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2025年8〜12月
8月2日 桜 机 扇情
1 あの人の机に頬擦りをして、天板の角に腰を押し付けた。瞼の裏には、初めて会ったときの光景が蘇る。桜が舞う季節。握手をした手の熱さ。ハスキーな声。吐息を零すと同時に、部屋の扉が開いた。「なに、して…」僕の扇情的な姿を見たあの人は顔を青くした。今、食べてしまおう。僕はうっそりと笑った。
2 八分咲きの桜で迎えた卒業式。彼と隣同士で並んだ机はもう俺のものじゃない。その代わり、釦が引きちぎれた制服を着た彼は俺のもの。その扇情的な姿に生唾を飲む。「早く帰ろう」煽るように舌を舐めた彼は男の色香を纏っている。俺は差し出された手を握った。手の甲を撫でられて、頭が沸騰しそうだ。
8月11日 甘ったるい 変態 プラチナ
1 甘ったるい香りが全身に巡る。あの変態野郎はプラチナの鎖で繋がれた俺を眺めるのがいいらしい。「もう限界なんじゃない?」くつりと喉で笑う音でさえ、俺の体に響いて熱を生む。「っざっけんな…!」罵倒も噛み砕くあいつの口元が気色悪いほど吊り上がった。「愛してるよ」やめろ。俺は大嫌いだ。
2 煌めくプラチナのリングは甘ったるい香りを放つ薔薇の中。「俺と一生を共にしてださい」誰もが振り返る美貌の彼は5年付き合った彼氏だ。「もちろん!俺も愛してる」難点なのはちょっと変態なこと。そのことを知っているのは俺だけ。でも、それでいい。彼の本当の欲望は俺だけが知っていればいいんだ。
10月31日 許す 血溜まり 突き放す
1 ポロポロと涙の粒が降り注ぐ。正体を隠し、吸血衝動を必死に抑えてきた彼を突き放すことなんかできない。血溜まりができるほど血は吸われていない。許す以外の選択肢はないし、寧ろ彼を受け入れたい。「大丈夫。いっぱい俺を食べて」首を晒して誘えば、彼はおずおずと傷跡を癒すように血を舐め始めた。
2 彼は俺を許してくれた。それだけで嬉しいのに、吸血鬼の俺を突き放すことなく受け入れてくれた。ああ、幸せだ。晒された彼の首の少し下。鎖骨の窪みには小さな血溜まりができていた。傷跡を舐めて止血し鎖骨を食む。「ひっぁ…」聞いたことのない艶かしい声に、彼の血だけでなく体も奪いたいと思った。
11月19日 愉快 指 握る
1 パチンッと指を鳴らせば魔術が発動する。反抗的な体が抗いながら少しずつ欲に堕ちていく様は見ていて愉快だ。溢れる吐息は熱を帯び、シーツを握る手は小刻みに震えている。生意気な目が俺を射抜く。濡れた目は扇情的なのに、視線は鋭利だ。ああ、その目が見たかった。俺は口元を緩め再び指を鳴らした。
2 大団円を迎えた映画。愉快に声を上げて笑えるのはここが映画館ではなく俺の部屋だからだ。笑いの波が引いた後、離れていた手が重なった。焦らすように指で手の甲を撫でられ、指の間に彼のそれが滑り込む。握られた手は熱い。キスの合図だ。俺はこの先の展開を期待し、ゆっくりと目を閉じて首を傾けた。
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