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5 海戸:二人で風呂に入った日 (R18)
「なあ」
「うん?」
浴室のドアに手をかけ、照路が振り返った。彼の脇腹に、筋肉のすじができる。
「なんで筋トレしてるんだ?」
「生活にメリハリつくし」
「メシはおれ任せだけど」
「きょうのごはんもうまかったよ」
「きょうは冷凍だ」
駅から一緒に帰って、遅くなったのだ。
「海戸と食べると、全部うまいんだよな~」
「味はまずくてもいいのか?」
「海戸が最高の調味料ってこと」
にやにや笑って、正面を向いたその体は、腹筋が割れている。照路は週二でジムに通っているのだ。おれは肩から脚までさわって、厚みを確かめた。
(足の爪のびてる)
伝えようと上げた顔に、ちんこがのっかった。すえたにおいの向こうで、照路が片笑みをしている。
「勃起した」
「メシの次は性欲か? いい身分だな」
「いまのは海戸が悪いよ」
「おれは筋肉を確かめてただけだ」
「じゃあ」と言って、照路の手が脇にさしこまれる。立たされる。首から足までなぞられる。
「はい、勃起」
「せ、生理現象だ!」
「わかった、わかった」
と肩を抱いてきた腕から、照路のにおいがした。勃起がきつくなった。
シャワーを準備する照路のちんこが、でかい。つい後ろに下がると、湯おけが落ちた。一歩詰めてきた胸板が壁になり、その下のいきり立つそれに、おれのちんこが押された。振りきり、照路の肌にぶつかって、亀頭から刺激が駆けめぐった。声が出た。恥ずかしくて、どっと汗をかいた。咳ばらいすると、鳥肌の上に熱いシャワーが降りかかる。
海戸、と名前を呼ばれ、キスをした。さっき食べたシュウマイの味がした。唾液の音が頭の奥にまで鳴る。照路の手がやさしく肌に貼りついて、さわってもらえない場所が水面でうずく。
「……お湯、もったいない」
「洗ってるんだよ」
「嘘、つくな」
「くび、かた、むね、はら、わき」
照路がボディソープを広げた手で、順ぐりにさすっていく。皮膚の内側がひりついて、喉が詰まった。高い声が出た。歯を食いしばると、舌をさしこまれた。声が、もれた。照路が笑った。
「ちゃんと洗わないとな~」
肌が密着して、照路のちんこが焼印のように腹にうまる。彼が背中を撫で、肩を噛み、掴んだ尻を叩いた。ぎゅっと締まったすぼまりから、彼の体に潰されているちんこへ、固い芯が貫いた。
「ほら言って」耳打ちされた。
照路の背中でしぶく湯が、目の前をぐちゃぐちゃにしている。照路が耳のなかを舐める。言葉がこぼれ出た。
「もっと、して」
「へんたいだね、海戸」
激しくキスをした。照路のちんこがおれのをねじ伏せた。腰が動いて、振りきると、勢いよく肌にぶつかって、痺れる。唇を離し、照路が尻の割れ目をなぞった。体が高温になった。力を入れるのに、容赦なく彼の指が分け入って、なぞる。
「舐めてあげる」
シャワーがとまった。椅子に座った照路の目が鋭い。彼の鼻先で、むけきった亀頭をさらしている。あらい息が反響していた。
「そこ、洗ってない……」
「海戸の味、知りたい」
「……へんたい」
「お互いさまだね」
照路からのフェラは、かぞえるほどしかない。臭くないだろうか、嫌われないだろうか、そんな疑念で腰が引けても、壁があって逃げられない。照路が椅子を近づけた。ひらいた脚に左腕を置き、ぐっと身をのりだすと、右手で傾けたおれのちんこをくわえた。啜 られた亀頭が、唇のあいだではずんで、膝が笑った。前のめりになると、深くくわえながら、照路の頭が迫る。慣れてない。息ばかり吸って吐いている。そんなフェラだ。なのに、照路の息を注がれて、芯がたぎっていく。照路が頭を引いて、痙攣 する亀頭に舌を打ちこんだ。心臓のとまるほどの刺激に、殴られた。
「味、した」
「……気のせいだ」
「ううん」
照路が亀頭をくわえた。おれは足の指に力を入れた。
「水以外の味がする」
舌で、息で、切迫する芯をいたぶられる。
「もう……むり……」
「だめ」
ちんこが跳ねて、照路の肩に手をついた。
「かわいいちんこだよな~」
照路がつついた。彼の脚のあいだでは、腹筋までちんこが起立している。それに呼応して熱気の増した芯が、照路の指を押し返した。爆発寸前だった。
「だけどやっぱおれは、こっちが好きなんだよな~」
「準備してないぞ!」
照路が尻を叩いた。「ネコちゃんの大変さはよ~く理解してるよ」
外気にさらされたすぼまりに、ざらりと舌が流れた。上ずった声がにじんだ。歯を食いしばりたいのに、尻のそこばかり力んでしまう。
「きょうはおれが奉仕する日だね」笑う照路の息がかかった。
すぼまりの動きを確認するように、舌があたる。じんわりした快感がわいて、抜けた力が下半身にこごっていく。あえぎが壁で跳ね返る。照路がちんこをさわった。熱いものが漏れだした。
「イきそうだから……」
「うまいよ、海戸のここ」
照路が自分のをしごきはじめた。逆の手でおれの尻たぶをまくし上げる。
「乳首、さわってごらん」
「立てない……」
「腰、もっとつきだして」
からっぽの頭に、照路の指示が響いた。壁に、左の耳と肩をつけて、従った。両手でつねった乳首から鋭い刺激が散った。照路の興奮した息が、舌の音が、しごく音が、頭のなかを占拠 していく。全身を揺さぶられる。
――海戸。
光のように、やさしい声だった。
照路がおれのちんこを握った。しごいた。引き締まったすぼまりを舌で裂いた。皮膚の剥 がれるような快感が、ちんこの先端に集結していった。
――いっしょにいこう。
芯が白い液体になって、噴きだした。
⁂
目を開けると、照路がこちらを見下ろしていた。転んだおれを抱きとめてくれたらしい。あいかわらずからっぽの頭に、彼の不安げな声がする。おもしろいから、のぼせたふりを決めこむ。二人分の精子のにおいがして、笑えてくる。いまのおれたちをカメラで撮ったら、世界一みっともないかもしれない。
照路の頭に手をまわし、キスをした。
「筋トレ、これからもがんばりたまえ」
おれが倒れた、そのときのために。
おわり
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