2 / 8
2 照路:早起きした日 (R18)
首のそばで、海戸 の唇がひらいている。
朝の五時だ。
パジャマに手を入れると、海戸の体温に包まれた。へそを撫でると、喉を鳴らして、海戸が鎖骨に唇をうずめた。近くなって、彼の息の温度が上がった。けだるい熱が下半身に流れていく。
海戸を仰向けにし、服をめくった。薄闇のなか、爪で脇をすべりおり、そこから胸のあたりまで伝った。爪が、小さな引っかかりを覚えた。戻って、その引っかかりを均 すように指を動かすと、海戸がうめいた。その乳首に、舌を置いた。舌で、転がす。乳首が元気にとがる。笑うと、海戸の体がびくついた。
「すけべ……」
「充電」
「夜に……」
「夜もしよう」
「……へんたい」
「おれより固くなってる」
「な!」
海戸が両手を突っ張った。肩で押し返し、唇をさがしあてた。やっぱり乾いていた。ガーゼをあてるように唇を重ねると、ささくれがやわらいでいく。海戸がおれの乳首をつまんだ。くすぐったい。
「海戸みたいにはならないよ」
「お、おれだっておまえを喜ばすためにえ――」
乳首を舐め、ズボンに入れた指で亀頭をこすった。声を押し殺した海戸が弓なりになった。
「名演技だね」
おれがちゃかすと、海戸はベッドを出て行った。
「タチだからって調子にのるな」
「関係ないよ」
「攻めるネコだっている」
「ニャーって鳴いてみて」
パジャマで叩かれた。裸になった海戸が、おれのズボンをずり下ろした。おれが上体を起こすと、脚のあいだにうずくまった。静電気のような唾液をまとって、熱を汲 み上げるようにフェラをする。跳ねた亀頭を、すかさず舌で舐める。
冷水を浴びたように、目が覚めた。
――上手だ。
はじめてのときも、そう思った。
⁂
最初、海戸と会ったのは、好奇心だった。その一ヶ月前、はじめて男の娘もののAVでヌいて、興味を持ったのだ。アプリの写真では、海戸は女装していた。けれど実際にやって来たのは、素の海戸だった。泣きだしそうな顔で、彼は言った。
「あの写真はむかし、かれ――恋人に言われてした格好なんだ! いまのおれはあの格好はしてないから、ごめん!」
背中を向けた海戸の手首を、おれは掴んだ。
「メッセージで断ればよかったじゃん」
「こっち」
海戸は人の少ない路地裏に移った。それから口を何度かひらき、眉を寄せて、言った。
「……会ってみたかったから」
「おれに? なんで?」
「なんで……」
いろんな感情に挟まれた顔をして、海戸は下を向いた。
男が男にこんな顔をするのだと、はじめて知った。その驚きに圧倒されて、全身があいまいになった。もう一度、確かめたいと思った。だから、海戸の顎を持ち上げた。
⁂
「濃 !」
わめく海戸を背中から抱いた。冷たい。右手で彼のちんこを握り、左手で口をひらかせた。
「言わなくても全部飲んだんだ。しかもずっと勃 ってる」
「うるしゃい」
指を噛まれた。脱力が消えた。復活したちんこを、尻たぶに食いこませた。
「ぶちこみたいなー」
「ダメに決まってんだろっ」
「夜は?」
「……夜なら」
海戸の腰が緊張し、おれの右の人差し指が湿った。その指で亀頭をさすると、腰が震え、さらに濡れていく。
「女の服着た海戸、かわいかったなー」
そのひと言で、簡単にしおれかかる。
「でも、やっぱいまの海戸が一番だよな~」
今度は鉄のように固くなる。単純で、いじらしい。
海戸を窓際に押しやった。白くなったカーテンのなか、乳首をつねり、ちんこをしごく。海戸の、吐息のようなあえぎが高くなる。
「なあ……だめだって……よごれる」
「キスして」
片頬を押し上げると、海戸は上体をしなり、薄目で、半開きの唇を差しだした。左腕に、彼の爪が刺さっていた。右手でカーテンを開けた。「いやだ……」の甘い声に向けて、陽ざしをかいくぐり、舌を伸ばした。舌先がふれた。海戸の背中が跳ねた。
「大丈夫。おれがいる」
イッたばかりで痛むちんこを、尻の割れ目にぶつけた。いきおい海戸の亀頭は、窓の結露をすべり上げ、震えながら、果てた。
唇にかぶりついた。合わせたちんこをしごいた。精液でじめついている。逃げようとするケツを叩き、中指を沈ませた。奥のすぼまりが中指をはむ。まつ毛を濡らし、必死にこたえようとする海戸の口づけに、しごく手が速まっていく。海戸が絞りだすように鳴いた。おれは二本のちんこを握りしめた。精液が駆け上がっていった。
⁂
ベッドに倒れ、あたたかい体を抱きしめた。エッチをすると、海戸の体は驚くほど熱くなるのだ。
「おい」
「海戸相手だと、あんま賢者タイムないんだよな~。海戸もずっと勃ってたね」
「離れろっ」
「窓に出したから恥ずかしいの?」頬を押されて、しゃべりづらい。
「だ、だれもそんなこと言ってない!」
「今度おれも舐めよっか? 海戸のちんこかわいいし」
地雷だった。
「さっさと仕事に行けええええ‼」
行ってらっしゃいのキスはお預けになった。
おわり
ともだちにシェアしよう!