54 / 58

第55話

会社に着くと 「おはよう。来年もよろしくな」など気の早い同僚は、声掛けてくる。 ・・・まだだから・・・ そんなことを思いながら山崎は、仕事の準備をする。 気がつくとなんだか、顔がニヤケるような気がした。 誰かに見られてるような気がして、不自然に周りを見回してしまったことに 気づいてまた、顔がニヤけた。 「こんなんで大丈夫か・・」山崎は、そんなことをつぶやいた。 「おつかれ」 まだ寒い中、会社の階段を駆け足で駆け下りる。外はまだ真っ暗だ。 山崎は、自然と足早になる。 ウーと自動ドアが開いたところでブブ・・と携帯が鳴った。 「おつかれ」 その声は・・ 「寝てて良かったのに」 軽い笑い声の後に 「おめでとう。今年もよろしくな」 「あ……いや。よろしく」ずーっと聞きたかった、声が聞ける。 いまは、それも嬉しく思う。 「起きてたのか?寝ててよかったのに」 「いや。いま起きたんだよ。お前帰ってくるから」 そんな嬉しい言葉に、「いいのに・・」想いとは違うことがでた。 「いまから帰るよ」 「おー待ってるからな」佐々木の声はいつもと変わらない気がした。

ともだちにシェアしよう!