゃんに見つけてもらって、助けてもらって。 「ウチの子だから、返してもらいに来たのよ。」 「ウチの子って…?」 さっきも言われた言葉。顔を上げて聞き返すと、夜空を背負ったマコちゃんはちょっと困ったような、照れるような笑顔で、 「アンタがチィを拾って来たのと同じよ。」 って教えてくれた。でも、まだ、よく分からない。 まだチビだったチィを拾った時は、とにかくパニックで、無我夢中で、マコちゃんの家に駆け込んだ事しか覚えていないのだ。 マコちゃんはいつも冷静で、物忘れとかもしないから、あの時の事だって今でもしっかりと覚えてるんだろう。 「アンタ、今さらチィを捨てろって言われて、できる?」 マコちゃんの体に顔を擦り付けるようにして首を振る。チィを捨てるなんてできるワケがない。それに、捨てられるべきはチィじゃない。 「ペットの躾とお世話は、飼い主の責任なの。一度拾ったなら、最後まで責任を持って飼う。」 そう言われて、ああ、マコちゃんに飼われてるんだって思った。 変な感じだし、変態プレイみたいだけど、不思議と納得してしまった。 家に着くと、さっきの三人の中の二人が、大わらわで迎えてくれた。 「ボク、大丈夫だった?怖かったでしょう?」 「いまお風呂の準備してるから!」 何故か事情を知っている様子で、メイクはドロドロに崩れて、セットされていた髪も乱れていた。 廊下にそっと下ろすように座らされて、見上げると、マコちゃんはようやく緊張感の解けた顔で玄関の扉に凭れ掛かる。その様子を見て、出迎えてくれた二人も示し合わせたようにその場にへたり込んだ。 「あぁ〜でも、見つかって良かった!」 「ホント、マロンから連絡が来た時は全然見当違いのトコ捜してたもんね〜アタシたち!」 「んねぇ〜!」 そう言って、顔を見合わせる二人。 何も言えなくてマコちゃんを見るが、マコちゃんは扉に腰を預けて、膝に手を突いて俯いている。こめかみや額から汗が流れていて、相当疲れているのが分かった。 「この辺の地理分かんないのよ!暗いし!ヒールだし!」 「そうよ!ぶっちゃけ自分が見つけちゃったらどうしよって感じだったし。」 「夜道でこんな格好で走り回ってるバケモンに出くわしたらアタシだったらソッコーで逃げるわ!」 「うっさいわねー!誰がバケモンよ!自分の顔面見てから言いなさい!」 「しょーがないでしょ!化粧なんだから崩れたらこうなるわよ!」 「だから見つけたのがマロンで良かったのよ、あの時のマロンったら」 「ちょっと!アタシの話はいいから…」 片手を出して、玄関先の立ち話よろしくひたすら話し続けていた二人を遮るマコちゃん。それから顔を上げて、まるでペットを叱る飼い主みたいな口調で、 「ほら…分かったでしょ?二人に何て言うの?」 そう言われ、ここを飛び出した後に何をしてくれていたのかを理解する。こんなヤツを、一生懸命に捜してくれていたのだと。 マコちゃんに会いたくて帰って来たら知らない人が三人も居て、ビックリさせられたのも事実だけど、マコちゃんだけじゃなく、会ったばっかりの人にまで大変な思いをさせてしまったようだ。 「ごめんなさい…ありがとうございました…」 話に入れなかったのを見かねたように、タイミングを作ってもらい、二人に体を向けて頭を下げた。 頭の上から感心したような声が降ってくる。 「あらまー可愛い!いいのよ、帰ってきてくれてホント良かった!」 「そうそう。ちゃんとお礼も言えるのねぇ。ママの教育が良いのかしら?」 「ママじゃないわ、マコよ。マコちゃんよ、ね?」 「そうね。マロンでなくて、マコちゃんだったわね。」 「マコちゃん、マコちゃん。良いじゃない。」 そんな二人のやりとりを、何も言わず恥ずかしそうに聞いているマコちゃん。 と、浴室の方から、ドスドスという足音が聞こえた。何事かと振り向くと、三人のうちのもう一人が、腕まくりをして現れた。マコちゃんの倍はありそうな太さの腕にますますびっくりする。 「マロン!お風呂沸かしておいたわよ!」 たった今『マコちゃん』に落ち着いたばかりだったのにまたしても『マロン』と呼ばれた。大笑いする二人と、マコちゃん。その様子がおかしくて、釣られて笑ってしまった。 それから、三人にもう一度お礼を言って、マコちゃんに促され、お互いに自己紹介をした。 マコちゃんのことを『マロン』と呼んでいた三人は、マスカットのマス子さん、ピーチ・パインさん、グァバさんという、全員フルーツの名前だった。 人の名前を覚えるのは難しいから、誰がどのフルーツなのかは、ちゃんと把握できる自信は無い。でも、三人ともすごく優しくて、マコちゃんと同じ部分を持ってるんだって思った。 「あ!年寄りの加減だから、ボクちゃんにはちょっと熱めかも知れないけど〜!」 「年寄りって、アンタもそんな変わんないでしょ!」 「アタシはあっつ〜いのが好きなの!」 「何よぉ!一緒じゃない!」 「もし熱かったら水を入れるのよ!ゆっくり浸かりなさい!」 「んまーホントすっかりママねぇ!マ、コ、ちゃーん!」 リビングから飛んでくる賑やかな声を聞きながら、服を脱いでお風呂に入った。 生き返るというのは、こういう事なのかも知れない。湯船にはられたお湯は熱かった。でも、それがじんわりと気持ちよくて、身体についた色んな汚れや、疲れや、嫌な気持ちも溶け出していくみたいだった。

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