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第55話
会社に着くと
「おはよう。来年もよろしくな」など気の早い同僚は、声掛けてくる。
・・・まだだから・・・
そんなことを思いながら山崎は、仕事の準備をする。
気がつくとなんだか、顔がニヤケるような気がした。
誰かに見られてるような気がして、不自然に周りを見回してしまったことに
気づいてまた、顔がニヤけた。
「こんなんで大丈夫か・・」山崎は、そんなことをつぶやいた。
「おつかれ」
まだ寒い中、会社の階段を駆け足で駆け下りる。外はまだ真っ暗だ。
山崎は、自然と足早になる。
ウーと自動ドアが開いたところでブブ・・と携帯が鳴った。
「おつかれ」
その声は・・
「寝てて良かったのに」
軽い笑い声の後に
「おめでとう。今年もよろしくな」
「あ……いや。よろしく」ずーっと聞きたかった、声が聞ける。
いまは、それも嬉しく思う。
「起きてたのか?寝ててよかったのに」
「いや。いま起きたんだよ。お前帰ってくるから」
そんな嬉しい言葉に、「いいのに・・」想いとは違うことがでた。
「いまから帰るよ」
「おー待ってるからな」佐々木の声はいつもと変わらない気がした。
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