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第2話 足掻いた先の結果

「なーーーーんちゃって!!」 ……………… そうそう。説明が遅れたが、今俺達がいるのはギルドの特別応接室である。 何やらとっても高そうな絨毯が敷かれており、窓辺にはとっても高そうな花が活けられた、とっても高そうな花瓶が置いてある。 「話し合いをするため部屋を貸してほしい」とギルドに頼んだところ、勇者様の頼みなら!と張り切って一番豪華な部屋を使わせてくれることになったのだ。 特別応接室というだけあって、部屋の中央には繊細な彫刻が施されたローテーブルと、座り心地の良さそうな立派なソファーがあった。 しかし。 根が庶民すぎる俺達はそのソファーに座ることはおろか近づくことさえ出来なかった。 なんなら「お前を追放する!」あたりから現在まで、入口付近に立ったまま話をしている。なんとも切ない話である。  現実逃避終了。 部屋にいる全員が『気でも狂ったのか?』と言いたげな目で俺を見ていた。 「気でも狂ったのか?」 ドワーフのライアンが言った。彼の正直さは大抵の場面においては得難い美徳だ。 「……まずは謝らせてくれ。 ルーカス、そしてみんな。騙すような真似をしてすまなかった」 深く頭を下げると、アレクが普段から片耳につけているピアスがしゃらりと音を立てた。 「あのアレクが謝ってる……?」 「騙すってどういうことですか!?」 「追放は?ルーカスを追放したら万事解決なんだろ?」 「違う!」 俺は慌てて反論する。 「最近負傷者が増えているのは事実だけど。でもそれは回復術師であるルーカスの責任じゃない。 パーティーの疲労度や敵の強さを見極められず、皆に無理をさせた……俺の責任だ。」 「では、なぜこんなことを!?」 金髪の美少女が叫ぶ。 彼女はアリステア。平民出身の光魔道士と名乗ってはいるが、実はこの国の王女という尊き身の上だ。心優しい彼女は原作のメインヒロインでもある。 「今さら自分に責任があるなんて……そもそもルーカスさんの追放を決定したのはあなたではないですか!」 「ヴッ」 ぐうの音も出ない。 「ルーカスに……自覚を……持って欲しかったんだ。」 「自覚?」 アリステアの正論パンチにやられながら、なんとか言葉を絞り出す。急展開に呆然としていたルーカスが我に返った。 「そうだ。お前には“最強の勇者”のメンバーとしての自覚がない。」 ルーカスの目を真っ直ぐ見つめる。 頑張れ俺!なんでもいいからそれっぽいことを言って誤魔化せ! 「優秀な回復術師なのに。この俺が認めてるのに。 いつまでもどこか卑屈で、周囲から一線を引いているお前が……俺は……嫌いだった。」 「……ッ」 俺の言葉に動揺したルーカスの黒い瞳が揺れる。 「だから。追い出すって言えば縋ってくれるんじゃないかって思ったんだ。本当のお前を見せてくれるんじゃないかって……俺のことを、見てくれるんじゃないかって」 先程とは別の意味で静まり返る空気。 マリアとアリステアの二人は口元を両手で抑えた謎のポーズで固まっている。 わかってるよ。 いくらなんでも支離滅裂すぎる。 たったそれだけの理由でここまで事を大きくするわけがない。流石にこんな話を信じるやつなんて…… 「そうだったのか」

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