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第14話*
「えっ、えっ? 何……!?」
動揺した彼が身体を起こそうとする。だが両手首をベッドの柱に引っ張られ、ガクン、と引き戻されてしまった。
首だけ持ち上げて下半身を確認し、綾人は愕然と目を見開いた。
「宏実!? 何してるの!?」
「……見ればわかるだろ。言わせんなよ」
「え、ちょっ……あっ!」
口で前を刺激しながら、後ろに指を突っ込む。
途端、綾人の腰がびくんと跳ね、背中が綺麗に反り返った。口の中の性器がぐん、と勢いを増し、亀頭からじわりと精液が漏れてくる。感じている証拠だ。
「あっ、あっ……だめ、やめて……こんな……!」
「嘘つけよ。感じてるくせに」
「違っ……! そんなこと……あぁっ」
「そんなエロい声出してさ。あんた、清楚に見せかけて結構な魔性だな」
そう言ったら、綾人はキュッと唇を引き結んだ。悲しそうな顔で眉を顰め、固く目を瞑る。目尻からつ……っと涙がこぼれた。
「んっ、んっ……んんっ」
必死に声を殺している綾人。声を揶揄されたから、それだけでも我慢しようというのか。
(やっぱりこいつ、魔性だな……)
そんなことしたら、ますます男を燃え上がらせてしまうのに。無理にでも喘がせて、自分のものにしたくてたまらなくなるのに。
情動に突き動かされて、宏実は口と手の動きを速めた。
「っ……あ! あんっ……」
ねっとりと性器に舌を纏わりつかせ、指で内壁を刺激する。一本だった指を二本に増やし、根本まで突き入れてバラバラに動かしてやったら、綾人の腰がのたうった。硬かった肉筒がどんどん熱くなっていき、柔らかく溶けていくのがよくわかる。口の中の綾人が、限界を訴えてぴくぴく震えていた。
「っ……、宏実……やめて、もうだめ……っ!」
「いいよ、イって。全部飲んでやるから」
「そ、な……あっ!」
小刻みに首を振り、快感を拒んでいる。
時折縛られた両腕をビン、と引っ張り、唇を噛み締めて悶える綾人は、ぞくぞくするほど色っぽかった。その顔を見ているだけで、自分が軽くイってしまいそうなくらいだ。
たまらない。もっともっと乱れさせたい。いつもは品のいい綺麗な男が、こうして嬌態を晒す様は絶品だ。実の兄を犯すという道徳的な躊躇いを一瞬にして吹き飛ばしてくれる。
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